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<vol.20の内容>
「メールマガジン市場の全体傾向」
メールマガジン最新動向調査「メール・アド・レポートVol.3」より、全6回にわたってメール広告市場の動向をお届けする。第1回目は「メールマガジン市場の全体傾向」についてレポートする
「ネットベンチャー企業 浸透度調査」
調査で判明した「ブランディングに成功した企業」と、テレビCMやマーケティング能力イメージは一致しない?<(株)インターネット総合研究所 協賛企画>
日本におけるメール広告市場の研究調査の一環として、ネットインサイダー編集部は、 (1)「メール・アド・レポート」 (2)「メール広告利用実効調査」 のペーパーメディアによる調査レポートの発行を、1999年から行ってきた。
(1)は配信数と広告料金の推移からメール広告市場の推移を経時的にとらえ、(2)は各媒体の精読率や媒体信頼度などを各論的に深く掘り下げる趣旨で、それぞれ調査が実施されてきた。
「メール広告市場の動態調査報告」では、広告出稿企業・広告代理店・媒体オーナーの、広告管理実務と戦略策定を支援するこの2つの調査レポートをもとに、全6回にわたって、広告媒体としてのメールマガジンの最新動向を探る。
本連載ではまず、日本国内のメールマガジン120誌以上に関して、その配信数、広告料金、1露出単価、標準偏差、過去半年の推移を総覧できる国内唯一の調査資料「メール・アド・レポートVol.3」(ネットインサイダー増刊 2001年3月1日発売)をもとに、メールマガジン市場と各媒体の最新動向を報告する。
株式会社メールニュースが取り扱う120を超えるメールマガジン(広告媒体)に関して、2000年7〜12月の6カ月を調査対象期間とし、「配信数」「広告料金」「1露出単価」を調査・算出し、あわせて各指標の標準偏差と、調査期間内での推移を調査した。
2000年7〜12月における、全メールマガジン読者数の伸び率は、平均値124%を記録した。市場全体の成長傾向は、まだ衰えを見せていないと推測される。メールマガジン運営者にとって読者数は、日常的に自然と増加する場合が多く、まだ成長を続けているのか、それとも頭打ちになりはじめているのか境界線の判断が難しい。この「6カ月間(2000年7〜12月)で124%」という数値は1つの目安と考えることができるだろう。
しかし、表1に示したとおり、各媒体の数値に目を転じると、「RealNews」のような300万部を超える総露出数を強みとするメガ媒体が存在する一方、6500部の「隔月刊誌『企業家倶楽部』メール版」のように、絞り込んだ会員層を強みとする媒体も存在し、媒体間の戦略は、差別化の傾向を強めている。
各媒体の 配信数(部) |
各媒体の 配信数伸び率(%) |
|
---|---|---|
最大値 | 3,000,000 | 600 |
平均値 | 194,927 | 124 |
最小値 | 6,500 | 69 |
表1 配信数 各指標の最大・平均・最小値 |
また、地域コミュニティサービスの広報誌「この指とまれ ! 新規登録者紹介メール」が空前の600%という配信数伸び率を見せた一方で、「毎日就職ナビメール」は読者数を69%に大きく減少させている。
このほかにも「ASCII24」「CNET Japan News Digests」などの大手IT系媒体では成長率がほぼ横這いを記録しており、ジャンルによっては、会員を集めて数を増やす施策の次の段階、つまり、より顧客満足度を高め、購読チャンスへと誘導していく時期にさしかかっていることが推定される。
表2に示したとおり、ヘッダ広告出稿料金の推移は、平均で121%の伸びを記録しており、表1の「各媒体の配信数伸び率」と比較すれば明らかなように、配信数の伸びである124%とほぼ相関している。つまり、部数の伸びにスライドして、傾き1の正の相関で、広告料金も上昇していると推定できるだろう。
各媒体の 広告料金(円) |
各媒体の 広告料金伸び率(%) |
|
---|---|---|
最大値 | 3,300,000 | 567 |
平均値 | 241,442 | 121 |
最小値 | 30,000 | 59 |
表2 広告料金 各指標の最大・平均・最小値 |
広告料金で最大値を記録したのは、メール配信サービスまぐまぐ社の広報誌「ウイークリーまぐまぐ」の330万円、最小値を記録したのは、「隔月刊誌『企業家倶楽部』メール版」の3万円。ちなみに表1で配信数の最大値「RealNews」は、リーズナブルな単価設定のため、広告料金は120万円である。
どの指標をもって媒体価値を測るかは異論が多い。プロモーションの目的によって、適した媒体・良い媒体は変わってくるからだ。
ここでは、<ターゲットを絞った高付加価値商品の販促などを計画している広告出稿企業>の立場からこれを考え「広告出稿料金÷配信数」によって得られる、1露出当たりの単価を比較することで、媒体価値の目安を推定してみることにした。
すなわち、配信数5000人のメールマガジンの広告料金が1万円なら、1露出当たりの単価は、
1万円(広告出稿料金)÷5000人(配信数)=2円/人
になり、配信数5000人のメールマガジンの広告料金が5万円なら、1露出当たりの単価は、
5万円(広告出稿料金)÷5000人(配信数)=10円/人
になり、1露出当たりの単価が高い媒体の方を、広告出稿主にとって価値が高く、高度なセグメンテーションが施された読者を抱えている媒体であると仮定する。その1露出当たりの単価を軸に分析したのが下記の表3である。
各媒体の 単価/人(円) |
各媒体の 単価伸び率(%) |
|
---|---|---|
最大値 | 14.3 | 333 |
平均値 | 2.4 | 102 |
最小値 | 0.5 | 38 |
表3 1露出当たりの単価 各指標の最大・平均・最小値 |
14円を超える単価最大値を記録した媒体は、自動車ユーザーに特化した「auto ASCII24 デイリーニュースランキング」。0.5円の最小値を記録した媒体は、配信数で最大を誇る「RealNews」である。セグメンテーション化が進むほど単価が高くなるという仮定と矛盾しない結果である。広範な高感度ユーザーにリーチするプレゼントキャンペーンなどの際には「RealNews」などの媒体が有効だろう。
333%の単価伸び率最大値を記録したのは、部数は横這いのまま料金値上げを行ったWebマーケティングの専門誌「アクセス向上委員会」。38%の伸び率最小を記録したのは、毎日コミュニケーションズ発行の就職内定学生向けのビジネス情報誌「Freshers」である。部数の大幅な伸び(520%)に広告料金の値上げが追いつかず(200%)極端な下げを記録した。
1露出当たりの単価は、媒体運営者にとっても重要な指標である。なぜなら、この数値を一定に保たないと、広告の費用対効果が時期によって上下することになるため、広告クライアントがリピーターとして定着しないからだ。「ウイークリーまぐまぐ」や懸賞の「Chance It !」のような巨大な成功を収めた媒体は、こまめに広告料金改定を実施し、1露出当たりの単価を一定に保つ努力を行っている。
一般に、1露出当たりの単価が変動する要因としては、
(a)上方改定の不足 〜 料金改定が部数の伸びに比べ、遅れている
先ほど例を挙げた「Freshers」や、あるいは初期の「ZD Net WIRE」のように、立ち上げ直後の伸び盛りの媒体でよく見られる現象。わずか数週間で1万〜5万人規模の読者数の増加が起こったりする場合、広告料金の上方改定をそれに合わせて頻繁に実施しないと、相対的に1露出当たりの単価が低下する。なお、この時期に出稿する企業は、料金は同じままで、契約時よりも多数の読者に告知できるという、思わぬアドバンテージを得られる。
(b)下方改定の不足 〜 市場の価格調整機能が正常に働いていない
提示されている広告料金の値付けが、出稿企業にとって高額である、あるいは出稿したが対価に見合った効果を得られなかったとき、買い控えが起こる。これに対応して媒体側が値付けを下方改定しない場合、読者数だけは現在の市場環境において、自然と増えるので、それに呼応して1露出当たりの単価は徐々に低下していく。
(a)(b)双方の違いを峻別することは、出稿企業にとってはプロモーションの成否を握る重要な問題である。一般に、「メール・アド・レポートVol.3」に掲載されているような、広告料金と部数の経時的推移を比較分析して、矛盾のない変動かどうかを見ることで両者の違いは推定できる場合もある。
(第2回 「メールマガジンランキング」に続く)
「メール・アド・レポートVol.3」は、大小合わせて数千〜数万誌存在するメールマガジンの媒体選びにとどまらず、販促の目標値を算定し、予算を効率よく配分するプロモーションプランの作成、あるいは広告代理店で競争力のある広告パック商品を開発する際の参考資料など、メール広告実務の現場で必要になる、「配信数」「広告料金」「1インプレッション当たりの単価」などの半年間(2000年7〜12月)の追跡調査データで、国内大手メールマガジンのほとんどを網羅し、120誌を超える媒体を一覧できる国内唯一の調査レポートです。
ネットインサイダー編集部は2000年末、どのネットベンチャー企業のブランドが定着しているのか皆さまの率直なご意見をお聞きすべく「ネットベンチャー企業 浸透度調査」を実施した。今回はその結果概要を報告する。
以下に紹介する調査は、「就職してみたい」「マーケティングが優れている」「技術力が優れている」と思われる企業を、弊社が選定した代表的なネットベンチャー23社と「わからない」の計24項目から選択(複数選択可)してもらう形式で実施した。
順位 | 企業名 | 回答割合(%) |
---|---|---|
1 | インプレス | 12.0 |
2 | 楽天 まぐクリック |
9.5 |
3 | アマゾンジャパン わからない |
8.5 |
4 | サイボウズ バガボンド |
7.5 |
5 | インターネット総合研究所 | 7.0 |
就職してみたい企業ではインプレスがトップとなった。「わからない」という回答も8.5%あり、それより回答数の多かった上位3社に支持が集まったといえそうだ。一方、回答がゼロだったのはフォーリンティブィとJストリームの2社だった。
順位 | 企業名 | 回答割合(%) |
---|---|---|
1 | 楽天 | 19.3 |
2 | まぐクリック | 11.1 |
3 | インプレスサイボウズ | 8.7 |
4 | バガボンド | 6.8 |
5 | アマゾンジャパン | 6.3 |
マーケティングでは楽天が20%近い回答を得ており、最も高い評価を得た。全体的には、テレビCMを大々的に放映した無料プロバイダのライブドアやゼロはそれほど多くの回答を集めておらず、かなりシビアな結果となった。
順位 | 企業名 | 回答割合(%) |
---|---|---|
1 | サイボウズ | 14.6 |
2 | わからない | 13.3 |
3 | インプレス | 7.6 |
4 | アマゾンジャパン | 7.0 |
5 | インターネット総合研究所 ドリームトレインインターネット |
6.3 |
技術力ではイントラネット・グループウェアの代名詞ともいえるサイボウズが首位に。「わからない」が2番目にきており回答にばらつきがあるものの、インターネット運用技術に定評のあるインターネット総合研究所やプロバイダ大手のDTIなどが上位にきているのが特徴的だ。
<調査概要> | |
---|---|
表題 | ネットベンチャー企業 浸透度調査 |
実施期間 | 2000年12月26日〜2001年1月16日 22日間 |
目的 | ネットベンチャー企業のブランディングおよび事業内容などの浸透に関する実態の把握 |
設問数 | 37問 |
回答数 | 74名 |
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