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» 2002年03月15日 12時00分 UPDATE

IT Business フロントライン (73):パソコン紛失で経験したドタバタ劇 失われて分かるバックアップの大切さ

[磯和春美(毎日新聞社),@IT]

 2月末、仕事で渡米したところ愛用していたノートパソコンを紛失してしまった。アーカンソー州に滞在中、ホテルのロビーにある公衆電話コーナーにうっかり置き忘れてしまったのだ。すぐに気がついて引き返したが、もはや影も形もなかった。ホテルのフロント係は親身に応対してくれたが、米国人の知人は「ホテルのロビーは往来と同じ。置き忘れるほうが悪い」。幸い、デジカメやデジタルビデオは無事だったため、その後の仕事はなんとかこなしたものの、大げさではなく片時も離したことのないノートパソコンを失い、現実に生じたトラブルの多さ、影響の大きさに「これほどまでに私の仕事や生活は端末に頼っていたのか」と、正直、驚かされた。今回のこの体験をもとに、私的な教訓と新たに得た知見をまとめてみたい。

忙しさに追われて、致命的ミス

 最初に私が失った環境について説明すると、自宅にはデスクトップパソコンがあるものの、仕事の原稿書き、データ整理、図表などの資料集めと資料制作はすべて今回紛失したノートパソコン(パナソニックのLet's note CF-B5)で作業していた。また、プライベートを含めたメールの送受信もすべてこのノートパソコンで行っていた。

 デジタルカメラの画像管理や自分のWebサイトの制作とデータ管理もノートパソコンで行っており、スマートメディア読み込み用カードと、モデムカードも差し込んだままだった。

 つまり、個人の職業上の主要データのすべてと、メールアドレスなど知人の連絡先、個人的な記録などをほぼいっぺんにロストしたことになる。

 海外渡航前にバックアップを取るのは常識、とのモバイラーの忠告を入れなかったことについては、いかに前日、徹夜で仕事に追われていたとはいえ、自分のミスであることは明白だ。

旅慣れた人の対策とは

 しかし同時に、つまらない言い訳ではあるが、20GBのHDDのバックアップを高速に行える環境が筆者の周囲になかったことも、バックアップに消極的だった理由の1つに付け加えておこう。これについてはUSBケーブルで接続できる可動式HDDを用意し、週末の夜などに定期的なバックアップを行うことが熟練者の間では常識になりつつあるそうだ。今回の教訓の1つとして、さっそくこれを実行することにした。

 また、個人データ──例えばWeb巡回の履歴などは、無料で管理してくれるWebサイトがある。旅慣れた知人によると「こうしたサイトに自分の履歴を覚えさせておけば、海外からでもインターネットカフェなどから簡単にWebチェックできる」とのこと。本当に旅慣れた人間は、モバイル機器を持ち歩くより、訪れた街角のネットカフェを活用することを重視するのだという。

 さらに知人は「メールはWebで閲覧できる無料のメールサービスで取得したアドレスにも必ず転送する。この転送メールでアドレス帳だけ作っておけば、海外ではWebへの接続環境だけでメールチェックできるし、アドレス帳のバックアップ代わりになる」と教えてくれた。もちろん転送メールは利用可能容量の節約のため、こまめに削除するのがコツだとか。これも今後、週に1度程度励行したいと思う。

痛い目にあって初めて分かるバックアップの重要性

 仕事のデータについては、失ったものに関してはどうにも解決のしようがなかった。今後は、普段からある程度たまったらDVD-Rなどに焼いてしまい、HDDには残さないようにすることで、バックアップと同時にノートパソコン自体も身軽になるわけで、新しいマシンを購入後はこうした管理方法を徹底するつもりだ。

 自宅にサーバを置くようなヘビーユーザーでもなく、すべてのデータをMOディスクで管理できる程度のライトユーザーでもない中途半端な立場にいる筆者でも、これまでノートパソコンの買い替えのたびに何回も、ほぼすべてのデータを新しいマシンに移植してきた。考えてみると買い替えるたび、HDD(やメモリ)は幾何級数的に増えているのだが、データ管理や圧縮といったことをあまり真剣に考えることなく過ごしてしまった。まったく不明の至りである。

 思えば、MS-DOSマシンでFDが記憶媒体の主流だったころには、データの圧縮について素人なりにあれこれ試してみたこともあった。しかし、いまのようにストリーミング用の動画やパワーポイント画像を大量に自分のパソコンに保存し持ち歩くようになるとは、まったく想像もしていなかった。

備えあれば憂いなし

 ノートパソコンの紛失で、図らずも自らのデータ管理についてもいろいろ考えることになったが、それでも失われた記録は戻らない。せめてもの慰めにと、クレジットカードにサービスとして付随している携行品保険が下りるかどうか調べてみた。すると、ノートパソコンなどの盗難・紛失の際には、地元警察への届け出の写しと、旅行の同伴者などの第三者によるレポートが必要だという。移動の多い旅だったため、警察には届け出ていない。しかし、事情を説明し「ホテルにはレポートを出しており、警備員もそれを記録してくれている」と話すと、その写しがあれば保険適用について検討してくれることになった。

 ところで、帰国してから調べて見たところ、「ノートパソコン」「紛失」「教訓」でGoogleの検索結果は軽く100件を超えた。なるほど、同様のトラブルの経験者は多いようだ。保険会社の話では、モバイル環境を必要とする人が増え、ノートパソコンやPDAの紛失や盗難に関する問い合わせも急増しているという。転ばぬ先の杖ではないが、痛い目に合う前に日々のバックアップと自分なりのデータ管理方法の徹底を心がけねばならない。

 最後に余談だが、結局筆者は紛失後10日余りは以前使っていたノートパソコン──これもパナソニックのLet's note CF-C33──を引っ張り出してきて急場を凌ぎ、15日に発売されるCF-R1RCXRを購入する予定だ。この原稿が掲載されるころには新しい作業環境が整っているはずだが、もちろん同時に可動式HDDなども購入して新たなデータ管理環境も整えるつもりである。

Profile

磯和 春美(いそわ はるみ)

毎日新聞社

1963年生まれ、東京都出身。お茶の水女子大大学院修了、理学修士。毎日新聞社に入社、浦和支局、経済部を経て1998年10月から総合メディア事業局サイバー編集部で電気通信、インターネット、IT関連の取材に携わる。毎日イ ンタラクティブのデジタル・トゥデイに執筆するほか、経済誌、専門誌などにIT関連の寄稿を続けている。

メールアドレスはisowa@mainichi.co.jp


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