なぜ、R/3との連携ではアドオンばかり増えるのか?SAP R/3バージョンアップ方法論(2)(3/4 ページ)

» 2005年04月20日 12時00分 公開
[斎藤 滋春,エス・アイ・サービス]

外部システム側で必要な開発内容は?

 ここまで、R/3と外部システムを連携させるための、R/3システム側の開発について記述してきたが、一方、外部システム側にも開発が必要である。外部システム側にはR/3とデータ連携を行うために、SAP標準プロトコル(ALEテクノロジ)をサポートすることは必須となる。各外部システム側にプロトコルをサポートするためのアプリケーションを開発するのでは、R/3システム側にアドオンプログラムを開発するのと変わりなくなってしまう。そこで提案するのが連携ソフトウェアの導入である。

 SAPのソフトウェア・パートナー・プログラムにおけるインテグレーション・シナリオの中に「CA-ALE(ALE Converter)」というシナリオがあり、R/3システムと外部システムとの連携ソフトウェアの認定を行っている。SAPのホームページで、どのような認定製品があるのかを検索することができるのでご活用されたい。

Search Results
Company Name Product Name
Data Application Partner ACMS EAIpro Certified for SAP NetWeaver
Fujitsu Partner INTERSTAGE CollaborationRing Certified for SAP NetWeaver
Infoteria Partner Asteria Certified for SAP NetWeaver
New Era of Networks Partner NEONadapter Certified for SAP NetWeaver
New Era of Networks Partner New Era of Networks Adapter Certified for SAP NetWeaver
SEEBeyond Technology Partner e*Way Adapter for R/3 Certified for SAP NetWeaver
Sterling Commerce Partner GENTRAN: Server for Windows NT Certified for SAP NetWeaver
System Integration Service Partner ConnectPlus Certified for SAP NetWeaver

 上記は「Interface: CA-ALE、Country: Japan」で検索した結果である。この検索結果だけを見ても、SAPシステムと連携するソフトウェアとして、アダプタというカテゴリからBPM/EAIというカテゴリに属するものまで多種多様である。それでは、SAP導入企業はどのようにしてソフトウェアの選択をしていけばよいのだろうか?

システム連携ではどんなソフトウェアを選択すればよいのか?

 まず、SAPシステムとの連携ソフトウェアの必須機能には、1.SAPプロトコルによるデータ連携、2.双方向起動、3.フォーマット変換/コード変換の3つが挙げられる。

 1.SAPプロトコルによるデータ連携は認定製品であれば問題なく対応されている機能であり、認定製品でなくても機能を有している製品もある。ここでは、SAPシステムとの連携において、ALEテクノロジ以外のSAPプロトコルによってシステム連携を図ることができる技術についてご紹介する。SAPから提供されるALEテクノロジ以外のIDocベースでシステム連携する技術には、EDI/IDoc(インテグレーション・シナリオ:CA−EDI)とIDoc/XML(インテグレーション・シナリオ:CA−XML)がある。

 EDI/IDocというのは、前述したようにALEテクノロジよりも先にR/3リリース2.1のころからあったインターフェイス技術で、EDIサブシステムと連携するために開発されたものである。EDIによる取引の特性からバッチ処理を前提としている技術である。EDI/IDocでは、R/3システムと外部システム(EDIサブシステム)間の受け渡しをIDocファイルという物理ファイルで行うために、ネットワーク環境の制限として、R/3サーバと外部システム(EDIサブシステム)用サーバが同一のLAN上にあり、任意のディレクトリでファイル共有(NFS)することが必須となる。そのため、ネットワーク障害やサーバダウンなどによってファイルの受け渡し時にエラーが発生した場合の再送手段などの運用面について、別途、考慮する必要がある。

 

IDoc/XMLというのは、R/3リリース4.0ごろにリリースされたインターフェイス技術で、SAPシステムと外部システムとの連携をインターネット環境で実現するために開発されたものだ。このインターフェイス技術の場合、外部システム(連携ソフトウェア)とSAPシステムが直接、連携しているわけではなく、その間にSAP Business Connectorという別のアプリケーションを適用することによって実現されている。SAPシステムとSAP Business Connector間はALEテクノロジによりデータ連携されており、IDocとIDoc/XML間の変換および外部システム(連携ソフトウェア)とのHTTP/HTTPSによるシステム連携はSAP Business Connectorが担っている。

 この場合、SAPシステムと連携ソフトウェアとの間にSAP Business Connectorが入っているため、開発しなければならないアプリケーションが1つ追加されるうえに、運用においてサーバ(ハードウェア)やアプリケーション(ソフトウェア)などでシステム管理が煩雑になる。しかも、SAP Business Connectorと外部ソフトウェア(連携ソフトウェア)間をHTTP/HTTPSプロトコルで接続するために、開発、運用においてセキュリティについても考慮しなければならない。しかしながら、IDoc以外にもXML化したRFC、BAPIによるシステム連携も可能であるということを付け足しておく。

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