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» 2009年03月30日 12時00分 UPDATE

事例紹介 ビットアイル:第4データセンター:グリーンIT事例:いま、グリーンデータセンターが苦労すること (1/2)

地球温暖化などの影響からエコへの注目が集まっているが、日本では洞爺湖サミットが開催されたこともあり、2008年から“グリーンIT”への注目が高まっている。今回は、ITシステムが収納され、多くの電力を消費するデータセンターにおける環境への取り組みを取材した。

[大津心,@IT]

 ここ数年、地球温暖化を代表とした地球環境変化への関心が高まっていることから、いわゆる“エコ”や“グリーン”を意識したIT機器やサービスが増加してきている。省電力化したサーバ機器や、熱効率を考慮したデータセンターなどが代表例だ。

 「グリーンIT」という言葉は、米国ではサーバベンダなどが中心となって数年前から話題に上ることが多かったが、日本では洞爺湖サミットが開催された関係もあり、2008年に一気にこの言葉の認知度が上がった。

 グリーンITの最大の目的は「環境によいIT」だが、利用者側にとっては低消費電力のサーバや仮想化技術によるサーバ台数削減などによる、運用コスト削減が大きなインセンティブになっている。特に昨今の経済情勢から、「IT関連のコストを削減したい」という企業経営者にとっては、「IT関連コストの8割を占める」といわれているITシステムの運用コスト削減は非常に大きな問題だ。また、「環境によいIT機器を利用している」という点が企業イメージ向上にもつながることから、「積極的にグリーンITを採用している」という点をアピールする企業も多い。

 このように、グリーンITへの関心は日増しに高まっている。そのような流れを受けて、企業のサーバや通信機器を預かるデータセンター側も環境を意識し、「高効率空調」や「電源効率アップ」を図った“グリーンデータセンター”の設立を数多く発表している。

ALT ビットアイルの第4データセンターの外観。JR飯田橋駅から徒歩10分程度の好立地

 データセンターはサーバを収納するラックや通信回線を貸すことを生業としているが、データセンター内で消費されている電力の約半分がユーザーのサーバ機器などによるもので、残りの半分がデータセンター側で提供している空調やUPS(無停電電源装置)などの電源設備による消費だといわれている。従って、データセンター側の“グリーン化”は非常に効果が大きい。また、長期的な観点で見れば、高効率空調や電源効率アップが実現できればデータセンターの電力コストが下がり、ユーザーが支払うレンタルコストにも影響が出てくるはずだ。

 今回は、いち早く“グリーンデータセンター”を目指した設備を導入した事例として、2009年2月にサービス提供を開始したばかりのビットアイルのデータセンターを取材した。

コールドアイルチャンバー方式を導入し、空調費を従来比20%削減

 今回取材したのは、ビットアイルが東京・飯田橋に2月にオープンさせた「第4データセンター」。山手線内としては最大級の総床面積1万6500平方メートルで、最大2600ラックを設置可能だ。

ALT ビットアイル 営業戦略室 課長 関根良一氏

 電力設備には、受電設備として特別高圧による2万5000kVAを2基用意。1ラック当たりの電力供給は実効6kVAを可能にした。これは同社の他データセンターと比較しても2倍程度の電源供給量を実現しているという。ビットアイル 営業戦略室 課長 関根良一氏によると、「このデータセンターはもともと書籍の物流センターだったところをベースにしているため、床耐荷重も1平方メートル当たり2tと高い。このため、SaaSや仮想化サービスに利用されることが多く拡張性が高いものの、ラック当たりの荷重や電力量が多くなってしまうために大くの台数を設置するのが難しいブレードサーバの設置にも十分耐え得る環境になっている」と説明した。

 そして、グリーンITへの取り組みとして最も特徴的なのが、空調設備としてラック間を密閉状態にすることで冷気と暖気を分ける、「コールドアイルチャンバー方式」を導入した点だ。

 コールドアイルチャンバー方式とは、ラック上部と天井の間に仕切りを設け、出入り口にゲートを設置することでラックの吸気側である表側部分に密閉空間を作成。ラックの裏側から排出される暖気が表側に回ってこないようにする仕組み。表側の密閉空間にだけ冷気を送ることで冷房効率を上げ、結果として空調コストを削減する方法だ。この方式を採用したことで、同社が運営する従来型のデータセンターと比較して約20%の空調コストを削減できたという。

ALT “コールドアイル”を物理的に密閉することで冷却する空気量を減らすことで、空調電力を削減するコールドアイルチャンバー方式のイメージ図

 このほか、停電になった際に一時的にサーバに電力を供給するUPSも高効率な最新型を導入し、電力効率向上を目指したという。第4データセンターでは、このコールドアイルチャンバー方式の空調やUPS以外にも、最新式の空調設備を導入したり、人感センサー式照明など、「現時点で考え得る、かなりの“環境によい設備や仕組み”を導入した。屋上を緑化するなどの細かいCO2削減への取り組みも行っている」(関根氏)と説明する。

 このような取り組みを行った結果、3年後に第4データセンターのすべてのラックが埋まった場合でのPUE(Power Usage Effectiveness)は、1.6を目標にしているという。

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