イージェネラが進む「第3の道」仮想マシン環境最新事情(3)(2/2 ページ)

» 2007年06月25日 12時00分 公開
[三木 泉,@IT]
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──物理的な存在と論理的な構成を分けて考える「仮想化」というコンセプト自体が、一般の管理者にとって難しいのでは?

 いい質問だと思います。たしかに仮想化自体、どのように実装するかによって難しくもなります。当社の製品は当初から仮想化技術を中核としていますが、お客様はそのことを知らない場合もあるし、知る必要もありません。すべてのコンポーネントを物理的な存在であるかのように扱えば十分だし、そうであるべきです。例えば、仮想メモリはかなり前から使われている技術ですが、意識して使っている人はいまや非常に少ないといえます。

 仮想化はハイエンドコンピューティングのユーザーに何十年も使われてきた技術で、新しいものではありません。当社やXen、VMwareで新しいのは、これをx86の世界で実現したことにあります。

──ストレージのプロビジョニング(設定)などの機能をBladeFrameに組み込むことは考えないのですか。

 これもおもしろい質問です。この会社を始めた当時、実はPAN Managerにストレージのプロビジョニングを統合しようとしていました。しかし、ほとんどの一般企業はストレージ管理グループを持っており、この人たちはシステム管理やネットワーキンググループとははっきりと切り離されています。彼らはEMCなどが提供する、自分たちの使い慣れたツールを使いたがっていることが分かりました。

 そこで当社が力を入れてきたのは、この(サーバとストレージという)2つの世界の間のインターフェイスを簡単にすることまでです。実際のストレージの割り当てはストレージ側のツールで行うようにしています。ストレージのプロビジョニング機能をPAN Managerに統合しない理由は、顧客がそれを望んでいないためです。PAN ManagerではLUNを割り当て、こうしたLUNに冗長性をもってアクセスできるように、LUNとプロセッサのマッピングをすることに力を入れています。SANにおける変更を行う際に、SANの再ゾーニングをしなくて済むようになっています。現在でも、顧客はストレージ関連機能の統合を当社に望んではいないと思います。

──当初は金融業界で実績を作り上げてきたということですが、顧客ベースはどのように変わってきましたか。

 3年前、顧客の60〜70%は金融サービス業界で占められていましたが、現在では30%に落ちています。たしかに金融サービスは当社が最初に注力した業界ですが、幅広い業界の顧客を取り込むという点での移行は終わっています。当社のビジネスの大部分はサーバ統合ニーズに基づいており、このニーズはあらゆる業界に存在しています。

──今回のvBladeの発表と価格の引き下げは、どの市場をターゲットとしているのですか?

 当社の製品はハイパーバイザとは無関係に十分使えますが、vBladeはどんな業界でも役立つ汎用的な機能を提供してくれます。人々がvBladeをどのように使うかについての私の考えは、企業にはXenやVMwareなどのハイパーバイザ上に走らせたいアプリケーションと、そうではないものがあるということです。人々は、OracleデータベースやSAP、Exchange Serverなどは、仮想化環境で稼働したいとは思いません。こうしたアプリケーションは、サーバ統合をするにしても、ハイパーバイザによる仮想化を使いたくないと考えるのが普通です。

 従って、正しいやり方は2つの方法を提供できる製品を使うことだと思います。ほかのベンダはよく、仮想化環境を別個のコンポーネントとして提供していますが、それでは顧客が個々のサーバについて最初に、仮想化をやりたいかどうかを決定しなければならず、管理の手法もまったく別になってしまうという点が非常に難しいと思います。当社のソリューションでは、仮想サーバと物理サーバを、同じやり方でスムーズに管理できます。両者の間を行き来することも簡単です。これはどのような業界のユーザーにとっても役立つ技術だと思います。

 現在のところ、多くの企業では自社にとって中核的な、ミッションクリティカルなアプリケーションをハイパーバイザ環境で動かしたいとは思っていません。しかし、当社の提供してきた別の仮想化技術については、進んで使ってくれています。vBladeはどんな業界においても、何らかのサーバ統合を考えている人々にとって役立つと思います。

──vBladeは既存の顧客を狙っているのか、新しい顧客の獲得を狙っているのか、どちらなのでしょうか。

 どちらもあてはまります。既存顧客に「欲しい機能は」と聞くと、ハイパーバイザへの対応はいつもリストの上位に入ってきます。新規顧客にとっても魅力は大きいと思います。VMwareなどはいい製品だと思いますが、使い始めて初めて分かることもあります。どういう製品とともに使うかによっては、複雑化することもあります。vBladeに一番興味を持ってくれるのは、サーバ仮想化を使った経験を持つ人々です。VMwareを使うならばSANも使うでしょう。しかしこれはかなり複雑化する可能性があります。仮想マシンを稼働するサーバはSANのさまざまな部分にアクセスしなければなりません。ユーザー企業は使い始めの時点で、SANを単一の大きなゾーンとして開放するか、きめ細かく区分けするかを判断しなければならないのです。こうした面倒な部分を簡素化するという点で、イージェネラは仮想化ソフトウェアを利用したいユーザーに対しても、大きなメリットを提供することができます。

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