ライバルにアドバイスをもらうずうずうしさも必要だ目指せ!シスアドの達人−第2部 飛躍編(22)(5/5 ページ)

» 2009年02月03日 12時00分 公開
[那須結城, 石黒由紀,@IT]
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灯台下暗しだった、谷田の悩み

 加藤の回想を聞いた後、松嶋がにっこりしながら加藤に話した。

松嶋 「なぁんだ。そんなことがあったんだぁ。それなら、そのときから伊東さんと赤い糸で結ばれていたんじゃないのぉ?」

加藤 「そ、そんなこと……」

松嶋 「最近も一緒に仕事すること多いんでしょ?」

加藤 「ええ……。最近はヒアリングのときはいつも一緒です。結構夜遅くまでかかることもあるんです」

松嶋 「でも、伊東さんと一緒だと仕事楽しいんでしょう?」

加藤 「そうですね……。結構楽しいし、この間は一緒に食事に行ったんですが、特にお酒が入ると結構楽しくて、伊東さんもいろいろな話をしてくれるんです」

松嶋 「ほら、ごらんなさい。なかなかいい関係じゃない!」

加藤 「……」

 話しぶりを見ていると、加藤もまんざらではないらしい。話が一区切りついたところで、松嶋は今度は谷田に話題を振った。

松嶋 「ところで、谷田さん。坂口くんとはどうなの?」

谷田 「えっ!? 何のことですか……」

松嶋 「隠したってだめよ。クリスマスの時も、坂口くんが谷田さんを追っ掛けて行ったの知ってるんだから!」

谷田 「は、はい……」

松嶋 「その後、うまくいっているの?」

谷田 「え〜ま〜、そのぉ、あのぉ……。でも、坂口さん、相変わらず忙し過ぎるようで、この間も熱を出してしまったんです。……。でも、私ってダメなんです。坂口さんのために何もできないんです。どうしたらいいんでしょう?」

松嶋 「坂口くんが熱を出してしまったのね。その時、どうしたの?」

谷田 「私のマンションの前で、雨に濡れてぐったりしている坂口さんを見つけたんです。それで部屋で着替えてもらって、食事を作ってあげて、一緒に食事したんです」

 加藤と松嶋はその話を聞いて少し驚いたが、そのまま話を聞いていた。

松嶋 「そう、それはよかったわね!」

谷田 「でも、ただ一緒にいることしか、その時はできなくて……。何か、もっと坂口さんの役に立てるようなことができないままなんです!」

 きっかけが必要だと感じた松嶋は、加藤に話を振った。

松嶋 「加藤さん、坂口さんは最近、職場ではどんな感じ?」

加藤 「毎日、夜遅くまで頑張っていますね。私たちも何とか手助けをしたいとは思っているんですが、自分のことだけでもせいいっぱいでとても……。坂口さんにもかえって負担をかけてしまっているようで、気にはしているんですけど……」

松嶋 「いまがプロジェクトの佳境だから、ある程度は仕方がないけど、倒れてしまっては元も子もないわよね。谷田さん、こういうときは一緒にいて、優しく見守ってあげるだけでも、十分に坂口さんの支えになってると思うけど……」

谷田 「そうだといいんですが……。でも、何か私にできることがあれば、してあげたいんです!」

加藤 「う〜ん。参考になるかどうか分からないけど……。坂口さんはいま、サンドラフトサポートの営業部門とのデータ連携のところで悩んでいるみたい。天海さんとかともやりとりしているようだし、私も伊東さんと天海部長のヒアリングをしたりしているの。私はまだよく内容が分からないので詳しくは説明できないんだけど、その中でサンドラフトサポートで導入しているPDAの支援システムのデータ精度の問題もあるって話が出てたよ」

谷田 「え、どんな問題?」

加藤 「どうも営業が入力するデータの精度に問題があるみたいよ」

谷田 「具体的にどのような問題があるの?」

加藤 「販売予測と現実のデータに大きなずれのある人が何人かいるみたいで、それが需要予測の精度が上がらない一因だとか……」

谷田 「そうなの……。そうだとすると、私のグループの誰かが坂口さんに迷惑をかけているかもしれないのね。導入当初はPDAのデータのウオッチをしてたけど、そういえば最近はあまりやらなくなっているからなぁ……」

 谷田は「そうか……。実は自分の身近にも、坂口さんのためにもできることがあったんだ。なぜ、こんなことに気付かなかったんだろう……」と1人つぶやいていた。

谷田 「明日会社に行ったら、職場で相談してみます!」

 と谷田は思わぬところで、坂口のために自分ができることがありそうだと気付くのだった……。


◆次回予告◆

 加藤から、「販売予測と現実のデータに大きなずれがあるのは営業が入力しているデータの精度が悪いから」と聞いた谷田は、早速改革に乗り出す。しかし、“データが正確であることの重要性”を分かっていない営業部員たちは、忙しさにかまけてきちんと取り合ってくれない。

 そこで、谷田は福山や松下の協力を得て、啓蒙ポスターを制作、見事営業部員の意識改革のきっかけを作るのだった。一方、いつも谷田を支えてくれてた松下が突然重大発言をするのだった……。次回をお楽しみに。

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筆者プロフィール

シスアド達人倶楽部

「シスアド達人倶楽部」は、経済産業省が実施する情報処理技術者試験の1つ、上級システムアドミニストレータ試験の合格者9名で構成される執筆チーム。本連載「目指せ! シスアドの達人」は、シスアドの日常を知り尽くしたメンバーが、シスアドの働く現場をリアルに描くWeb小説だ。

執筆メンバー9名は、上級システムアドミニストレータ試験合格者と試験合格を目指す人々で構成される任意団体:上級システムアドミニストレータ連絡会(JSDG)の正会員。

システムアドミニストレータ宣言


那須 結城(なす ゆうき)

上級システムアドミニストレータ連絡会正会員。製造業勤務

石黒 由紀(いしぐろ ゆき)

日本システムアドミニストレータ連絡会正会員。ソフトウェア会社勤務


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