ワークショップ後半は、グループで作成したシナリオとポイントについての発表となった。
入力を簡素化するためにランドマーク登録機能を付ける、履歴管理をする、決まった路線は利用回数を入れるだけで料金表示が出るようにする、などの意見が出た。また、「神尾みかさんはおっちょこちょい」という性格をペルソナの個人プロフィールに追加したというグループもあった。
発表後、小野氏が作成したサンプルが配られた。複数の駅名がマッチした場合の処理としてインクリメンタルサーチの検討、経路の選択肢が複数ある場合、前に選択したものを優先度を高くして表示するなどのポイントを示した。
「ペルソナ/シナリオ法は、ユーザーの喜びを記述することでプロジェクトメンバーが『みかさんのために作ろう』という気になり、楽しく利用できます」と小野氏が締めくくった。
ワークショップに引き続き、質疑応答が行われた。その中から2つ紹介する。
──ペルソナ/シナリオ法を進めるとき、個人の経験でペルソナやシナリオの質にバラツキが出ると思います。そのバラツキにより、アウトプットが変わりますよね。
そのとおりです。それを避けるために、XPのペアプログラミングのような要領で、ペアでシナリオを作成することを勧めています。答えは1つではありませんから、気付きのきっかけとしてペルソナ/シナリオ法を活用してください。
──ペルソナ/シナリオ法は、汎用品向きなのでしょうか。
ある特定のユーザー層を対象とした操作デザインを行う場合には、そのユーザー層の特徴をペルソナのプロフィールとして記述することで、プロジェクトのメンバー間での想定ユーザーのずれを未然に防止することができます。
生井 俊(いくい しゅん)
1975年生まれ、東京都出身。同志社大学留学、早稲田大学第一文学部卒業。株式会社リコーを経て、現在、ライター兼高校教師として活動中。著書に『インターネット・マーケティング・ハンドブック』(同友館、共著)『万有縁力』(プレジデント社、共著)。
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