アクセンチュア「高収益・高成長企業のIT投資は、どこが違うのか?」(2006年)では、米国では、システムの運営費や保守費など固定的なIT支出と、収益力向上や業務効率向上を目的とした戦略的IT投資の割合が約2:2なのに対して、日本では約3:1であり、IT投資の目的として、日本では「守り」重視、米国では「攻め」重視の違いがあると指摘しています。
すなわち、もうかるIT活用になっていないことが全体的な競争力を低下させているのです。
また、経済産業省「『IT経営力指標』を用いた企業のIT利活用に関する現状調査」(2007年)によると、IT活用の状況を次の4段階に分類し、日米の比較をしていますが、日本企業では、いまだに部分最適の段階にとどまっていることが分かります。
日本 | 米国 | |
---|---|---|
第1段階(ITの導入) | 15.1% | 0% |
第2段階(部門内最適) | 58.8% | 46.2% |
第3段階(企業内最適) | 21.6% | 44.9% |
第4段階(企業間最適) | 4.5% | 8.9% |
このような違いが生じた原因は、経営者やCIOのIT活用に関する認識の違いによると考えられます。米国のCIOは、プロフェッショナルなCIOが専任しているのが通常ですが、日本企業では「兼任CIO」や「素人CIO」が多いのが現状です。
日経情報ストラテジー 2008年3月号「IT投資とIT経営推進責任者に関する実態調査」によると、大企業のCIOのうち、専任のCIOは約40%にすぎず、大部分のCIOがほかの業務を兼任しています。
しかも、兼任者がCIO業務に携わる割合が低く、実動レベルで換算すれば、かなり低くなります。また、CIOのうち、IT部門経験者は43%であり、IT専門分野にかなり自信を持っている人は20%程度しかいないのです。
【関連リンク】
システム部門Q&A(25)「素人CIOとの上手な付き合い方とは?」(@IT情報マネジメント)
『「IT経営力指標」を用いた企業のIT利活用に関する現状調査』 2007年3月[PDF](経済産業省)
『IT経営の現状と課題』 2007年3月[PDF](経済産業省)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.