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» 2005年04月01日 12時00分 UPDATE

明日からできるプロジェクト管理(1):デスマーチを止める進ちょく管理の現実解:GanttProjectの導入で進ちょくをコントロールする (3/4)

[高野敦,@IT]

進ちょく管理ツールを使って管理する

 計画を作成した後は計画に従ってプロジェクトを進めていきますが、ガントチャートやWBSを専用のツールを利用せずに管理するのはとても難しいことです。順調に進んでいるうちはExcelなどで書いたWBSやガントチャートでも管理できますが、プロジェクトの途中で変更や修正が生じてしまえば、複数の作業に影響を与えてしまいます。その都度修正を加えていくのは難しいことです。専用のツールはよくできていてこのような変更に対して簡単に対応できます。ところがプロジェクトの規模や予算によっては商用の進ちょく管理ツールを利用できない場合があります。このような場合機能は若干少ないですが、オープンソースの進ちょく管理ツールを利用することができます。ツールはいくつかありますが、ここではGanttProjectというオープンソースの進ちょく管理ツールを紹介します。

GanttProject

 GanttProjectはGanttProject.orgで開発されている進ちょく管理ツールです。このツールはGNU General Public Licenseで提供されているオープンソースツールです。日本語のリソースも提供されているので、メニューなどが日本語化されており、日本語の使用も問題ありません。オープンソースツールとしても使いやすいのではないかと思います。

GanttProjectの機能

 GanttProjectでWBSを作成するにはタスクを追加します。サブタスクを作成するには親タスクを指定してタスクを新規作成するか、同じ階層にタスクを追加した後で階層を1つ下げます。これらの操作を繰り返し行うことで作業の階層を作成することができます。タスク間の関係は、タスクのプロパティとして先行タスクの設定を行うことができます。MSProjectでも設定することができる「終了−開始」「終了−終了」「開始−終了」「開始−開始」の4つを設定することができます。タスクを追加する際に表示されるタスク詳細画面は以下のとおりです。

 この画面の先行タスクタブを選択することでタスク間の関係を定義することができます。これらの機能を利用してGanttProjectでWBSを作成すると、以下の画面のようになります。

 担当者を追加することができます。担当者メニューから新規担当者を選択することで担当者を設定することができます。担当者の設定画面は、以下のとおりです。

 この設定の際にメールアドレスを設定することで、作業に問題が起こった場合、GanttProjectのメニューから担当者にメールを送ることができます。作成した担当者をタスクにアサインすると以下の画面のようになります。

 担当者から見たアサイン状況は、こんな感じです。

 上記画面において赤く表示されている個所が過剰アサインされており、バーが途切れているところがアサインされていない状況を表しています。

 このようにアサイン状況が把握できるので、過剰アサインされている場合は調整することができます。

 以上がGanttProjectの基本的な機能です。

 ほかにも、ガントチャートを画像(Fig、PNG、JPG)やCSV、PDF、HTMLファイルにエクスポートすることできます。PDFのレポートはプロジェクト概要、リソース、作業一覧、ガントチャート、リソースグラフを出力する便利なレポートですが、残念なことに日本語に対応していません。

 GanttProjectの大きな機能としてWebサーバとの連携があります。Webサーバに格納したファイルをHTTPを利用して取得し、ファイルを開くことができます。WebサーバにWebDAVの設定がなされていれば、進ちょく情報をWebサーバを介して共有することができます。

商用ツールとの違い

 このGanttProjectは商用ツールとはどのような違いがあるのでしょうか。

プロジェクトの分析

 プロジェクトの全体の進ちょく率は、WBSのレベル1をプロジェクト全体とすることで計測できます。しかし、完了予測を行う情報を取得することができないので完了予測を行うことはできません。ただし、上記で書いたとおり完了予測には単純ではない面があるため、Excelなどを用いて計算する必要があるかもしれません。

EVMでの適用

 GanttProjectでは実際のコスト(AC:Actual Cost)を記録することができないのでEVM(Earned Value Management)に対応することができません。

休日対応

 標準稼働時間・カレンダーが定義できないため、期間を設定したタスクが土日を含んでスケジュールされてしまいます(1.11で対応される予定です)。

タスクに対する管理項目の追加

 タスクに対して共通の管理用項目を追加することができません。タスクを担当する組織を登録する項目などを作ることができません。進ちょくについて複数の視点で分析する場合には利用できません。

ツールの利用方法

 上記のような制限を配慮して、GanntProjectを実際のプロジェクトで進めていく手順を考えてみましょう。

計画の入力

 プロジェクト全体で合意の取れた計画をGanttProjectに入力します。この入力したWBSをWebDAVを利用してWebサーバに保存します。

進ちょくの報告

 計画を立てる際に決定した進ちょく基準に沿って、成果物を評価し各メンバーの自己申告あるいはPMによる成果物の評価によって進ちょく情報を収集します。メンバーあるいはPMがWebサーバで共有されているGanttProjectファイルを更新します。

進ちょくの分析

 PMは定期的にGanttProjectのデータを基に分析を行い、進ちょくに関する問題の洗い出しを行います。

対応

 分析の結果問題があれば、プロジェクトでの報告、調整やリソースの追加などの対応を行い計画を更新します。

プロジェクト専用Webサーバの勧め

 Java Web Startを利用してGanttProjectを実行することもできます。Java Web Startを利用することで各メンバーがGanttProjectをダウンロード・インストールすることなく、スケジュールファイルを自動的に読み込み実行できます。ただし、GanttProjectのJarファイルを電子署名する必要があります。

 今回は進ちょく情報の共有だけですが、このような情報共有を行うプロジェクト専用(専用の領域が取れれば共有でも可)のWebサーバを利用して情報共有を進めていくことができればプロジェクトは混乱しにくくなります。

このようなプロジェクトの情報共有の仕組みは、このシリーズ全体を通して説明していきたいと思います。

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