ビジネスガバナンスと情報ライフサイクル管理M&A時代のビジネスガバナンス(5)(1/3 ページ)

前回は「標準化」の活用方法について説明した。今回は、内部統制における「情報ライフサイクル管理:ILM」の活用方法について解説する。

» 2007年11月02日 12時00分 公開
[工藤 宣慶,サン・マイクロシステムズ]

情報ライフサイクル管理とは?

 1980年代には階層化記憶管理(Hierarchical Storage Management:HSM)という概念が登場しているが、1990年代以降はストレージコストの低下と高性能、高密度化を背景に、階層化よりも統合化によるコストダウンが広まった。

 2000年代に入ると、厳しい経済環境の中で企業のIT投資は抑制されて、ほとんど横ばいの状態となり、主要ストレージベンダは複数ストレージの統合へとさらに拍車が掛かっていた。

 一方で、米国SOX法日本版SOX法の施行に伴い、企業に対する保存データの増大や保存の長期化が義務付けられ、コンプライアンスに対応した改ざん防止策や個人情報保護法などに基づく情報漏えい防止対策など、新たなニーズに対する解決策も必要となってきた。

 こうした中で、情報ライフサイクル管理(Information Lifecycle Management:ILM)という、「時間とともに変化する情報=データの価値に合わせて最適なストレージで保存する」といった考え方が広まっている。

 ILMはHSMの進化形と考えることもできるが、統合化されたストレージ環境の中で、コピーや複製、バックアップなど、すぐに利用されることのないデータが多く存在している状況が広まっていること、データ保存の長期化と改ざん防止などデータの保存方法に対する新たな技術やさらなるコスト削減に向けたソリューションが求められ、データの作成から削除まで、データの価値とともに保存先を移動したり、複製や改ざん、さらに運用ポリシーでの運用など、HSMよりも適用の範囲や要件が広範になっている。

図1:ILMの概念図


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