データセンターのサービスを理解する間違いだらけのデータセンター選択(3)(2/3 ページ)

» 2006年09月27日 12時00分 公開
[近藤 邦昭,まほろば工房]

前面マウント位置と扉まで十分なスペースはあるか

 機器によって、前面のマウント金具の位置からさらに前面に飛び出ているものや、金具よりも機器本体が後ろにあるものなどさまざまです。

 重要なポイントは、ラックマウントしたときに、機器本体の前面からラックの前面扉まで十分なスペースが確保できるかどうかです。十分なスペースが確保できないと、ケーブルが接続できなかったり、たくさんのケーブルで「エアフロー」(連載の後半で解説します)、つまり機器を冷やすための空気の流れが遮断されるなどして、運用が煩雑になるだけでなく、トラブルにつながる可能性も高くなります。

前面マウント位置と背面マウント位置の距離は十分か

 扉付きラックの場合、前面のマウント支柱2本と背面のマウント支柱2本の、計4本の支柱で構成されます。奥行きの長い機器の場合は、この4本の支柱すべてを利用して4点で機器を固定します。

 この場合、前面の支柱と背面の支柱の幅がラックマウント金具の許す幅の範囲にないと機器をマウントできません。購入の前にラックマウント金具の仕様について確認しておく必要があります。

ほかの顧客と扉が分かれているか

 データセンターには、「1/2ラック」「1/4ラック」など、1ラックを分割して顧客に使わせるサービスもあります。この場合、ほかの顧客と作業空間を分離するため、そのスペースごとに扉を付け、上下の顧客とのスペースも棚などで分離することで、ほかの顧客とのラックの空間を分割しているデータセンターがあります。1U単位でレンタルするような場合は、このような配慮は相当難しいと思いますが、可能であれば、ほかの顧客とのラックの空間を物理的に分離してくれているデータセンターをお勧めします。

 ほかの顧客と物理的に分離されていない場合は、他の顧客が作業を行った際に、不用意に自分たちの機器に触れられる危険性があります。

廃熱は十分設計されているか

 通常のデータセンターの場合、エアフローはラック単位で考慮されます。このエアフローは、稼動している機器を冷却する上で非常に重要です。1ラックそのまま借りる場合は問題ありませんが、分割している場合、特にラックの中央を借りるようなケースは、自分のスペースにたまる熱がきちんとラック外部に廃熱され、冷却された空気が供給されるかどうかを確認しましょう。

 一番上、もしくは一番下の場合は、廃熱ファンが上部にあったり、冷風が下から供給されたりしているので、多くの場合問題になりません。

電源の系は分割されているか

 ラックに供給される電源は、ラック単位でブレーカーが設置されているケースが多く見受けられます。ラックを分割して借りる場合、ほかの顧客とブレーカーが共有されていないかを確認しましょう。共有されている場合は、ほかの顧客が電力を多く消費してブレーカーが作動した場合には、自分のスペースも道連れにして電源が落ちてしまいます。共有されている場合は、データセンター側が正しく電源管理をしてくれているかを確認しましょう。

 ここまで、ラックの作りと注意点について述べてきましたが、センターマウントラックと扉付ラック共通、つまりどのラックでも共通で気を付けるべきこととして、機器をラックに設置するためのネジについて解説しておきます。

 ラックマウントのネジの規格には、「インチネジ」と「センチネジ」の2種類があります。インチネジは、米国の単位系にのっとった「インチ」を基準に作られたもので、センチネジは、日本などで利用している「センチメートル」を基準に作られたものです。私の経験では、インチネジが多く使われています。また、ネジの太さについても6mmや8mmなどいくつか種類があります。通常、ラックマウント用のネジは、データセンター側から貸し出しまたは購入という形で供給されるので問題にはなりませんが、自分で購入しなければならない場合には注意が必要です。

 一方、ラック側のネジの作りも注意しておいたほうがよいでしょう。

 ラック側のメス側のつくりはいくつかあります。(1)ラックの支柱そのものにネジ穴を開けてネジ山を切っているもの、(2)支柱にメス側のネジ山が切ってある金具を差し込むレールがあり、そこに50cmほどの長さのメス側のネジ山が複数切ってある金具を差し込んで固定するもの、(3)支柱には四角い穴だけが開いており、1つ1つの穴にメス側のねじ山が切ってある金具をはめ込んで利用するものなどです。

 お勧めは(3)の、個々の穴にメス側のネジの金具をはめ込んで利用するものです。ネジは規格どおりに作られていますが、場合によっては多少の誤差があり、たまにネジが締められない場合がありますし、ネジを締め付ける段階で、ねじ山がつぶれてしまうことも考えられます。こういうことを考慮すると、個々のネジが独立しているほうが安心といえるでしょう。

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