CIOには、経営とITの両方に高い知識と経験を持つことが求められます。
ところで、CIOに求められるITの知識とは何でしょうか? パソコンを操作できるとか、プログラムを書くための知識ではありません。
CIOに最も必要な知識・経験は、“IT投資の費用対効果”に関する分野です。
これは他人に任せることはできません。個別システムの費用を例にすれば、システム開発規模と費用の見積もり、見えない費用が発生するメカニズム、効果が得られるための条件(情報システム以外の活動)などを理解する知識や能力が求められます。
次に、“ITの活用動向”を理解することが必要です。自社の経営状況から、「どの分野にITを適用して何を実現するのか?」を理解するための知識が必要なのであり、新技術に関する知識も、その観点で求めるべきです。
また、“ITに関する常識”も必要です。
とかくITの専門家は業界用語を頻発すると非難されますが、CIOもIT部門の一員なのです。業界用語を禁止したら、IT部員やベンダと円滑な意思疎通ができません。また、SLAなど、「なぜソフトウェアにエラーがあることを前提にする契約をするのか?」といった業界慣習を理解する必要があります。さらには、「ISMS」「COBIT」「PMBOK」「ITIL」など、経営やITに関する標準も必須知識になりつつあります。
【関連用語】
SLA(Service Level Agreement)(@IT情報マネジメント用語事典)
ISMS(Information Security Management System)(@ITセキュリティ用語事典)
COBIT(Control Objectives for Information and related Technology)(@IT情報マネジメント用語事典)
PMBOK(the Project Management Body Of Knowledge)(@IT情報マネジメント用語事典)
ITIL(Information Technology Infrastructure Library)(@IT情報マネジメント用語事典)
米国政府発行の「2006 Clinger-Cohen Core Competencies Learning Objectives」では、CIOが持つべき能力として、次の12分野で83の能力を挙げています。
1 | Policy and Organization(政策と組織) |
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2 | Leadership/Management(リーダーシップと管理能力) |
3 | Process/Change Management(プロセス変革管理) |
4 | Information Resources Strategy and Planning(情報資源戦略・計画) |
5 | IT Performance Assessment:Models and Methods(IT成果評価:モデル・手法) |
6 | IT Project/Program Management(ITプロジェクト・プログラム管理) |
7 | Capital Planning and Investment Control(CPIC)(資金計画と投資管理) |
8 | Acquisition(調達) |
9 | E-Government(電子政府) |
10 | Information security/Information Assurance(IA)(情報セキュリティ、情報保証) |
11 | Enterprise Architecture(EA?エンタープライズアーキテクチャ) |
12 | Technology Management and Assessment(技術管理と評価) |
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