この特集のトップページへ

Deployment of Windows 2000 member server 4...
オフラインファイル

 オフラインファイルは,Windows 2000ファミリで共通して利用できる機能であり,どちらかといえばノートPCでWindows 2000を利用しているモバイルユーザーにとって非常に役立つものである。それ以外にも,Windows 2000 Serverでファイルサーバーを構築するときにも有益なので,ぜひこの機会に使い方を習得してほしい。

 オフラインファイルとは,ファイルサーバー上に存在するファイルのコピー(キャッシュ)をWindows 2000クライアント上に作成する機能である。これにより,Windows 2000クライアントがネットワークから切り離されたあとも,ユーザーはあたかもネットワークに接続しているかのようにファイルにアクセスできる。

Fig.16 オフラインファイルの概念図
fig16.gif

 従来のWindows NTやWindows 95/98にも,「ブリーフケース」と呼ばれる類似の機能が用意されていたが,オフラインファイルはブリーフケースに比べて次の点で操作性の向上が図られている。

使用するファイルをコピーする必要がない
 ブリーフケースの場合は,ユーザーが利用したいファイルやフォルダをブリーフケースにコピーする必要があった。しかし,オフラインファイルでは,わざわざコピーする必要はない。単に使用したいファイルを選択して右クリックし,[オフラインで使用する]を有効にするだけでよい。
 
見かけ上のファイルの場所が変わらない
 ブリーフケースの場合,オフライン状態でファイルにアクセスするには,ブリーフケース内のファイルにアクセスする必要があった。これに対してオフラインファイルでは,ファイルの見かけ上の場所は変わらない。[マイネットワーク]アイコンを開けば,オフラインファイルで使用するファイルが置かれているサーバーのアイコンが表示される。そのサーバーのアイコンを開けば,オフラインファイルで使用するファイルやフォルダのみがオンライン状態のときと同じように表示される。もちろん,オフラインフォルダにドライブレターを割り当てておけば,オフライン状態になってもそのドライブレターは有効のまま残ることになる。

 また,オフラインファイルには,ネットワークトラフィックを低減させる効果もある。いったんオフラインファイルとしてクライアントにファイルがコピーされると,ユーザーがアクセスするときには常にクライアント側に存在するファイルが使われるようになる。つまり,日常業務でサーバーにアクセスするときに発生するトラフィックを大幅に削減できるのである。特にネットワーク負荷の増大でネットワークの増強や再編成を検討している管理者にとっては,即効性のある対策として検討する価値がある機能といえるだろう。

 なお,オフラインファイルを設定している状況下で,実際のサーバーへアクセスが発生するタイミングは,デフォルトではユーザーがログオフしたときか,ユーザーが手作業でファイルの同期を指示したときとなる。この仕様上,複数のユーザーが同時に同じファイルを利用するようなリアルタイム性の高いシステムでは,オフラインファイルを適用できないことも理解しておいてほしい。

注意 同期するタイミングをカスタマイズしたいときには,同期マネージャ(mobsync.exe)を利用する。たとえば,コンピュータの使用率が低いときに自動的にオフラインファイルを同期させるには,同期マネージャの[セットアップ]ボタンを押して[アイドル]パネルを開き,[使用しているネットワーク接続]のなかから同期に使用するネットワーク接続を選択する。[同期する項目の選択]で,自動的に同期させたい項目を選択し,[このコンピュータがアイドル状態の間,選択された項目を同期する]オプションを有効にすればよい。

Fig.17 同期マネージャによる同期タイミングのカスタマイズ
fig17.gif
prevpg.gif Deployment member server 5/14 nextpg.gif