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» 2001年04月27日 12時00分 UPDATE

IT Business フロントライン (34):Windows XPはユーザー志向か?USBが主流に〜激変するユーザーの好み

[三浦優子(コンピュータ・ニュース社),@IT]

 ここ数年、パソコン販売店を見ていると、こちらの先入観を打ち破る、思いもよらぬ商品が売れ筋となっている事実に驚かされる。その1つが、このコラムの第13回で書いた年賀状作成ソフトが年間を通じて最も売れ行きがよい分野となっているという事実であり、それ以外にも「ポストペット」、タイピング練習ソフトなど、技術の優位性とは異なる面が支持された商品が人気を集めている。

周辺機器に見られる売れ筋商品の変化

 2000年あたりから、同じ傾向が周辺機器にも見られるようになってきた。周辺機器メーカーからも驚きの声が出ているのだが、インターフェイスにUSBを採用した製品が一挙に売れ行きを伸ばしているのである。

 もちろん、キーボード、マウスといった分野ではすでにUSBの優位が当たり前になってきているのだが、去年はCD-R/RW、MO、そしてハードディスクといった記憶装置でもUSB対応の製品が増加し、着実に売れ行きを伸ばしてきた。

 BCNランキングの外付けハードディスクでは、1999年1月に2%にすぎなかったUSB搭載モデルの割合が、2001年1月には34%にまで拡大している。

SCSI ATA(IDE) USB IEEE1394 USB&IEEE1394
両用タイプ
1999年1月期 91% 5% 2% 2%
2000年1月期 44% 1% 34% 17% 1%

 USBはWindows、iMacが採用したあたりから話題になっていたし、SCSIに比べ手軽に扱えることなどが利点に挙げられていたものの、現在の規格であるUSB 1.1はデータ転送速度がSCSIに比べ大幅に劣るために、「記憶装置には不向き」という見方がなされてきた。特にデータ転送の頻度が高いハードディスクでは、「USB 1.1は適さない」という見方が一般的であった。

 余談になるが、先日、米国発のニュースを読んでいたら、「USB 1.1は転送速度が遅いために、キーボードやマウスに利用されるにとどまっている」という記述があったから、「USBは記憶装置には不向き」という意見は日本だけにとどまらないらしい。

 それゆえ、USB対応の記憶装置の販売が本格化したのは、2000年になってからだ。ハードディスクなど、2000年の夏ごろになってようやく製品が発売され、あれよあれよという間に製品を発売するメーカーの数も増えていった。

ユーザーのし好は「手軽さ」へ

 これは私見だけれども……周辺機器メーカーの方にはパソコンマニア、いや、機械マニアの方が多いように思う。特に他社に先だって、最新技術に対応した製品を出すメーカーに勤務されている方には、非常に良いユーザー……新しいものは先だって購入する気概がある方が多いのだ。

 それだけに、便利ではあるが、速度面では明らかにSCSIよりも劣るUSB製品に対しては魅力がないと思っていたのではないか。だが、実際に商品が市場に出ると消費者は違う反応を示した。

 あるメーカーの方いわく、「筐体を開けて、ボードを差し込んでという製品の売れ行きはどんどん落ち込んでいるといわざるを得ませんね……手軽さを求めるユーザーというのはわれわれが想像している以上に、多いということだったのかもしれません」。

 これはパソコン販売店で商品を購入するのが、いわゆる「マニア」ばかりではなくなってきていることを如実に示している。いや、もしかすると、マニアと呼ばれる人々のし好も変化してきているということなのかもしれない。

 そういえば、コンビニエンスストアがこれだけ売り上げを伸ばしているのは、明らかに「手軽さ」を求めている人が増加していることの表れだし、日本全体が手軽さを求める傾向にあるともいえるのかもしれない。

勝ち組の条件はユーザーニーズの把握にある

 このユーザーの変化を他社よりも早くキャッチした企業こそ勝ち組となる。勝ち組となるために、大きな武器となるのがITを活用したユーザー分析である。

 われわれIT業界では、ITを活用したデータに基づいたマーケティングを行うことを顧客に勧める機会が多いのだが、では実際のところ、自分たちのビジネスにどれくらいそうしたデータを活用しているかといえば、案外怪しいところなのかもしれない。

 いま、ユーザーが何を求めているのか、もっと真剣に、さまざまなデータを分析し、考えるべき時期に入ったのではないだろうか。思い込みとは異なるユーザーの動向を見るにつけ、そのことを痛感する。

Windows XPはユーザー志向か?

 ところで、このUSBをめぐる周辺機器メーカーの動向については、ここで筆を止めるわけにはいかない事態が起こっている。マイクロソフトのWindows XPでは、最初の製品からUSB 2.0に対応せず、サービスパックなど追加プログラムにより対応するという米国発の報道が出てきたからだ。日本ではまだ正式なコメントは出ていないものの、たいへん気になるニュースである。

 これだけUSB搭載製品の売れ行きが伸びてきたので、周辺機器メーカーの皆さんは、「これで転送速度が大幅に上昇するUSB 2.0になれば完全に本命となる」と大きな期待を見せているだけに、非常にナーバスにその動向を注視している。

  Windows XPが当初からサポートするのは、ファイヤーワイヤ(IEEE1394)となりそうだが、これはユーザーニーズを反映した結果なのか、メーカーの都合なのか、果たしてどっちなんだろう?

Profile

三浦 優子(みうら ゆうこ)

株式会社コンピュータ・ニュース社

1965年、東京都下町田市出身。日本大学芸術学部映画学科卒業後、2年間同校に勤務するなど、まったくコンピュータとは縁のない生活を送っていたが、1990年週刊のコンピュータ業界向け新聞「BUSINESSコンピュータニュース」を発行する株式会社コンピュータ・ニュース社に入社。以来、10年以上、記者としてコンピュータ業界の取材活動を続けている。

メールアドレスはmiura@bcn.co.jp


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