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» 2007年02月28日 12時00分 UPDATE

特別企画 Lotusphere 2007に見るIBM Lotusの戦略:IBMコラボレーション製品は、どこへ向かうのか? (1/3)

「一蓮托生」とは同じハスの花の上に生まれ変わること、あるいはハスの根がつながっていることから生まれた言葉だという。情報共有基盤もコンテンツの資産化により、ユーザーと製品ベンダが一蓮托生の関係になりやすく、ユーザーは製品ロードマップに注目せざるを得ない。今回は、今年1月に米国で行われたLotusphere 2007の発表内容から、Notesの未来と戦略を客観的に洞察していこう。

[砂金 信一郎(リアルコム株式会社),@IT]

Lotusphere 2007で見えたNotesの未来

Lotusphere 2007会場でのリアルコムブースの様子 Lotusphere 2007会場でのリアルコムブースの様子

 今年1月、IBMは米国フロリダ州オーランドでLotusブランドのカンファレンス「Lotusphere 2007」を開催した。その内容はすでに各メディアが報じているので、本論では個別発表内容自体の紹介は控えめにして、発表が意味するところを解説しながら、Notesの未来を「見える化」していきたい。

 リアルコムも会場にブースを構え、筆者も会場で時を過ごした。われわれがLotusphereに出展して得たものは米国向け製品を展示したブースでの商談だけでなく、技術者を中心としたLotus関係者とのディスカッションを通じて得られた、IBMの今後の戦略に関する示唆であると考えており、ここではその一端をシェアしていきたい。以下の内容には異論もあるかもしれないが、情報共有分野に専門特化した独立系コンサルティング会社の視点から、客観的に洞察したものだ。

図1 個別製品戦略から全体戦略を見える化するアプローチ 図1 個別製品戦略から全体戦略を見える化するアプローチ

 ただし、以下に述べる各種情報はLotusphere 2007で筆者が見聞したものであり、中には正式見解でないコメントも含まれる。また、具体的製品化や取り扱いが米国と日本で異なる場合があることも考えられる。興味をお持ちいただいた読者は、日本IBM社からのアナウンスをお待ちいただきたい。

Lotusphere 2007のキーメッセージLotusphere 2007のキーメッセージ

 前評判では、Lotusphere 2007最大の目玉は、「Hannover」というコードネームで呼ばれてきた「IBM Lotus Notes/ Lotus Domino 8」(以下、Notes 8)のローンチであるといわれていた。しかし、実際に会場で時間を割いて紹介されたのはNotes 8ではなく、「Lotus Connections」と「Lotus Quickr」という、聞き慣れない隠し球的な製品であった。まずは、これら新製品とNotes 8について、その概要と意味合いを見ていこう。

Hannover──堅実に改善されたLotus Notes 8

 まず、Notes期待の次期バージョン「Notes 8」である。Hannoverのコードネームで関係者には知られていたもので、Eclipseをベースにしたリッチクライアント環境を採用し、カスタマイズやアドオンの開発、他製品との連携の面で改善が施されている。

 このクライアント環境は、「Lotus Expeditor」として個別に提供されるようである。Lotus ExpeditorはEclipseからソフトウェア開発に必要な機能を取っ払い、代わりにコラボレーション基盤として使うための機能を盛り込んだもので、IBMのリッチクライアント戦略の根幹を成す技術である。Webブラウザによる制約をAjaxやFlashで回避するのではなく、Webブラウザの代わりになるアプリケーション実行環境を提供するという策だ。アプリケーション配布の自動化など管理面での効率化を図っており、Webブラウザ一辺倒の世の中に風穴をあける可能性を秘めている。

 Notes 8で強化されるポイントのうち、機能面ではメールやカレンダーなどの本来的なグループウェア機能は充実している。Microsoft Exchange対抗としては順当な機能が盛り込まれており、既存のNotesユーザーにとって魅力的に見えることが推測される。

 一方、Notesを情報共有基盤としてエンドユーザー・コンピューティング花盛りだったころから独自設計のDBを使い込んでいる企業にとっては、“朗報”といえる情報は残念ながら少ないといわざるを得ない。逆に、アプリケーション実行環境が変わったことで、これまで以上に上位互換の担保が難しくなっているのではないかと想像してしまうが、ここはIBMにぜひ頑張ってもらいたいところである。DBの乱立による情報のタコツボ化などへの対処はいまだ解決策がないため、依然として横串検索やポータル連携などサードパーティ・ソリューションの組み合わせが必要な状況が続きそうだ。

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