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» 2007年05月18日 12時00分 UPDATE

運用管理者のための知恵袋(15):情シス業務アウトソーシングの秘訣 (1/2)

情報システム業務のアウトソーシングで失敗するケースは多い。最初の認識が甘いと失敗の可能性が高くなる。アウトソーシングで成功するための考え方を紹介する。

[sanonosa,@IT]

 コスト削減、コアコンピタンスへの業務集中、情報システム部員の採用難などの理由から情報システム業務のアウトソーシングを検討する場合がある。しかし安易な考えでのアウトソーシングはむしろ逆効果になることがある。そこで今回は成功する情報システム業務のアウトソーシングについて考えてみたい。

情報システム業務のアウトソーシングとは

 「情報システム業務のアウトソーシング」といってもイメージが沸きにくいので、まず一般的なサービス内容を列挙してみる。主なものには

  • 各種運用代行
  • 定期訪問
  • 担当者の常駐
  • サーバやシステムの監視
  • IT戦略立案
  • 導入支援

などがある。

 また、これに加えて大企業を対象とした包括的アウトソーシングもある。こちらは情報システム業務を一切合財アウトソーシングするもの。複数年契約で契約金が数十億〜数百億円にもなる場合がある。

アウトソーシングの失敗事例

 アウトソーシングが検討される理由はさまざまだが、認識が甘いと失敗する場合が多い。そこでここでは、アウトソーシングで非常によくある失敗事例を4つご紹介する。

[失敗事例1]

 従業員十数名の小さな会社A社。この会社では会社初期のころから、パソコンに詳しい1人の従業員が情報システムの管理を兼務していたが、ある日その唯一の管理者が退職することとなった。これに伴いA社は、代替となる人材を採用するのではなく、この機会に情報システム業務をアウトソーシングすることに決めた。契約内容は、アウトソーシング会社から定期的に訪問を受け、急ぎではないトラブルや相談事は訪問時に解決し、訪問時以外の緊急案件はスポット料金を支払うことで対応するというものだ。

 しかし結果的に、このアウトソーシング契約は長くは続かなかった。その理由は2つある。1つ目は情報インフラがもともと家庭用機器で構成されていたことだ。家庭用機器は安価な反面、製品の品質や製品のサポート体制が劣るのに対して、業務用機器は高価だが製品の品質が高く、製品のサポート体制も充実している。A社の場合、機器の故障が頻発したため、定期訪問時の対応だけでは追いつかずスポット対応が増えたが、機器メーカーのユーザサポートに電話をかけてもなかなかつながらない。スポット料金は対応時間に比例するのでスポット料金が高価になりがちだった。

 2つ目は、こうした経緯もあり、アウトソーシング会社は情報インフラを業務用機器に入れ換えるという妥当な提案をしたが、それに対してA社は「業者が高い機器を売りつけようとしている」と判断して却下した。このようなことがその後も積み重なり、両社間の信頼関係が崩れ、契約解除となった。

[失敗事例2]

 従業員数数十名のB社。この会社は歴史のある古い会社で、正直にいって世の中のIT化の流れについていけないと考え、IT戦略立案レベルからアウトソーシングした。

 アウトソーシング会社はB社の期待に応えるべくさまざまな提案をした。しかしB社は営業支援システムなど利益に結びつくものには食いつくが、利益を生まないセキュリティ案件には全然興味を示さない。アウトソーシング会社にとってB社に関する一番の心配は、セキュリティ対策が非常に弱いことであった。代行を請け負っている以上、何かあったら何らかの責任問題に発展することは目に見えている。

 アウトソーシング会社は自社の提案が却下されているため、もし今後何かセキュリティトラブルが発生した場合、責任はないといい張ることはもちろんできるが、そうすると恐らくB社からは「絶対必要なのであればどうして何が何でも必要だと主張してくれなかったのか、そういったことを我々はプロのあなたがたに期待しているのだ」といわれてしまいそうだ。しかし、もしそのように主張していたら、今度はB社に「我々は業者にあれこれ指図されるいわれはない」とでもいわれることは目に見えている。

[失敗事例3]

 従業員数200名の中堅企業C社。この会社はわずか2名の情報システム担当者で回していた。今後C社の社員数は増大が見込まれたが、コスト的にも良質の人材採用という意味でも、情報システム担当者の増員は難しい状況であった。そこでIT戦略の立案と導入を既存メンバーで行い、社内サポート要員は常駐派遣を受けるという形でアウトソーシングしようと考えた。

 しかしこのアウトソーシング契約は最初うまくいかなかった。理由はアウトソーシング費用を相場よりかなり安く抑えようとしたためだ。値切りに値切った契約となったため、アウトソーシング会社としてはあまり利益が見込めないB社に優秀な人材を派遣することができず、ほとんど新人に近い人材を派遣することにした。その結果はいうまでもなく、C社社内のサポートレベル低下という結果となって表れた。このことを教訓に、B社はアウトソーシング会社にレベルの高い人材の派遣を約束してもらうことを条件とし、アウトソーシング会社への支払い額を増やすことにした。

[失敗事例4]

 従業員数が2000名程度の、比較的規模の大きい会社D社では、会社の業績不振で組織体制の見直しが行われ、コアコンピタンスに関る部門以外の部門は極力アウトソーシングに切り替えることとなった。その方針に従い情報システム業務は大手IT企業に全面アウトソーシングし、社内には担当者として数名を残して情報システム部は解体されることとなった。

 しかしこのアウトソーシングは契約締結の段階から難航した。大企業がアウトソーシングサービスを受ける場合、アウトソーシング会社は数カ月かけて全体のITインフラや運用状況を調査・把握を行ったうえで、契約書の原案を作成するのが普通だ。その後両社間で契約書が詰められるが、特に責任範囲や責任レベル(SLA)締結条件のところで激しい綱引きが行われることが多い。そうした過程を経てD社向けの契約書がなんとかまとまったが、最終的には業務上何か問題があるとすぐにアウトソーシング会社の責任にされてしまう契約になってしまった。そのため、何をやるにしてもいちいちD社に確認をすることで責任問題を回避しなければならないという、アウトソーシング会社にとっては大変やりにくい契約となった。

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