緊急課題! 点在する複数のシステムを統合連携せよ――問題山積! 乱立する情報システムの解法とは?戦う現場に贈る分散システム構築−情報部門編(1)(2/2 ページ)

» 2008年10月02日 12時00分 公開
[岩崎浩文,豆蔵 BS事業部]
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既存システム連携時の現場の混乱

 さて、豆成くんの例を持ち出すまでもなく、現実のシステム現場ではこのようなシステム連携の需要が急速に高まっている。しかしながら、やり方がまったく分からないというのが現実であったりする。システム開発の経験者であれば、こうしたプロジェクトを場当たり的に進めても、失敗のにおいが濃厚だということは理解できるだろう。

 ここ十年、企業向けアプリケーション開発の現場では、既存システム刷新という名の下に新規アプリケーションや追加機能の開発を行うことが主流であった。豆成くんのようなアプリケーションスペシャリストの多くは、1つのアプリケーションサーバと1つのデータベースで動作する1アプリケーションは構築したことがあるが、システム間連携については経験がない、という場合がほとんどである。

 この分野は従来、漠然と「インテグレーション」と呼ばれてきた領域で、どちらかといえばITの世界では主流とはいえない部分だ。この分野における主な作業は、高額なEAI(Enterprise Application Integration)対応製品を導入し、接続先のサーバに合致したアダプタを追加購入したり開発したりというものだ。

 EAIの問題は、第1にサーバが高額であること、第2に技術標準が確立しておらずEAI製品を一度導入してしまうと、その技術に囲い込まれてしまう??つまり互換性がないために、言葉は悪いが心中しなければならないという副作用があったことだ。そのため、導入に踏み切れない企業が多かったのもの事実である。

 近年ではこの問題をある程度解決したSOA(Service Oriented Architecture)、つまりサービス指向様式という「売り文句」とともに、たくさんのEAI製品から衣替えした「SOA製品」と、共通仕様の技術が登場している。さて、果たしてそれを「売り文句」に釣られて素直に導入してよいものだろうか? それで課題は解決されるのだろうか?

ALT 図 尽きない現場の悩み

結局巻き込まれる情報システム部門

 豆成くんの心には、数少ない実開発の経験からある懸念が浮かんでいた。それは「情報システム部門は、開発現場に作業を任せることができなかった」という事実である。

 できる限り作業をベンダ側に投げて仕事を軽減しようとしつつも、現状調査や仕様調査に協力せざるを得なくなり、結局のところ最終的にはフル稼働状態で働いている。受け入れ時にはてんてこ舞い??。そんな情報システム部門の担当者を、開発側からの視点で何度も見てきたのだ。

 今度は情報システム部門に身を置くのは豆成くんの方である。フル稼働状態でこき使われることは目に見えている。しかも、入社早々の彼は自社の業務を知らないのである。猛烈な不安が豆成くんを襲った。

 「これは逃げられないぞ……」。??彼は腹をくくった。


 本連載では、近年急速に需要の高まりつつあるシステム間連携を主として、情報システム部門側の視点から、現実の課題に対しての解決策を考えていきたい。次回より、困った豆成くんがどうやってこの難題を解決していくか、皆さんと一緒に見ていくことにしよう。

筆者プロフィール

岩崎 浩文(いわさき ひろふみ)

株式会社豆蔵 BS事業部。ITコンサルティング会社にて商用フレームワーク設計・構築およびITアーキテクトとして多数の企業システム設計・構築に携わる。その後、サーバ製品ベンダにてSOAコンサルタントを担当したのち、2005年より現職。現在、方法論「enThology」(エンソロジー)の策定とSOA型システム設計支援の主任担当として多くの現場へ支援を行っている。

株式会社豆蔵


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