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» 2004年09月16日 12時00分 UPDATE

システム部門Q&A(13):ここまでやればRFP作成工数は削減できる (2/3)

[木暮 仁,@IT]

システム化の第一歩は社内用語の統一から

 複数の関係者が共同作業をするには、そこで用いられる用語(概念)があいまいだと、互いに誤解を生じる危険があります。特に情報化ではベンダとの共同作業になりますが、自社内では常識であることがベンダにも常識だとはいえません。バベルの塔になるのを防ぐためにも、用語の統一が必要になります。これは、情報技術の知識は不要ですので自社でできることですし、自社固有のことなので自社でなければできないことなのです。

1.「ホモニム」と「シノニム」をなくす

 同じ名称なのに異なる意味を持つものをホモニム(同名異義語)といいます。「売上」や「得意先」などは日常的に使われている用語であり、誰でも同じように理解していると思いがちですが、案外、人により異なっていることが多いのです。以下に具体例を挙げてみます。

「売上」?

一般にはモノとカネの交換取引のことでしょうが、サンプルを無料で提供したときは、その数量は売上数量に入るのでしょうか? 4月に10個売り上げたのに、5月になってから何らかの事情により2個を買い戻した場合、4月の売上個数は10個、5月の売上個数を−2個とするのでしょうか。それとも4月の売上を8個とするのでしょうか?


「得意先」?

顧客である「量販店○○電器」には、<△△店舗>や<□□店舗>があり、商品は各店舗に納入し、代金は本社にまとめて請求するとします。そのとき、得意先とは本社と各工場のどちらを指すのでしょうか? また、自社内でA支店の在庫製品をB支店に送る場合、B支店は得意先に入るのでしょうか?


 逆に、同じ意味なのに異なる名称を用いることをシノニム(異名同義語)といいます。例えば、商品を在庫しておき出荷する場所のことを、「倉庫」「出荷基地」「デポ」などいろいろな名称で呼んでいることがあります。

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シノニム


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ホモニム


2.用語の混乱によるトラブルは深刻だ

 このように、ホモニムやシノニムが存在すると多くのトラブルが生じます。しかも、「売上」や「得意先」など、あまりにも一般用語なために、互いに誤解に気付かないことがあり、かえって深刻な事態になる危険があります。

a. システム開発での誤解を生じる

 システム開発では、要求を出す側と開発をする側が、十分に理解することが必要になります。ところが、用語の定義があいまいなために誤解を生じることが多く、発注者とベンダの間で大きなトラブルの原因になります。

 例えば、発注側は「得意先」とは○○電器だと思っており、ベンダは秋葉原店のような店舗だと思っていると、誤ったシステムになってしまいます。「売上」では、サンプル提供や返品をどう取り扱うのかが明確でないと、誤った納品書や請求書になってしまいます。

 社内でも用語の統一がなされていないときもあります。ベンダが担当部門の担当者にヒアリングをするとき、経理部門では「倉庫」、流通部門は「出荷基地」という異なった用語で説明すると、ベンダがそれぞれ異なる概念だと誤認することにもなります。

 逆にいえば、用語の標準化が社内で徹底されており、用語定義集として文書化されているならば、ベンダもその定義で用語を用いるので、つまらない誤解を防ぐことができます。そして、要求分析の時間がかなり短縮されるので、システム開発の期間短縮や費用削減に効果があります。

b. 出力情報間での整合性がない

 個々の処理で「売上」の意味が異なったり、「支店」に本社販売部門を含むかどうかがあいまいだったりすると、支店別売上一覧表と商品別売上一覧表の合計が一致しないようなことが発生します。個々の帳票に「売上」や「支店」の定義を明記することはしないので、その事情を知らない人は「コンピュータは当てにならない」という不信になることもあります。しかも、誤った解釈により重要な意思決定を誤らせることすらあります。

c. システム改訂が困難になる

 経営環境は激変しますので、情報システムへの改訂要求は頻発します。改訂作業では、改訂対象となるプログラムの特定、プログラム内の改訂個所の特定、改訂後の確認作業などがあります。そのときに用語が標準化してあれば、比較的簡単に修正個所の特定ができますが、あるプログラムでは「倉庫」、ほかのプログラムでは「出荷基地」としているのでは、探すのに多くの労力を費やしてしまいます。

d. 情報検索系システムが使いにくくなる

 利用部門の人たちが、公開されたファイルから任意な切り口で検索加工する利用形態を情報検索系システムといいます。そのとき、売上ファイルでの項目では「得意先コード」なのに、マスタファイルは「顧客マスタ」であり、顧客名称項目が「客名」だというのでは、利用者は戸惑ってしまいます。

 また、売上の意味が不明確だと「出力情報間の整合性」で述べたようなトラブルが発生します。特に情報検索系システムでは、情報システム部門が知らない環境で、多様な人が多様な処理を行うので、このトラブルはさらに深刻なものになります。

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