この従来の発想を転換するために、「業務フローチャートは何か」というそもそも論に戻って考えてみよう。
業務プロセスにおいて、その構成単位である「作業」を、「誰が・何を・どうする・いつ・どうやって・どのくらい」という「要素」に分解し、それに「流れ」を加えながら、視覚的に理解しやすい形に再構築したものが、業務フローチャートである。
ここでのポイントは、「要素」と「流れ」である。
「要素」に関して、業務フローチャートの様式を決定する際には、(1)どの要素を必ず記載(「絶対的記載要素」と呼ぶ)し、どの要素を補助的に記載(「補助的記載要素」と呼ぶ)するか分類し、(2)それらの要素をどのようなルールの下で記載するか、について決めなくてはいけない。
従来の発想による様式では、担当者別にスイムレーンを引いた瞬間に、「誰が」が絶対的記載要素となる。作業内容をプロットすると決めた瞬間に、「どうする」も絶対的記載要素となる。また「どうする」の対象物であるドキュメントなどのうち、重要なものは記載すると決めた場合には、「何を」が補助的記載要素となる。
これらの要素に対して、「担当者別のスイムレーンに記号で記載」などのルールを適用しながら、要素が描かれる。
次に「流れ」であるが、従来からの様式では、流れの対象とする要素を「どうする」に置くことが一般的である。
具体的な例で考えていこう。例は商社における受発注の一部分である。受発注の業務内容を各担当者にヒアリングした結果が以下である。
この一連の業務を業務フローチャートにするため、記載ルールを以下のように定義したとする。
要素 |
分類 |
ルール |
誰が | 絶対的記載事項 | スイムレーンにより定義 |
どうする | 絶対的記載事項 | 「誰が」のスイムレーン内に作業を枠としてプロットし、枠内にその内容を体言止めで簡潔に記載 |
何を | 補助的記載事項 | 紙ドキュメント・情報システムのみを作業のそばに、記号としてプロットし、記号内に名前を簡潔に記載 |
流れを示す要素=どうする |
この定義により作成される業務フローチャートは以下のようになる。
この業務フローチャートは、従来からの一般的な様式によるものである。フローチャート化に慣れた人は、おそらくこれに近いものを思い浮かべたであろう。
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