連載
» 2000年09月01日 12時00分 UPDATE

IT Business フロントライン(4):女性向けの次は“キッズ向け”?ポータルサイトのコンテンツ事情

[磯和春美(毎日新聞社),@IT]

 ポータルサイトがニュースや検索エンジンだけをフォローしていればよかった時代はもう1年半も前のこと。玄関口という意味の「ポータル」が広がり始めてわずか半年もすると、激しいユーザー争奪戦が始まった。ポータルサイトは次々に新しいコンテンツを立ち上げ、移り気なユーザーの関心を引き付けようとした。新コンテンツの流行はグルメ情報、占い、金融、クルマ、女性向けと移り変わり、現在、次の焦点として子供向け――「キッズサイト」が浮かび上がってきている。

キッズサイトはリンク集から

 国内ISPの大手、So-netを運営するソニーコミュニケーションネットワークが子供向けのポータルサイト「KidsParty」を開設したのは7月。夏休みを控え、主に10歳前後の子供を対象として、絵本の紹介や子供向けのニュースが読めるサイト、スポーツ、音楽が楽しめるサイトなどをカテゴリ別に分けて紹介。また、占いコーナーや、季節にあったサイトを紹介する特集コーナーも設けた。

 7月はキャンプや海など、夏休みを楽しく過ごすためのサイトを紹介、8月は夏休み向け自由研究に役立つサイトを集めた。さらに登録した会員には、月1回のメールマガジンでサイトの最新情報を知らせる。

 国内最大の検索エンジン、Yahoo! JAPANの子供向けサイト「Yahoo!きっず」は、検索サイトの子供向けサービスらしく、リンクのカテゴリ分けに力を入れている。例えば、「ゲーム・コンピューター」「学校と勉強」などのリンク集を用意しており、「ニュース」のリンクには14新聞社の子供向け新聞を網羅している。

 NTT系の「goo」では、「こねっとgoo」を用意、インターネットの検索をサポートしている。特徴的なのは、暴力やアダルトの情報はキーワードを入れても出てこない点だ。Yahoo! JAPANでも「Yahoo!きっず」のリンク集には、そうした情報は出てこないようになっている。

 米国からやってきたISP、アメリカ・オンライン(AOL)を運営するAOLジャパンは、1998年の開設当初からファミリー会員の獲得に力を入れていた。子供会員向けのコンテンツ「こどもチャンネル」を用意、アクセスコントロール機能を親が設定すればアダルト情報などはカットできるなど、フォロー体制を整えている。

 いずれのサイトも、子供向けの情報発信というよりは、子供向けに厳選したリンク集といった趣だ。「インターネットで最も難しいのが、いかに有害情報に接せず、子供たちが有益な情報を探せるか、にあるからです」とYahoo! JAPANの広報は話す。

 教育機関向けのインターネット事業を手がけるイーネット(本社:東京都渋谷区)では、1999年6月から小中学生を対象にしたWebサイトを展開、さらに父母や教師なども取り込んだコミュニティづくりを目指している。やはりポイントはコンテンツを一元管理したサーバに接続することで、子供たちを有害情報から守る点だ。

 つまり、ポータルサイトの狙いは、子供たちのインターネット利用の囲い込みと、それに伴ってアクセスしてくる親や教師といった教育関係者の取り込みにあるわけだ。

学校インターネットをにらむ

 ここにきてポータルサイトが、子供向けコンテンツやキッズサイトに力を入れ始めたのにはもう1つ、「学校インターネット」の影響が大きい。

 文部省と郵政省の共同政策として、2001年までに全国4万校の小中高校をインターネットに接続しようという動きが最初に明らかになったのは1999年。郵政省の天野定功 電気通信局長(当時)は定例会見で、学校でのインターネット利用を促すため、衛星やCATVを利用した高速アクセス回線を導入すると発表した。

 また、電子ネットワーク協議会は、インターネットを利用する子供のためのルールとマナー集を同協議会のサイト内で公開している。小中学校など教育機関に導入が進んでいることから、子供向けにルールやマナーの普及を図るのが狙いだ。

 こうした動きを受けて、子供のインターネット利用が本格化すると考えた教育関連産業、情報関連産業、出版業界などは、それぞれ独自に子供向けコンテンツの充実に乗り出した。

 例えばセイコーが子供向けにつくったWebサイト「ときを学ぼう」は、ちょうど夏休みということもあって、夏休みの自由研究で時間について調べようとする子供たちのアクセスが絶えない。セイコーはこうしたサイトを通じて、将来の消費者である子供に対して企業イメージのアップも期待できるわけで、教材販売会社やサンリオなどの玩具メーカーなどはもっと即物的に、子供たちの興味を引くサイトを立ち上げ、自社製品の販売促進につなげることを考えている。彼らにとって、子供たちはすでに立派な「顧客」といえる。

 「顧客」がインターネットにやってくるためのきっかけとなる学校インターネット計画は順調に進んでおり、現在の接続校数は約2万8000校。家庭でもパソコン普及は着々と進んでいる。子供たちをインターネットの新たなマーケット対象として考えるのに、もう早すぎるということはないのだ。

Profile

磯和 春美(いそわ はるみ)

1963年生まれ、東京都出身。お茶の水女子大大学院修了、理学修士。毎日新聞社に入社、浦和支局、経済部を経て1998年10月から総合メディア事業局サイバー編集部で電気通信、インターネット、IT関連の取材に携わる。毎日イ ンタラクティブのデジタル・トゥデイに執筆するほか、経済誌、専門誌などにIT関連の寄稿を続けている。

メールアドレスはisowa@mainichi.co.jp


「IT Business フロントライン」バックナンバー

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ピックアップコンテンツ

- PR -

注目のテーマ