現在、多くの企業はその業務を情報システムに大きく依存しています。情報システムなしにビジネスを遂行するのは不可能である、といっても過言ではないかもしれません。
そして同時に、ビジネスを取り巻く環境が常に目まぐるしく変化する時代でもあります。情報システムが、そうした変化への迅速な対応を要求されるのは、当然の帰結といえるでしょう。しかし果たして、旧来の手法で構築された情報システムが、そうした要求に満足に応えられているでしょうか。
かつてメインフレーム上でしか動作していなかった業務システムは、オープン化の流れとともに、複数のシステムに分散して配置されるようになりました。また、次々と新しいテクノロジーが現れては陳腐化するのに伴い、システムの寿命も年々短くなっています。社内のあちらこちらで、次から次へと開発されたシステムが、バラバラに稼働しています。
一方、ビジネスを取り巻く環境の変化は、日々その速さを増すばかりです。システムも当然、この変化のスピードについていくことが求められています。
具体例を挙げてみましょう。あなたが経営する会社で、「納期短縮によるサービス向上を!」というビジネス目標を掲げたとします。業務プロセスを洗い直してみた結果、現在の受注・発送業務では、在庫照会を人手で行っていることが分かりました。これをシステム化すれば納期の短縮を達成できるかもしれない、あなたはそう考えました。
さらに調べたところ、在庫照会の機能はすでに在庫管理システムの中に含まれていることが分かりました。
「これと受注システムをくっつければ、一丁上がりじゃないか! よかった、これなら開発の時間とコストを節約できるに違いない」
そこでシステム担当者にその旨を打診したところ、思いがけない返事が返ってきました。
「とんでもない、そんなことできるわけないじゃないですか! 受注システムは○○OSの上に△△言語で実装したもので、在庫管理システムは□□OS上に××言語で開発したものですから、簡単に連携なんてできません。第一、ネットワークだって本社側は○○で配送センター側は□□なわけですし、それに……」
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