社内ブログを導入しよう運用管理者のための知恵袋(16)(2/2 ページ)

» 2007年06月20日 12時00分 公開
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プル型メディアとプッシュ型メディア

 「プル(PULL)型メディア」とはユーザーが自らアクションを起こさないと情報が入手できないメディア、それに対して「プッシュ(PUSH)型メディア」とは情報発信元から情報が送られてくるメディアのことである。例えば掲示板はプル型メディアであるのに対して、メールやメーリングリストはプッシュ型メディアである。ブログも基本はプル型メディアであるが、既存メディアと大きく違うのは、RSSリーダーを使うことで興味ある情報源がプッシュされることである。例えば、もし業務連絡ブログや社長ブログの閲覧を義務化したいのであれば、全従業員に対してRSSリーダーにそれらのブログを強制的に登録させればよい。もしRSSリーダーを使わない人がいるのであれば、従業員にとって必須の情報をRSSリーダーでしか閲覧できないようにすればよい。

情報の再活用について

 さまざまな情報が含まれる各ブログ記事から重要なデータのみを抽出して整理するという作業は意外と難しい。データには構造化されたデータと構造化されていないデータ(非構造化データ)があるが、ブログは典型的な非構造化データである。ブログデータを整理するには構造化しなければならない。非構造化データを構造化するためにはルールが必要である。そのルールが明確に決められれば、コンピュータシステム化して自動抽出できるが、自由に書かれたデータについて、明確なルールを決めて自動抽出させるのはおそらく無理である。それでも重要なデータのみを抽出して整理したいのであれば、人海戦術でデータを構造化していくか方法はない。ブログは書きっぱなしには強いが情報再活用には弱い。しかも、各ブログ記事のコメントやトラックバックまで構造化するのはかなり難しい。

 また、退職した社員のブログの扱いを検討する必要がある。退職後に元社員のブログを消去するのか残しておくのかは非常に重要な問題だ。ブログはプライベート空間のようなものであるため、管理上は消去したいが、一方でデータが企業資産と考えたら消去したくない。

社内ブログはまったく新しいツール

 社内ブログには従業員が各々自由な発想で日々思っていることを記していくという性質がある。こういった使われ方は過去どのツールにも存在せず、その意味でまったく新しいツールであると言える。従業員の新しい発想を引き出すのに最適で、今後積極的に導入を検討すべきツールの一つではないか。ただ、すでに問題提起したように、自由であるがゆえに、閲覧を制限したり情報を集めて再活用するのが難しい。しかしこれらの問題もいずれ、有用なツールが登場することで解決されていくと思われる。特に情報再活用については、検索技術が日々進化しているので、非構造化データを十分満足できるレベルに構造化してくれたり、書き込み動向をビジュアライズ(最近発売された商品について従業員ブログの書き込み統計を取ると、「80%が好意的に思っているが20%は否定的に思っている」といったことが分かるなど)できるようになっている。

 以上、16回にわたり連載させていただきましたが、今回が最終回となります。長い間ご愛読ありがとうございました。またどこかでお会いしましょう。

sanonosa

個人blog(sanonosaシステム管理コラム集)

著者紹介

▼著者名 sanonosa

国内某有名ITベンチャー企業に創業メンバーとして携わる。国内最大規模のシステムを構築運用してきたほか、社内情報システム業務を経験。韓国の交友関係が豊富なことから、韓国関連で多数のシステムインテグレーションを行ってきた。


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