今回はいつもと趣向を変えて、オフショア開発勉強会の様子をお伝えする。テーマは「成都オフショア開発の現状報告」だ。成都オフショア開発の現状はどのようなものになっているのだろうか。
今回はいつもとは少し趣旨を変えて、筆者が東京で定期的に開催しているオフショア開発勉強会からの話題を取り上げようと思います。取り上げるテーマは、2006年6月に開催した第11回勉強会の「成都オフショア開発の現状報告」です。
勉強会では、毎回オフショア開発に関連する幅広いテーマでゲスト講師をお招きし、成功の秘訣やタイムリーな情報をお届けしています。先日のオフショア開発勉強会では、成都ハイテク開発区日本事務所の担当者をお招きし、中国成都の魅力を語っていただきました。講演に先立ち、筆者がゲスト講師に対して出した注文は以下の3点です。
勉強会への参加者は、成都オフショア開発に関して、どんな情報を求めているのでしょうか。事前アンケートでは、勉強会への期待として以下のようなコメントが寄せられました。
・私は成都出身の女性です。2006年5月に成都でソフト会社を設立しました。日本の会社が成都のどこに興味があるのかを知りたいです
・成都オフショア開発の品質レベルはどれくらいなのでしょうか? またリスクをどのようにコントロールしているのかを知りたいです
・成都の特徴、気候、気質などに興味があります。特に日本人を成都に派遣するに当たり、彼らが気持ちよく住めるかどうかを知りたいです
・成都のIT環境や、成都(内陸部)は本当に人件費が安いのでしょうか?
・おととし、上海に現地法人を設立したときから携わってきました。半年ほど上海に滞在し、成都で求人活動を行ったこともありますので、とても興味があります
・上海にオフショア開発の子会社を持っていますが、離職率が高く悩んでいます
・特にリーダークラス、マネジメントできる人材が確保できるのかについて、そして品質の面でどうかを知りたいです
・成都の大学や教育機関は非常にしっかりしていると聞いていますが本当でしょうか?
・自分が成都に住めるかどうかを知りたいです
・1年半前から中国の人件費が上がったため、ほかの国に出し始めています。自分も危機感を持っています
・1年ちょっと前からオフショア開発を始めました。いまのところ大連の1社しか知りません。しかし、その1社は、進ちょく管理、品質、テストで解決できていない問題があります。コミュニケーションや品質の問題もあります。成都のことはほとんど知らなかったので、大連とほかの都市を比較したいです
・北京・大連の経験あり。西安など内陸部の実態はどうなのでしょうか? 名古屋からだと行きにくいですが、いろいろな都市を検討したいです
それでは、早速勉強会の詳細を報告します。
初めに、成都という街の概要を紹介します。成都は四川省の省都であり、人口1060万人で、面積は1万2300平方キロメートルあります。33の大学に30万人の学生が在籍し、理工系の卒業生は年間4万5000人に達します。
成都には1991年に設立された国家レベルのハイテク開発区があります。もともと理工系の技術力には定評がありましたが、成都ハイテク開発区日本事務所からいただいた資料によりますと、成都には以下に示すような魅力があるようです。
ここで、成都出身の中国人読者から筆者あてに届いたメール(一部抜粋・修正)を紹介します。
人件費が安く、人材も豊富です。しかも、人材の定着性は上海や北京より良いのが特徴です。成都の人は比較的に満足しやすく、安定した生活を好むからです
オフショア開発勉強会では、さまざまな角度から成都を分析して、参加者による活発な意見交換が行われました。しかしながら、いくら成都の人件費が安く、なおかつインフラ整備が行き届いていたとしても、日本向けオフショア開発の生産性が悪ければ意味がありません。本記事では、脚光を浴びる表舞台だけではなく、裏に隠れた陰の部分も紹介しましょう。
例えば、2006年8月現在、日本から成都への直行便はありません。関係者によると、成都には立派な大型空港(双流国際空港)があり、以前は日本への直行便も就航していたそうです。しかし、採算が取れずに閉鎖に追い込まれたとのことです。従って、もしあなたが「東京⇔成都の直行便」の案内を目にしたとしても、現在のルートだと必ず北京または上海で1度降ろされてしまいます。東京⇔成都の移動は、約7時間を覚悟するようにとのことでした。
四川省は、いい土地ですよ!
しかし、日本から見れば直行便もなく、少々遠いところのようです
(日本人読者)
中国政府の強力な支援のおかげで、成都のインフラは徐々に整いつつあります。ところが、肝心の日本対応ができる人材は、圧倒的に不足しているようです。
四川省内のどこでも、日本語教師の“絶対的な”不足を嘆いていました。
日系企業も日本人現地採用に応募してくれる日本人がいないと、ぼやいていました(実際、日本からの駐在員ばかり)
(日本人読者)
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