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» 2006年04月06日 12時00分 UPDATE

セキュリティツールで作る内部統制(1):日米SOX法や内部統制とITの関係を理解しよう! (1/3)

今月、ついに日本版SOX法を含む「金融商品取引法案」が閣議決定され、国会に提出された。法案の可決は有力視されており、2年後の2008月4月から適用される見込みだ。当初、うわさされていた2007年4月からの適用とはならなかったものの、残り約2年間にやらなければならないことは多い。この連載では、日米のSOX法やそこで求められている内部統制の概要、押さえておくべきポイントなどを紹介していく。

[中島 浩光,@IT]

はじめに〜日本版SOX法がやって来た!!

 2006年3月10日、いわゆる「日本版SOX法」を含む「金融商品取引法案」が閣議決定され、今国会に提出されることになりました。おそらく国会を通過し、成立するものと思われます。この法律の施行、つまり、企業への適用は2008年4月(2009年3月期)となる見込みです。昨年、今年といろいろ騒がれてきたこの法律ですが、ようやく現実のものとしてとらえる必要が出てきたわけです。

 この連載では、オリジナルである米国SOX法(サーベンス・オクスリー法)や日本版SOX法、また、そこで求められている内部統制の概要や押さえておくべきポイント、そしてその中でITやITを使った内部統制がどう関連するのか、IT担当者は何を考えなければいけないのか、といったことを、筆者自身の考察も加えながら、できる限り分かりやすく解説していきたいと思います。私が所属するCA(コンピュータ・アソシエイツ)の製品は、米国SOX法に対応するために、すでに米国企業に多数導入されていますので、私が会社から得た米国の情報なども紹介していきたいと思います。

 まず、第1回となる今回は基礎知識として、米国SOX法や日本版SOX法の概要と内部統制のフレームワークについて説明します。

米国SOX法とは〜エンロン・ショックが作った法律

 「Sarbanes−Oxley Act:サーベンス・オクスリー(オクスレー)法」(通称:米国SOX法)は、2002年7月に米国で成立した法律です。日本では「企業改革法」と呼ばれることも多いようですが、実は「Public Company Accounting Reform and Investor Protection Act of 2002:上場企業会計改革および投資家保護法」が正式名称だと知っている方は少ないのではないでしょうか。この法律は市場を揺るがした、いわゆる「エンロン・ショック(エンロン事件)」がきっかけとなって制定された法律なのです。

 このエンロン事件について、簡単に経緯をたどってみましょう。エンロンは、総合エネルギー取引とIT関連ビジネスで、2000年度全米売上高第7位という米国有数の大企業でした。しかし、巨額の不正取引と粉飾決算が明るみに出て、2001年12月に破たんします。この粉飾決算には大手会計事務所のアーサー・アンダーセンも加担しており、最終的にはエンロンもアーサー・アンダーセンも消滅してしまった、という事件です。当然ながらエンロンの株や債権は暴落し、これらを組み込んでいたファンド(MMFや投資信託など)も元本割れを起こすという事態に陥り、そのため多くの投資家が莫大な損失を被りました。

 さらにエンロン事件の後には、米大手通信会社ワールドコムをはじめとした複数の企業の粉飾決算発覚が続いて数社が破たんし、事態が深刻化しました。こういった企業側のずさんさが原因で投資家に被害が及ばないようにするために、米国SOX法は異例の速さで導入されたといわれています。

 さて、こうしてできた米国SOX法の内容は非常に膨大なのですが、結局のところ、その趣旨を要約すると、以下のようなことだと私は理解しています。

目的:投資家の保護と健全な金融市場の形成の推進

対象:上場企業(市場で投資対象となる企業)

義務:

  • 財務報告や決算報告でうそをつかない(ディスクロージャー資料の正確性と透明性)
  • うそをついていないことを保証する(説明責任と内部統制の実施)
  • 監査人は不正行為に関与せず、正しく監査すること(監査人の独立)

 これらに反する行為を取った場合、経営陣(企業)および監査人(監査法人)には最大で500万ドル(約6億円)以下の罰金、または20年以下の懲役、もしくはその両方という非常に厳しい処罰が科せられます。そのため、企業と監査法人がともに、米国SOX法404条「経営陣による内部統制の評価」に定められる内部統制の実施・監査を、それこそ「目の色を変えて」徹底し始めたのです。

 そして、その内部統制には、ITやIT部門もかかわってくるのです。どのようにかかわるのかは、この連載で今後説明していきます。

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