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» 2001年02月02日 12時00分 UPDATE

IT Business フロントライン(22):違法コピーソフトをめぐる現状〜 暴力団も続々参入〜

[三浦優子(コンピュータ・ニュース社),@IT]

 秋葉原の街を歩き慣れている人なら、1枚のCD-ROMなどに言語やら業務系ソフトやらグラフィックス系ソフトやら、まったく異なるジャンルのソフトをたくさん詰め込むように焼き込んだ、怪しいパッケージ販売を宣伝するビラをもらったことが一度はあるだろう。

 配られるチラシがいかにも稚拙で、違法な商品であることは一目瞭然。秋葉原地域での販売については、これまでにも何回か警察による検挙が行われている。しかし、しばらく時間がたつと、再び売人が街角に立つ光景が見られる。地道に検挙を続けていくしか、対処方法がないというのが実情らしい。

怪しいパッケージ・ソフトの出所

 ところで、あの怪しいソフトが暴力団の資金源になっているという事実を、皆さんはご存じだろうか?

 社団法人コンピュータ・ソフト著作権協会(略称=ACCS)の久保田裕専務理事によれば、「違法ソフト販売の根元をたどっていくと、日本の暴力団組織の名前をはじめ、中国系暴力団まで、ほぼ有名どころがすべて網羅されている」という。

 もともとコンピュータ・ソフトに限らず、いわゆるビデオや音楽などのソフトを違法コピーした製品の製造・販売は暴力団の資金源となりやすいものであった。よく知られているところでは裏ビデオ。「流出!」「モザイク消し」といった宣伝文句に彩られたチラシは、どことなく秋葉原で配られている違法コピーソフトのチラシに似ている。

 中に収められているソフトに関しても、実際に使って(再生して)みると、不完全な形で使いものにならず、看板に偽りありというところにも共通点があるように思う。

「海賊版」も同じ

 さらに、ロックファンならおなじみ、東京の新宿あたりによくある、「海賊版」と呼ばれるミュージシャン非公認のCDやビデオも、暴力団によって製造・販売されているものが少なくないそうだ。

 音楽専門のケーブルテレビ局での取材時に聞いた話だが、「新宿あたりで売られているビデオの中には、あまりにもうちの局で放送したものが録画され、販売されているものが多いので、テロップを入れて放送するようにしたんだよね。そしたら、いかにも怖そうな人から電話がかかってきた。なめんじゃねえゾ!ってすごまれたよ」。

ネットワーク上にも忍び寄る「暴力団」の影

 コンピュータ・ソフトの場合、CD-Rドライブの価格が下落したことで、「手軽にコピーソフトを製造できるようになったことが、販売増加に拍車をかけている」とACCSでは分析する。

 販売現場も街角からネットワーク上に移りつつある。しばらく前は、ネットワーク上での販売は個人、街角はプロと区分けができていたようだが、「現在ではネットワーク上にもずいぶん暴力団が入ってきている」という。ネットワーク上で、個人名で販売されているソフトの中にも、背後には暴力団が関係していることは十分にあり得る。

違法コピーソフト摘発の現状

 ところで、違法コピーソフトを買うことに対しては明らかに抵抗を感じている人でも、あなたの家や会社では、きちんと購入したソフトを利用しているだろうか? 違法コピーソフトではなくとも、100人が同時利用しているのに、購入しているソフトのライセンスは10人分なんてことはないだろうか?

 違法コピーソフトの販売とともに、よく伝えられるニュースが、企業内における違法コピーソフト利用の摘発である。こういったケースでは、ソフトウェア開発会社、教育現場などに対し、とりわけ厳しい措置がとられる傾向にあることを、アットマーク・アイティの読者である皆さんには、よく認識しておいてもらいたい。

 ACCSでも、「ソフトウェア開発会社が違法コピーソフトを使っていた場合、ソフトが無償のものではないことを認識していることは明白であり、断固として厳しい措置をとる」と話している。

 ただし、違法コピーソフトがあるといっても、突然、摘発されるというケースはまずないといっていい。ほとんどの場合、摘発に至る前には、企業内で調査を行った上で、ACCSや、米国で違法コピー摘発を行っている団体Business Software Alliance (BSA)の名前で、通知が届くことになる。

 この通知が届いた場合には、まずいたずらでないかどうかきちんと確認をとったうえで、通知を無視するのではなく、しかるべき対処をするのが賢明だ。実はこの段階で適正な数のソフトを購入するといった措置をとれば、刑事告訴されて企業の名前が表沙汰になることはまずないといっていい。

 しかし、正式に通知が届いたにもかかわらず、無視したり、逆に開き直ったりすると、事が大きくなって、あまりいい結果は生まれない。実際に刑事告訴された企業のほとんが、通知を受けたにもかかわらず、逆に開き直って、善処しようという姿勢をまったく見せないので、結局は摘発されて、企業名が知れ渡るという結果を招いている。

 特に、ソフト開発会社の場合は、厳しい目が周囲から向けられるということを考慮すると、万が一、通知を受け取ってしまったら、前向きに対処した方がよい。

ソフト利用の心構え

 コンピュータ・ソフトの著作権については、さまざまな考え方があり、Liコンピュータ・ニュース社nuxのように著作権フリーという考え方もある。だが、著作権のあり方を論じる前に、本来は価格を付けて売られているソフトへの対価を払わずに利用するということは、違法行為だということをよく認識しておいてもらいたい。

 米国では、日本を含むアジア地域を「著作権後進国」と位置付け、政治的圧力をかけてきた経緯もある。「違法コピーソフト天国」の汚名返上のために、怪しいソフトは「買わない」「使わない」という姿勢の徹底がのぞまれる。

Profile

三浦 優子(みうら ゆうこ)

コンピュータ・ニュース社

1965年、東京都町田市出身。日本大学芸術学部映画学科卒業後、2年間同校に勤務するなど、まったくコンピュータとは縁のない生活を送っていたが、1990年週刊のコンピュータ業界向け新聞「BUSINESSコンピュータニュース」を発行する株式会社コンピュータ・ニュース社に入社。以来、10年以上、記者としてコンピュータ業界の取材活動を続けている。

メールアドレスはmiura@bcn.co.jp


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