5分で絶対に分かるCRM5分で絶対に分かる(3/6 ページ)

» 2007年09月27日 12時00分 公開
[齋藤孝太,株式会社SIS(ストラテジック インテリジェント システム)]

2分 − 大事なのは、現場のマーケティング

 ここで、少し過去を振り返ってみましょう。

 なぜ、1990年代後半から2000年代前半のCRMブームの時期から今日まで、CRMは成果が上がらなかったのでしょうか。その原因は2つあります。

 まず1つ目の原因は、「CRM導入=顧客育成マーケティングの始まり」と考えるべきところを、「CRM導入=CRMシステムの導入」と勘違いしてしまったことです。CRMシステムは1つのツールに過ぎず、それを使ってどのようにマーケティングを展開するのかが最も重要なのです。

 具体的には、顧客の育成段階に合わせて、顧客の心理状況を想像し、きめ細やかなマーケティング策を実践することです。それにより、顧客を段階的に育成する仕組みを作り上げていきます(図1)。

図1 顧客育成マーケティング

 この一連のマーケティング策の過程で、CRMシステムの出番があるのです。

 しかし多くのCRM導入企業は、まずCRMシステムありき、という発想から抜け出せていません。システムでRFM分析を行い、優良顧客を抽出し、ディスカウントセールなどのDM(ダイレクトメール)を出すぐらいで終わっているのが現状です。この程度のことであれば、CRM導入前から実施されていたのではないでしょうか。

 2つ目の原因は、マーケティングの重要性は理解しながらも、具体的なマーケティングアクションにまで落とし込めていないことです。マーケティングというものは、非常に「現場的」なものです。いくら立派な戦略を立てても、販売やビジネスの現場で顧客と対峙(たいじ)した際に適切なアクションが取られなくては、まったく効果は上がりません。現場における適切なマーケティングアクションを立案・実施するためには、顧客の心理面への造詣が必要であり、深い知識・ノウハウ・経験が必要なのです。

 「CRMの本質は、マーケティングである」という見方は、従来から多くの識者が指摘しています。しかし、より深く掘り下げると、「CRMの本質は、現場マーケティングアクションの集合体である」といった方が適切であり、CRMにおける「現場」の重要性をより正確に表しているといえるでしょう。これまでのCRMは、本部・マーケティング部門が中心となって推進されてきたので、販売現場の視点が抜け落ちていたのです。

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