5分で絶対に分かる工事進行基準5分で絶対に分かる(5/6 ページ)

» 2008年07月28日 12時00分 公開
[安達裕哉, 新谷健司(トーマツ イノベーション),@IT]

4分 − プロジェクト進ちょく率の把握も難題

 契約を終えて、プロジェクトが始まった後にも影響が出ます。[3分]で紹介した条件3、条件4を思い出してください。

工事進行基準の適用条件

条件3 ソフトウェア開発中、発生したコストを“信頼性をもって”把握することができる


条件4 ソフトウェア開発中、進ちょく度を“信頼性をもって”見積もることができる



 これらの条件を満たすために、事前の詳細なコストの見積もりが必要になります。実際に発生したコストや開発プロジェクトの進ちょく率も把握しなくてはなりません。もちろん協力会社を利用している場合は、外注も含めた見積もりと、コスト・進ちょく把握が必要になります。

 ここで最も大きな問題は、ソフトウェア開発では大幅な“手戻り”が発生することがあることです。ソフトウェアは目に見えないものだけに、動かしてみて初めて不具合や不都合に気が付く場合が少なくないのです。

 そのため、ほぼ開発の終わったシステムを見たユーザーが「こんなはずじゃなかった! 直してほしい」といって、修正作業や追加開発を要求する場合が多々あります。しかも、一度作り込んだシステムのプログラムを変更する場合、最初から作るよりも手間が掛かる可能性が高いというのも厄介な点です。要するに、ソフトウェア開発では「90%の作業が終わった」と思っていても、新たな作業が発生するリスクがあるわけです。

ALT ソフトウェア開発では途中で作業量が増える場合がある

 工事進行基準に対応するには、こうした修正や仕様変更が発生した場合、コストと進ちょく率の再見積もりを行わなくてはなりません。さらには、作業量の増加によって事前に見積もったコストを超過する可能性が出てきたら、その時点で超過額を明確にしなくてはなりません。そのためには適切なプロジェクトマネジメントを実施することが求められます。

 このように、工事進行基準に対応するために、営業担当者、プロジェクト管理者・SEの仕事のやり方を大きく変えなくてはならない可能性があるのです。

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