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» 2001年06月29日 12時00分 UPDATE

IT Business フロントライン(41):光アクセス回線が生み出すデジタルデバイド──先進地区の落とし穴

[三浦優子(コンピュータ・ニュース社),@IT]

 私の周囲では、次々にADSLを導入している。

 「いやあ、快適ですよぉ!」

 「あ? 実はうちも入れたんだよね!」

 それで、こんな会話が飛び交っているわけだが、私はこの会話を恨めしげに見守ることしかできない。私の家にはADSLが導入できないのだ。

あまりに悲しい事実

 なぜか? 東京23区内にあるわが家は、本来はADSLの試験サービスの時点から「サービス対象地区」という恵まれた環境にあった。まだ、ADSLがまったく認知されていなかった昨年の春、いまホットな話題を提供している東京めたりっくの「試験ユーザー募集」のチラシを見て、私は「オホホホ! これで私は会社一番のリッチな通信環境を手に入れることができるわ」と、イソイソと試験ユーザーとなるべく、これに応募したのだった。

 ところが、“東めた”からの回答は意外なものであった。「あなたの住んでいる建物は光収容線となっているため、ADSLは利用できません」

 この答えにはただ、“呆然”であった……。

 そう、私の知らないところで、NTTはウチの電話線を銅線ではなく、光ファイバで敷いていたのである。そのため、わが家はADSLを利用できない環境にされてしまっていたのだ。

 この記事の担当編集者である鈴木さんは、私の住居が光回線になっているということで、「お大尽な!」といってくれたけれども、違うんだよぉ……! 自分の好みではなく、NTT東日本が勝手に私の住居に光ファイバを敷いてしまったんだぁ!

 おかげで現段階のところ、NTT東日本に問い合わせをしても、「お客さまの環境ですと、データ通信を行っていただくには、ISDNしかないですねぇ」という答えしか返ってこない──悲しい状況なんである。

新築マンションは光回線のみの場合も

 ADSLが盛り上がるとともに、NTTがDSLサービス業者に対して問題ある対応をしているというニュースはけっこう出たけれども、光ファイバ施策が原因でADSLを利用できないというケースはほとんどニュースになることがない。というのも、光アクセス回線を敷かれた建物というのは、まだ全体の中では割合が低く、1割程度しかないからだとか。

 そうはいっても、聞くところによると、当初のADSLの試験サービス地区であった湾岸あたりの新しいビルは、ほとんどが光アクセス回線となっているため、ADSLを利用できなかった人が少なくないのだそうだ。私の住居もそういう一軒なわけだが、引っ越しをした3年前にはADSLサービスを実施する業者なんてまったくなかったわけだし、光ファイバが敷かれているかどうかを確認して引っ越しをするなんてことは考えられなかった。だから、いまになって悔やまれてならないのである。

 NTT東日本さん、なんで回線状況を明らかにしといてくれなかったんですか!(怒) おかげで、こっちはとっても困っているんだから(涙)……

技術的には改善可能?

 この話をNTTや通信技術に詳しい人にしたら、「光ファイバ網でDSL技術を利用する実験って行われているし、これといって問題もないっていう話なんだよね」といわれたことがある。ご存じのように「技術的に抵触するので、両立はできません」とNTTが明言していたISDNとADSLも現在は両立している。光ファイバでDSLというのも「技術的には決して不可能ではない」という話も耳には入ってくるのだ。

 しかし、いくら技術的にできるといっても、NTT側がGOサインを出してくれなければ、利用は不可能なのだ。もし、お金と暇があったら、「NTT側の施策により、ADSLを利用できず、通信環境が向上せずにデジタルデバイドが起こった」ということで裁判を起こしたいくらい、私は現在の通信環境が気に入らなくてしようがない。

 ちなみに、私の住居ではケーブルテレビも入っていない。新たにケーブルを敷設するには、集合住宅全部で数千万円単位のお金がかかるのだそうだ。本当に通信環境に関しては、ついてない……あーあ、裁判をするよりも引っ越しをしたほうが幸せかしら?

Profile

三浦 優子(みうら ゆうこ)

コンピュータ・ニュース社

1965年、東京都町田市出身。日本大学芸術学部映画学科卒業後、2年間同校に勤務するなど、まったくコンピュータとは縁のない生活を送っていたが、1990年週刊のコンピュータ業界向け新聞「BUSINESSコンピュータニュース」を発行する株式会社コンピュータ・ニュース社に入社。以来、10年以上、記者としてコンピュータ業界の取材活動を続けている。

メールアドレスはmiura@bcn.co.jp


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