Deployment of Windows 2000 member server 2...
DFS
DFSルートを作成すると,[分散ファイルシステム]管理ツールのコンソールツリー上に,作成した共有フォルダのネットワークパスが表示される。次に,作成したDFSルートにほかの共有フォルダを接続してゆく。
DFSルートの配下に接続された共有フォルダは,「DFSリンク」と呼ばれる。DFSリンクを作成するには,[分散ファイルシステム]管理ツールで先に作成したDFSルートを選択し,メニューから[操作]−[新しいDFSリンク]を選択する。[新しいDFSリンク]ダイアログボックスが表示されるので,次のように設定する。
Fig.9 新しいDFSリンクの作成(クリックで拡大可能)
- [リンク名]
- 任意の名前を指定する。ここで指定された名前が,DFSルート配下のサブフォルダ名として扱われる。
- [ユーザーをこの共有フォルダに送信する]
- DFSルートに接続する共有フォルダのネットワークパスを指定する。
- [コメント]
- 必要に応じて指定すればよい。ここで指定されたコメントは,クライアントからアクセスしたときには表示されない。
これで,クライアントの[ネットワークコンピュータ]からは,一連の共有フォルダがDFSルート配下のサブフォルダとして参照できるようになる。このとき,クライアントがDFSルート配下のサブフォルダを開こうとすると,実際にはリンクされているファイルサーバー上の共有フォルダへとアクセスすることになる。
また,1つのスタンドアロンDFSルートの配下にDFSリンクを[複製物]として追加することで,元のDFSリンクを提供しているファイルサーバーがダウンしたときに,自動的に複製物のDFSリンクを利用させることもできる。複製物を追加するには,[分散ファイルシステム]管理ツールで作成ずみのDFSリンクを選択し,メニューから[操作]−[新しい複製物]を選択すればよい。ただし,スタンドアロンDFSにはDFSリンクの中身を自動的にコピーする機能は提供されていないので,中身のファイルはユーザーや管理者が手作業でコピーしなければならない(管理タスクとスクリプトを組み合わせ,定期的にDFSリンクの中身をコピーするのがよいだろう)。この点には十分注意してもらいたい。
Fig.10 複製物の追加(クリックで拡大可能)
DFSを設定するうえで留意すべき事項は,次のとおりである。
- ネットワークパスは修正できない
- [新しいDFSリンク]ウィザードで設定したネットワークパスに誤りがあっても,DFSリンクの作成時にエラーは発生しない(指定した共有フォルダが存在しなくても,DFSリンクは作成される)。ターゲットを指定し間違えたDFSリンクは,削除して再作成するしかない。
- DFSリンクとして設定した共有フォルダは通常の共有フォルダとしてアクセスできる
- DFSは,ユーザーがDFSルートに対して送信したアクセス要求を,DFSリンクとして設定した共有フォルダに転送する機能と捉えることができる。DFSリンクとして指定することができる共有フォルダには,Windows 2000上の共有フォルダのほか,Windows NTやWindows 98上に存在する共有フォルダも含まれる。つまり,DFSリンクとして設定された共有フォルダは,ごく普通の共有フォルダとしての機能をそのまま提供しているため,[ネットワークコンピュータ]アイコンなどをたどってそのままアクセスすることができる。
Fig.11 DFSを通じてアクセスしたところ(左上)と直接ファイルサーバーにアクセスしたところ(右下)(クリックで拡大可能)
もし,ユーザーからアクセス可能なファイルサーバーを見かけ上DFSルートサーバーに限定したいのであれば,DFSリンクとして設定する共有フォルダを「隠し共有」にする(共有名の末尾が$である共有フォルダ)ことをお勧めする。
なお,ワークグループやWindows NTドメインで利用できるDFSはスタンドアロンDFSだけだが,Active Directoryドメインの環境下であれば「ドメインDFS」を利用できるようになる。
ドメインDFSでは,通常ドメインコントローラ同士でディレクトリを複製するために用いられる「ファイル複製サービス」を利用して,DFSリンクの内容を自動的に複製する機能が提供されている。この機能を用いれば,ファイルサーバーのフォルトトレランスが向上する。ミッションクリティカルな業務でWindows 2000を利用するのであれば,導入する価値は高いだろう。
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