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» 2005年05月27日 12時00分 UPDATE

問題発見能力を高める(9):「そんなむちゃな!」に対応できる柔軟な発想力とは (2/3)

[秋池 治,@IT]

1+3、柔軟な発想

 柔軟な発想には物事を“多面的にとらえる”ことが必要であること、そしてそれはトレーニングによって、後天的に身に付けることが可能であることを第3回「『問題発見力』の強化は可能か?」で説明しました。柔軟な発想は、次の1+3の思考を意識することで強化できます。

1 メタ思考
問題を鳥かんし、問題解決の目的を意識する
1/3 源流追求型思考
問題の理由を「なぜ」「なぜ」とさかのぼる
2/3 現状(の制約条件)否定型思考
いまある制約条件が、もしないとしたらどうなるか?
3/3 課題解決型思考
問題がないように見える領域に、あえて課題を設定し可能性を探る

メタ思考

 「メタ思考」――あまり聞き慣れない言葉ですが、広辞苑によると“メタ”とは、「間に」「後に」「越える」という意のギリシャ語だそうです。特に難しいことではなく、私たちになじみのある言葉では次のようなものがあります。

○木を見て森を見ず
○枝葉末節にこだわる

 メタ思考の意味は「高い視点でものをとらえること」ですが、問題発見力では高いだけではなく、マクロからミクロまで、柔軟にズームが効いた視点ととらえてください。そしてメタ思考で何より重要なポイントは、“目的を見失わない”ことです。枝葉末節にとらわれず大所高所からの効果は、目的をハッキリ認識できるという形で表れます。

 前回、顧客満足度の話をしたのは、問題発見の最終目的である“顧客の目的”を意識するためでした。もし顧客の目的を正しく認識できない、または途中で見失ってしまうようなことがあったとしたら、顧客満足度120%のソリューションの提供は不可能でしょう。特にシステムの導入はその途中から、システム導入そのものを目的としてしまう、“手段の目的化”という迷路に迷い込んでしまう危険が多分にあります。

源流追求型思考

 源流追求型思考とは現在の状況から、「なぜそうなったのだろう」というような問い掛けを繰り返し、その源流にまでさかのぼってゆく思考方法です。「風が吹けば桶屋が儲(もう)かる」は、源流追求型の発想です。結果側から源流(原因)にさかのぼってゆきます。

ALT 源流追求型思考

現状(の制約条件)否定型思考

 現状(の制約条件)否定型思考は、会社や業界の常識やあることを行う際に、それを阻害する制約条件を一度外して考えてみるという発想方法です。先ほどの「そんなむちゃな……」の例は、「人件費を減らすには、社員を減らすか各人の給与を減らすしかない」という、一見間違いのない常識に対して「本当にそうなのか?」という素朴な疑問を持つことからスタートしました。

 難題に立ち向かうとき「○○という制約があるのでできない」といような、できないもっともな理由(意見)が出ることがあります。例えば「今回のプロジェクトは時間の制約があり不可能だ」のようなパターンです。この際、「では、時間の制約がなかったとしたらできるか」と考えてみます。

 もし、時間の制約がなければ、プロジェクト遂行が可能であれば、いかにその制約条件をクリアするかを考えればよいことになります。しかし、当初に挙げた制約条件を外しても、できないことが多くあります。例えば時間が足らないのではなく、そのプロジェクトを実行する経験やスキルが不足している場合などです。プロジェクトを進めるうえで本当の問題がスキル不足であれば、不足しているスキルを別の企業から調達するというような対策を取ることも考えられます。

 ある楽器メーカーの“音の出ない楽器シリーズ”の売れ行きが好調だといいます。もともと楽器は音を鳴らす道具ですから、昨今の集合住宅比率の高まりなど、マーケット環境としては厳しいものがありました。そこで、「音の出ない楽器はできないのか」という現状否定型の発想でピアノをはじめドラム、トランペットなど大きな音がして自宅ではとても演奏できなくなった楽器を次々とラインアップし、さらにデジタル化技術と併せてこれまでの需要を大きく超える新たな市場を創出しています。

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