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» 2002年02月06日 12時00分 UPDATE

CRMアプリケーション展望(2):CRMアプリケーションに求められる機能と製品動向 (1/2)

一口に「CRMアプリケーション」といっても、その内容はさまざま。もともとSFA、データベースマーケティング、CTI、データマイングなど個別のソリューションを“CRM”というコンセプトの下にくくり直したものだからだ。今回は「CRM」に求められる機能としての、それぞれのソフトウェアジャンルを見ながら、具体例として主なソフトウェアを紹介する

[鈴木崇,@IT]

CRMアプリケーションの分類

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 本来、「CRM」とはソフトウェアのジャンルを表す言葉ではない。CRMは経営手法であり、“CRMソフト”を導入すればすぐに実現できるわけでもない。しかし、コンセプトがあっても実現が難しかったことが、ITを利用することで可能になってきているということも事実である。

 まずは「顧客を知ること」、そして「顧客に応えること」がCRMである。それをサポート・実現するソフトウェアが“CRMソフト”であろう。そこでCRMのシステムでは何より、顧客データベースが中心となる。この顧客データベースをどのような形で活用するかが、CRMを行おうとする企業、SI会社、アプリケーションベンダーにとっての課題ということになる。

 現在、CRMソフトとされるものには、もともとSFA、CTI、データマイニングなど異なるソフトウェアジャンルにカテゴライズされるものが混在している。これらは顧客データベースを持つ、あるいは扱うという意味で共通点があったが、それまでは別々に運用されていたものだ。それが「CRM」というコンセプトの下に統合・連携する方向に向かいつつあるといえる。しかし、CRMを実践する場合にはいろいろな方法があり、また個々の企業でのCRMへの取り組み方や目的が異なる以上、“CRMソフト”が単純な1つのものになることもない。

 一般的にITを使ったCRMのソリューションを分類するのに、「オペレーショナルCRM」と「アナリティカルCRM」という言葉が使われる。さらにこれに「コラボレーティブCRM」を加える場合もある。

 オペレーショナルCRMは、フロント・オフィス──つまり顧客サイドに近い業務を行う部門をサポートするソリューションで、営業部門強化が目的のSFA、コールセンターあるいはカスタマーセンターなどによるカスタマーサービス、およびWebでのOne to One実現を目指すWebマーケティングなどが含まれる。このうち、電話やメール、Webなどのコンタクトチャネルに着目する部分をコラボレーティブCRMと呼ぶこともある。

 さて、こうしたコンタクトとオペレーションを通じて、顧客情報を収集してデータベース化していくことになるが、そのデータベースやWebでの行動履歴などから、顧客のセグメンテーションやOne to One実現のための企業行動立案のための分析などを行うのがアナリティカルCRMである。

エンタープライズ統合

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 PART1「CRMアプリケーション、次世代の潮流」で見たように、CRMへの取り組みは企業全体で行う──という方向に進んでいる。システムとしては、カネ(ERP)、顧客(CRM)、モノ(SCM)のすべてを統合するという形で、このような全社的取り組みを一手に引き受けてしまおうというのが「スイート」製品である。

 この分野では、CRMソフト業界の最大手シーベルをSAP、オラクル、ピープルソフトといったERP製品ベンダーが激しく追いかけるという展開になっている。


Siebel 7

 シーベルはもともとSFAソフトのメーカーで、マーケティング、セールス、サービスといったフロントオフィスソリューションの統合に優れている。Webベースとなった最新版のSiebel 7は、CRMのほかにPRM(Partner Relationship Management)とERM(Employee Relationship Management)を統合したスイートとなった。

Oracle CRM

 RDBMSの雄オラクルの「Oracle CRM」は、同社の統合スイート製品「E-Business Suite 11i」のCRM関連ファミリ群のことを指す。ERP、SCM、BI(Business Intelligence)の各モジュールとの連携・統合に優れているとするのが売りだ。E-Business Suiteの前身「Oracle Applications R11」でもCRMモジュールが発売されていたが、この段階ではERP用の顧客データベースを使っていたため、CRMに必要な顧客属性をCRMアプリケーション側で追加する形にしていたため、整合性が取れないなどの不都合があった。現バージョンではCRMとERPでマスターを共有することで、根本的な解決を図っている。

mySAP CRM

 ERP業界の最大手SAPの「mySAP CRM」も、ERP、SCMなどのアプリケーションがそろっていることが売り。ERPでは国内シェア50%超の同社は現在、mySAP SCMの販売好調が伝えられており、CRMにとっても追い風といえよう。ERP、CRM、SCMともe-ビジネスプラットフォームmySAP.comの“部分”で最初から連携することが前提となっている。mySAP CRM 3.0からはレガシーシステムや他社ERPとの接続も可能になったが、やはり同社のERPソフトと組み合わせて使ったほうが導入や運用がスムーズだという。PLM(Product Lifecycle Management)への取り組みにも力を入れている。

PeopleSoft 8 CRM

 ピープルソフトは人事管理に強いとされるERPベンダーだが、同社の「PeopleSoft 8 CRM」の売りもERP、SCMソフトとの高度な連携機能だ。PeopleSoft 8 CRMの前身は、米ピープルソフトが1999年に買収した米バンティブの「Vantive Enterprise」で、これを同社の開発ツール群であるPeople Tools上で作り直したものである。ERPとCRMの双方が同一のアーキテクチャ上で動作するため、親和性は高く、データもリアルタイムにやり取りできる。また、HTML、HTTP、XMLなどの採用によるオープンアーキテクチャにより他社製品とのインテグレーション能力の高さも強みといえよう。

Siebel 7 日本シーベル
Oracle CRM 日本オラクル
mySAP CRM SAPジャパン
PeopleSoft 8 CRM 日本ピープルソフト

フロントオフィス統合

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会計システムやSCMは他社製品に任せて、CRM本来の顧客とのコンタクト部門に関するソリューションを提供するのがこの分野のソフト。顧客データベースが中核であることはもちろんだが、顧客データやそのほか顧客対応に必要なデータに社内の従業員が共通にアクセスできる従業員ポータル(ERM)、同じく社外のパートナー企業向けのパートナーポータル(PRM)といった機能を装備する。これにより、コールセンターに問い合わせた件がいざ注文しようと営業部門に連絡したら理解されていなかったなどのちぐはぐな顧客対応をなくし、すべての顧客対応部門の精度を上げて販売機会を逃さないようにしようというものだ。

Onyx Enterprise 2001

 オニックスの「Onyx Enterprise 2001」は、WebベースのCRMソフト。「ウェブ・ポータル」というコンセプトで、顧客の情報を社内およびパートナー企業で共有することで、顧客中心型のフロントソリューションを提供する。Onyx Enterprise 2001を構成するモジュールは、社内用ポータルの「Onyx Employee Portal」、顧客用ポータルの「Onyx Customer Portal」、ビジネス・パートナー用ポータルの「Onyx Partner Portal」という3つのポータルシステムインフラと、そのコアモジュールのOnyx e-Business Engineからなるが、その名のとおり、「企業情報ポータル」構築ソフトとしての側面を強くもつ。

Pivotal eRelationship

 「デマンドチェーン・マネジメント」というコンセプトを標榜し、社内向け、パートナー向け、既存顧客向けのフロント・オフィス部分をカバーするWebベースのアプリケーションを提供しているのがピボタル。社内向けポータル製品「Pivotal eRelationship IntraHub」は営業、マーケティング、サポートの機能を強化、パートナー向けの「Pivotal eRelationship PartnerHub」はパートナー各社との協業による営業活動を実施することが可能で、パートナー経由の商談もリアルタイムに販売予測に反映させることができる。さらに「Pivotal eRelationship CustomerHub」では、Webを通じて既存顧客からのサポート依頼やQA活動、知識情報の共有を行うことができ、顧客満足度を向上させることがが可能だ。

Blue Martini 4

 「Blue Martini 4」は、100%Javaアーキテクチャで構成された統合型CRMソリューションを提供するソフトウェア。基本となる4つのコア・アプリケーションで、パーソナライゼーション、コンテンツ管理、eコマース、データマイニングなどを統合、提供する。100以上のビジネスロジックとBtoB、BtoC、金融業、消費財製造の4業種向けにテンプレートを用意しており、導入までに必要となる時間を短期間に抑えることができる。

Onyx Enterprise 2001 オニックス・ソフトウェア
Pivotal eRelationship 2000 日本ピボタル
Blue Martini 4 ブルーマティーニソフトウェア

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