連載
» 2001年08月29日 12時00分 UPDATE

Business Computing書評(3):「Webユーザビリティとメディア表現」〜Webデザインの未来を考える6冊〜

[水島久光,@IT]

この6冊

  • ウェブ・ユーザビリティ
  • ウェブユーザビリティの法則
  • Webサイトユーザビリティハンドブック
  • ウェブ・ユーザビリティルールブック
  • Webサイトナビゲーションプロフェッショナルガイド
  • 戦うWebデザイン

 2001年に入ってから、「Webユーザビリティ」をタイトルに冠した本が書店の店頭で目立つようになってきた。日本に本格的なWebビジネスが上陸した数年前から考えると、このことは非常に感慨深い。こういった書籍が目立つようになってきたということは、ある意味、Webサイトの制作にかかわる人たちの顔触れが変わってきたことを意味するからである。


ユーザビリティ問題の背景

 Webユーザビリティに関するさまざまな論述の書き出しは、決まってこうである。

「見た目がいくらクールでも、使いづらければユーザーは逃げていく」

(Jakob Nielsen『ウェブ・ユーザビリティ』=p.11:以降Nielsenと略)


「外観をとるか機能性をとるか」

(Mark Pearrow『Webサイトユーザビリティハンドブック』=p.3:以降Pearrowと略)


 これらのセリフは、いままでいかにWebは“作れる人(作りたい人)が作っていた”世界であったかを象徴している。

 Webは確かに新しい世界であり、それだけに自己主張の場であった。しかし、上記の言葉は、いよいよ本格的にそれが一般的な経済構造(マーケット)の中に巻き込まれる段階に至ったことを表している。

 初期のWeb空間は、その空間自体を発見し、そこに住居を構える方法を発明した「技術者」と、そこにモニュメントを築いた「表現者・制作者」の幸せなスペースであった。しかし、こうした空間が大きな市場原理に収奪されてく物語は、何もいまに始まったことではなく、大航海時代以来、この少数の開拓者(イノベータ?)と後からやって来る大多数の侵略してくる人々(フォロワー=ユーザー)との「場」をめぐる意識のコンフリクトは、何度も繰り返されてきた歴史がある。

 Webユーザビリティに関する議論は、こうした攻防の今日的な局面として見ることもできる。そのうえで、非常に興味深いのは、Web技術そのものが、もともと少数の開拓者に閉じたものではなく、「世界を広げていく力」を内包していたということである。

 一方、後から押し寄せる市場原理は、同じように世界を広げる力を持っている。しかしその本質は、技術の自由な拡張を抑制していくベクトル=標準化というモードを核にしている。これはこれまでの歴史における、開拓者対侵略者の図式にはない新しいものである。つまり基本的に両者が依拠するもの(「Web技術」と「市場原理」)の目標(=開放・拡大)に大きな違いはなく、違うのは“プロセス”なのである。

 先住民たちが、自らの力と旧来型の標準化の理論(Normalization)とをどのように帳合を取っていくかが、今後のメディア表現をめぐる大きな問題となるはずである。表現の自由とユーザビリティは、必ずしも対立しているものではなく、Web発展のプロセスの両輪であることに、これらの本は気付かせてくれる。

今回、読む本

ウェブ・ユーザビリティ

顧客を逃がさないサイトづくりの秘訣

■Jakob Nielsen ■篠原稔和監修 ■グエル訳 ■エムディエヌコーポレーション
(文中Nielsenと略)


ウェブユーザビリティの法則

ストレスを感じさせないナビゲーション作法とは

■Steve Krug ■中野恵美子訳 ■ソフトバンク パブリッシング
(文中Krugと略)


Webサイトユーザビリティハンドブック

Webビジネス成功に不可欠なサイトの『使いやすさ』を検証する

■Mark Pearrow ■茂出木謙太郎監訳 ■ログ・インターナショナル訳 ■オーム社
(文中Pearrowと略)


 この3冊おのおのの著者は、アメリカのWebユーザビリティ研究分野の代表的な3人であり、それぞれにユニークな立場を代表している。まず読書ガイドとしては、この3冊を軸に、Webユーザビリティの問題の本質を考えていくのがお勧めである。

 さらに、

ウェブ・ユーザビリティルールブック

顧客を増やすサイト設計

■ビービット(武井由紀子) ■篠原稔和監修 ■インプレス
(文中武井と略)


は、上記3冊(特にNielsenの著作)の内容を下敷きに、日本のWebサイトを考えるうえでの、実践的なノウハウを分かりやすくまとめている。上記3冊とこの本との論調の違いに、日本とアメリカとの企業Webサイトとそれをめぐる状況の違いを読み取ることもできるだろう。

 そして、最後に、以下の2冊にも注目しよう。

Webサイトナビゲーションプロフェッショナルガイド

目的のページに導くデザイン&構築手法

■Ken Coupland ■森屋利夫訳 ■IDGジャパン
(文中Couplandと略)


戦うWebデザイン

制約は創造性をはぐくむ

■Jeffrey Veen ■長谷川憲絵訳 ■エムディエヌコーポレーション
(文中Veenと略)


 この2冊は、Webユーザビリティ問題に、Web世界の先住民である「表現者・制作者」の立場から提出された解答として読むと面白い。

読書ガイド

 今回紹介する各著は、是非一通り目を通していただきたいものだが、読者それぞれの立場や関心にあわせて、「読む順序」をここでお勧めしておきたい。

●ウェブユーザビリティ全般を理解したい方

→上記に紹介した順番でぜひ一通りお読みください。

●ECサイトを運営されている方

KrugNielsenPearrow→最後の2冊(Coupland/Veen

●これからWebサイトを構築ないしは大規模なリニューアルを予定されている企業経営者、事業担当の方

→まず、ビービット(武井)の本からどうぞ。

●マーケター、調査担当の方、学術的な立場の方

Mark Pearrowから始められるのがいいと思います。

●デザイナー、技術者の方

Jakob Nielsenと最後の2冊を読んでから、ほかの本に進んでください。

制作者=利用者ではなくなったことの意味

 Webサイトが単なる「自己表現の場」でなくなったことは、Steve Krug『ウェブユーザビリティの法則』第8章「きっと仲良くやっていけるさ」の次のメッセージが実感させてくれる。

「ウェブサイトの構築には大勢の人が関わっているが、全員に共通する点が一つだけある。それは制作者である彼らもまた、ウェブユーザーだという点だ。そしてすべてのウェブユーザーと同じように、制作者側の各メンバーも、ウェブサイトのどんな点が好きかといった明確な好みを持つ傾向がある」(Krug=p.144)



 そうだ、自己表現の場であれば、自分の好きなものを作ればよい。また逆の言い方をすれば、すべてのユーザーが制作者であるなら、その気持ちもきっと分かってくれるだろう。

 あらゆるメディアの黎明期は、こうした“制作者=利用者”というコミュニティーから生まれた。メディア研究者水越伸氏によれば、ラジオの黎明期もそうだった(相互に電波を送り合うコミュニティによって支えられていた)ようだ(『デジタル・メディア社会』1999 岩波書店)。ラジオも商業化され、一方的な「聴取者」が生まれたことによって、決定的にその社会的位置付けが変わった。Webユーザビリティの今日の状況は、かつてのラジオ同様の、言い換えれば<制作者ではない利用者の増大に対して、制作者が頭を切り替えるべき>段階に至っているということだ。

 制作者でない利用者の増大は、一方で「利用者ではない制作者」をも生む。これは、生産者と消費者の分離と同じパラダイムに乗っている。しかして、制作者は利用者が見えなくなり、利用者には制作者がよそよそしくなる。冒頭に述べたWebサイトの制作にかかわるようになった新しい顔触れは、こういった状況の中で登場してくる。

新しい顔触れ[1]:企業経営の立場

ウェブ・ユーザビリティルールブック 顧客を増やすサイト設計

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ビービット(武井由紀子)著
篠原稔和監修
インプレス
2001年7月
ISBN4-8443-1528-5
1800円+税
<注文ページへ>



 第一の新顔は、企業経営の立場の人間である。彼らにとってのWebサイトの存在は、「数あるチャネル、もしくはメディアの列に新しく加わったもの」である。この立場では、まず企業目標があり、それに対してWebサイトは“適切な手段”たることができるかが課題となる。ビービット(武井)の『ウェブ・ユーザビリティルールブック』では、まずこの点に注目する。


「ウェブサイトを使ってビジネスを行う場合には、この“サイトコンセプト”を決める前に、会社のインターネット事業戦略、ひいては経営戦略の確認が必要となる」(武井=p.26)



 ここで書かれているように、確かに「手法はリアルビジネスと同じ」である。しかし、この企業経営の原則をあえて冒頭にうたっているのが、日本のWebユーザビリティ問題の特徴であろう。いまさらのように、企業の経営戦略とWebの問題について言及することは、Webに限らず、あらゆるメディア・チャネル戦略上で、経営目標に対する無自覚が生んだ問題に囲まれている日本の状況を反映している。日本では、Webという新しいメディア・チャネルを考えることで、経営戦略そのものを再考していこうという機運がある。

新しい顔触れ[2]:メディア論者、メディアマーケターたち

 今回、中心的に読んでいく翻訳書3冊では、ことさら経営戦略との関係に重きを置いていない。

 そういったことは経営者の国アメリカでは、マネジメントの立場にあれば言わずもがなであるといった感じにも取れる。しかし、これらの3冊では、もっと実践的な現場の「知」を追究する姿勢がベースになっていると見たほうがよい。

 ここで問題になる実践知とは、「いったいWebとは、過去のメディア・チャネルの何と対比し、その機能拡張ととらえるべきか」というものである。従ってここで登場する(動員される)人々は、メディア論者、メディアマーケターたちである。

ウェブ・ユーザビリティ 顧客を逃がさないサイトづくりの秘訣

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Jakob Nielsen 著
篠原稔和監修
グエル訳
エムディエヌコーポレーション
2000年8月
ISBN4-8443-5562-7
2800円+税
<注文ページへ>



 Jakob Nielsenの立場は、Webを出版・印刷物の延長線上のものとしていかに理解するかが主題となっている。「ページデザイン→コンテンツデザイン→サイトデザイン」と進めていく論理構成にそれは表れている。Nielsenは自らがこのテーマを「本」という形態で発表したこと、Web技術が現在まだ「本をめくるような快適な状況」に至っていないこと(Nielsen=p.10)、印刷と対比したライティング技法(=p.89)など、そこここで印刷物との対比にこだわっている。これは、新しく出現したWeb環境を、言語・記号論的なテクスト読解の見地から、ハイパーテキストが生む開放性などに革新性を見いだした現代思想的論調を下敷きにしている。


ウェブユーザビリティの法則 ストレスを感じさせないナビゲーション作法とは

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Steve Krug 著
中野恵美子訳
ソフトバンク パブリッシング
2001年6月
ISBN4-7973-1597-0
2600円+税
<注文ページへ>



 一方、Steve Krug は実務者の経験に基づくチェックポイント集としてこの本をまとめているが、底流には、Nielsenの「読解」とは対極の「行動」に注目する視点がある。つまりKrugはリアルな生活空間との対比でWebをとらえており、彼にとってWebページは“一瞥するメディア”=ビルボードのメタファーで語ることができる。クリックする行動→たどる道筋の合理性、それを促す「決断の継起」がKrugの実践知である。

 こうした旧来のメディア・チャネルとの対比で、特殊性を理解していく方法は、マクルーハン以来のメディア受容のセオリーに則っている。しかし往々にしてこういったアプローチは、現段階的なそのメディアの導入期の理解には効力を発揮するが、この新しいメディアの本質を発見するという意味では、盲点を残すこともしばしばである。


新しい顔触れ[3]:心理学的アプローチ

Webサイトユーザビリティハンドブック──Webビジネス成功に不可欠なサイトの『使いやすさ』を検証する

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ark Pearrow 著
茂出木 謙太郎監訳
ログ・インターナショナル訳
オーム社
2001年4月
ISBN4-274-06417-4
3200円+税
<注文ページへ>



 ビービット(武井)のアプローチは、経営戦略的な関心から導かれてか、ユーザーに提供する情報の構造をどのように組み立てるかという本質的な情報理論の観点から始められる。こうした、既存の枠組みにとらわれない「そもそも論」のアプローチは、新しいメディアを考えるときに重要である。情報の構造を「体系」と「階層」という立体的なモデル(=人間の思考と視覚がWebにおける情報をどうとらえることができるかという発想)で考えることは、Webを旧来メディアのメタファーから飛躍させ、新しいユーザビリティを発見させる契機となる。

 そもそも情報とはどういう“かたち”をしたものなのか。こうした関心は、昨今徐々に学際的な取り組みがなされ始めたところである。そうしたアカデミックな取り組みの一端をのぞくことができるのがMark Pearrowの『Webサイトユーザビリティハンドブック』である。ハンドブックと称しながら、実にさまざまな領域の学術的な成果がこれには盛り込まれている。

「ユーザビリティスペシャリストの仕事は、ユーザーに対して科学的な方法で選択肢を提示し、ユーザーが本当に必要なものを的確に判別することである」(Pearrow=p.34)



 ユーザビリティを「決して終わることのない“循環”」としてとらえるこの本で、最も重要視されているのはユーザーテストのメソッドである。この点で多くのものが実験心理学から援用されている。しかも、その関心は、視覚対象としてのインターフェイスがユーザーに与える視覚〜記憶のメカニズム、ヒューリスティックな問題発見法、ユーザーの目的に対する情報の適合性を判定するユーザビリティテスティングまで非常に幅広い。

ユーザーとの切り結び

 こうしたWebユーザビリティにかかわる新しいプレイヤーたちの発言は、それぞれの立場のWebという空間への向き合い方によってに微妙に異なる。その違いは“果たしてWebサイトというメディア・チャネルを介してわれわれはどのようなユーザーとの切り結びをすべきなのだろうか”という問いを介して確認することができる。

理解し合うべき対象としてのユーザー

 Jakob Nielsenの発言は、情報発信者はどうやってWebを介してユーザーと理解し合うことができるのか、という問いに貫かれている。現状の応答時間や、リンクの説明文に関する記述にも彼のこの関心は表れている。

「ウェブデザインの主な目的の一つは、プロならではの運用管理によって信頼性を勝ち得ることだ」(Nielsen=p.81)



 この信頼性こそが、制作者と利用者の“相互理解のきずな”なのである。

Webを生活の場として活動するユーザー≫Webを生活の場として活動するユーザー

 Steve Krugはもっと“直感的”“行動的”に扱いやすくすることが、ユーザーとの切り結びの中核であると考える。それは、Webを行動の場と考えているからである。

「ナビゲーションはウェブサイトの持つ特徴のひとつなのではない。建物や棚やレジがシアーズであるのと同じ意味で、ナビゲーションはウェブサイトそのものだ」(Krug=p.47)



 Krugは、理想的なナビゲーションを、物理的空間との対比で常に発想しているようだ(p.61など)。

Webを装置として操作するユーザー≫Webを装置として操作するユーザー

 Mark Pearrowは、人間工学的な観点からコンピュータの操作性を考える伝統のうえでWebを考える。従って物理的にも情報そのものも含めた意味でも、彼にとってWebは使いやすい“操作対象”であるべきなのである。

「あらゆるものが制御不能になったら、一体どうなるのだろうか」(Pearrow=p.12)



 PearrowにとってWebは、目的とする機能を発揮するのに十分なコントロール可能な「道具」なのである。

 アメリカの先行文献がそれぞれこのように明確にユーザーとWebの関係を意識しているのに対し、日本では“Webに慣れていないレベルの低いユーザーリテラシー”“十分成熟していない環境”に配慮し問題を避ける論調にとどまり、ユーザーとの切り結びのあるべき姿を描けていないのが気にかかる。

 ビービット(武井)はせっかく、情報の構造にかかわる本質的な議論に踏み込んだにもかかわらず、後半においては現状の環境下で問題を避けるノウハウの列挙に終わってしまっているのが残念である。例えば「ハイパーテキストというもっともウェブらしい特徴で構造化されている」(武井=p.88)と、Web型の情報構造を見いだしつつも「ウェブ型だけのサイト構造は避けたほうが賢明だ」と評している。

メディアの新しい表現に向けて

 Webユーザビリティは、いまのところまだ先住民の自己表現の場としてのWebサイトに、新しく参加するプレイヤーたちから付けられた「物言い」にすぎないかもしれない。旧来のメディアのメタファーとしてのアプローチや、不完全な環境・リテラシーに遠慮しつつの提言では、まだまだこのメディア・チャネルの表現の独自性につながる何か革新的な知見を得るところまでは残念ながら届いていない。しかしながら、いくつかの具体的な提案の中に、明らかに将来のメディアとしてのWeb表現の在り方を方向づけるものがおぼろげながら予感できる。

スタイルシート、フレームに対する考え方とXML

 これらの技術の現段階での使用の是非に関する議論は、各著者にいまのところ任せておこう。

 注目すべき点は、Webページの記述(HTML)において、各著者に共通している「情報の表現と、情報自体が混在」(Pearrow=p.271、武井=p.183など)している状態への異議申し立てである。

 ページの表現形式の固定(スタイルシート)、任意分割(フレーム)、意図したコントロール(XML)が意味するものは、明らかに印刷書籍からのメディアとしての飛躍を意味している。

Web型の情報構成と検索

「ほとんどのサイトで、利用価値のある検索結果が得られるかどうかは、まだ五分五分にすぎない」(Krug=p.73)



 Webユーザビリティを論じる中で、検索機能に関する関心が低いのは、このように現状のWeb全般を対象とした商用検索サービスの信頼性が低いことに由来するのではと思える。確かにWebサイト全体を構築する際に重要なのは「構造」ではあるが、Webらしさの発揮はハイパーテキストの性質を開花させることにほかならず、そのためには検索の信頼性向上と二人三脚で歩んでいくしかない。

リンクとサイトの完結性

 Web空間そのものの性質としての開放性、その具体化した姿としてのリンクをどう扱うかが、Webユーザビリティのかぎを握っている。特に企業経営の立場で考えると、自社サイトの完結性を優先したがるのも無理はない。しかし「それは、ウェブの自然の摂理に反するものであり、好ましくない」(Nielsen=p.59)。やはり、扱いやすさにとらわれるあまり固定された構造にこだわり、あるべきナビゲーションに固執する状態は、Web本来の性質をある面阻害するものである。

 こうした開放性を、どのようにユーザビリティの概念の中に取り込んでいくのか。このことが、単なる「扱いやすさ」を超えたところにあるリテラシーを育て、広義のWebユーザビリティを実現していくのかもしれない。


 Webユーザビリティは単にノウハウ書で学ぶべき定式化された方法論ではない。まだ発展途上でしかない技術、環境、利用者のリテラシーの中でこのメディアが持つ表現の本質を探っていく試みである。そういった側面から、冒頭にも挙げた、2つのデザインプロパーの著作は興味深い。

戦うWebデザイン 制約は創造性をはぐくむ

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Jeffrey Veen著
長谷川憲絵訳
エムディエヌコーポレーション
2001年6月
ISBN4-8443-5596-1
2800円+税
<注文ページへ>



Webサイトナビゲーションプロフェッショナルガイド 目的のページに導くデザイン&構築手法

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ケン・クープランド編著
森屋利夫訳
IDGジャパン
2001年5月
ISBN4-87280-434-1
2850円+税
<注文ページへ>



 『Webサイトナビゲーション』の中で紹介される事例は、狭義のユーザビリティを想像させるタイトルにもかかわらず、デザインの底力で成し遂げることができる可能性を予感させてくれる。『戦うWebデザイン』の提唱する「オブジェクト指向出版システム」はもう一人の先住民である技術者からのメッセージである。「僕たちはもう、これまでのグラフィックデザインの概念を捨てるところまで来ている」(Veen、p.238)。

 さあ、これで役者はそろった。臆することなく、新しいことを始めてみよう。


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Profile

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水島 久光(みずしま ひさみつ)

( sammyhm@jcom.home.ne.jp )


1984年慶応義塾大学経済学部卒業後、旭通信社にて、ダイレクト・マーケティングを手がける。1996年にはインターネット広告レップ「デジタルアドバタイジングコンソーシアム」の設立に参加し、インターネット・マーケティングに関する多くのプロジェクトに携わる。そのうちの1つ、情報検索サービス「インフォシーク」の日本法人設立準備にあわせて旭通信社を1998年10月に退社し、「インフォシーク」を運営していたデジタルガレージに入社。1999年6月、インフォシークの設立後、編成部長をつとめ、2001年4月末でインフォシークを“卒業”。現在は、東京大学大学院に入学し、文・理系を横断する“情報学”を追求する一方、流しのマーケッターとして修行中。日経BP社『ネット広告ソリューション』インプレス『企業ホームページハンドブック』(いずれも共著)

Web広告研究会が最近発刊した「バナー広告効果実証実験報告書」(お問い合わせはsec@wab.ne.jpまで)においても執筆している


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