業務フローチャートに例外処理を描き切れない理由新発想の業務フローチャート作成術(2)(2/3 ページ)

» 2007年09月11日 12時00分 公開

業務フローチャートの構造を原理的に考える

 この従来の発想を転換するために、「業務フローチャートは何か」というそもそも論に戻って考えてみよう。

 業務プロセスにおいて、その構成単位である「作業」を、「誰が・何を・どうする・いつ・どうやって・どのくらい」という「要素」に分解し、それに「流れ」を加えながら、視覚的に理解しやすい形に再構築したものが、業務フローチャートである。

 ここでのポイントは、「要素」「流れ」である。

 「要素」に関して、業務フローチャートの様式を決定する際には、(1)どの要素を必ず記載(「絶対的記載要素」と呼ぶ)し、どの要素を補助的に記載(「補助的記載要素」と呼ぶ)するか分類し、(2)それらの要素をどのようなルールの下で記載するか、について決めなくてはいけない。

 従来の発想による様式では、担当者別にスイムレーンを引いた瞬間に、「誰が」が絶対的記載要素となる。作業内容をプロットすると決めた瞬間に、「どうする」も絶対的記載要素となる。また「どうする」の対象物であるドキュメントなどのうち、重要なものは記載すると決めた場合には、「何を」が補助的記載要素となる。

 これらの要素に対して、「担当者別のスイムレーンに記号で記載」などのルールを適用しながら、要素が描かれる。

 次に「流れ」であるが、従来からの様式では、流れの対象とする要素を「どうする」に置くことが一般的である。

 具体的な例で考えていこう。例は商社における受発注の一部分である。受発注の業務内容を各担当者にヒアリングした結果が以下である。

  1. 岡田:
    私がお客さまからの注文書を受け取っています。注文書は随時FAXで送信されてきます。ファックスを受け取ると私は、注文書に日付印を押して、その後、すぐに金井さんのIN-BOXに保管します。
  2. 金井:
    注文書に関して私のやる仕事は、まず形式的な不備をチェックして、問題がなければ注文内容を社内システムに入力します。次に、その顧客の与信残高一覧を社内システムから印字して、注文書にセットし、各営業担当者に渡します。
  3. 松岡:
    私たち営業担当者は注文書を受け取ると、個社別のクレジットファイルを棚から取り出してきます。新規の注文により発生する売掛金が、すでに稟議済みの与信枠の範囲に収まることと、注文内容や仕様が稟議済みであるかも確認します。問題がなければ、注文書に捺印(なついん)をして、金井さんに戻します。

 この一連の業務を業務フローチャートにするため、記載ルールを以下のように定義したとする。

要素
分類
ルール
誰が 絶対的記載事項 スイムレーンにより定義
どうする 絶対的記載事項 「誰が」のスイムレーン内に作業を枠としてプロットし、枠内にその内容を体言止めで簡潔に記載
何を 補助的記載事項 紙ドキュメント・情報システムのみを作業のそばに、記号としてプロットし、記号内に名前を簡潔に記載
流れを示す要素=どうする

 この定義により作成される業務フローチャートは以下のようになる。

図2 従来の様式による業務フローチャート

この業務フローチャートは、従来からの一般的な様式によるものである。フローチャート化に慣れた人は、おそらくこれに近いものを思い浮かべたであろう。

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