目標から逆算すれば、営業予算を達成できる──ソフトブレーン達人に聞く“営業の極意”(1)(2/3 ページ)

» 2009年09月08日 12時00分 公開
[内野宏信,@IT]

受注に至る、最も効率的な“プロセスシナリオ”を策定する

 図1はプロセスシナリオの一例だ。「ターゲティング」「初回訪問」などの上段は「活動内容」、すなわち営業活動のプロセス、中段がそうした活動がどのフェイズに当たるかを表す「進ちょく状況」、そして下段が各フェイズにおいて確認・チェックすべき項目だ。この3つをひも付けて整理することが大切だ。

ALT 図1 eセールスマネージャーの導入に先立ち、「受注に至るまでに、どんなプロセスを踏み、各プロセスで何をすべきか」というシナリオを策定し、これさえ見れば誰でも「何をすべきか」が分かるようにする(クリックで拡大)

 ポイントは、これを見れば何をすべきかが分かる、まさしく“シナリオ”となっていることだ。例えば、活動内容が「ターゲティング」であれば、ステイタスとしては「アプローチ中」ということになる。では「アプローチ中」に何を確認すべきかといえば、「(顧客の業種の)分野/(顧客が取り扱っている)主な製品/開拓の狙い」などだということになる。

 同社のSFA「eセールスマネージャー」は、この流れ、状態、確認事項を可視化する製品だ。同社は導入に先立ち、営業マネージャを対象にコンサルティングを行う。その際、営業組織の目標と市場状況に応じて、「目標達成のためには、いくつの案件をこなすべきか」「受注に至るまでには、どんな活動が必要か」といったように、目標から日々の活動までブレークダウンして、詳細なプロセスシナリオを設計する。

 各営業スタッフは携帯端末やPCからプロセスシナリオを閲覧したり、必要な情報を入力したりすることができる。特徴は、プロセスシナリオに沿って、各プロセスにおいて入力が必要な情報項目のみが表示されること。入力もリストボックスからの選択入力式とし、ほとんど文字入力に依存しない形式としている。

ALT 図2 各営業スタッフが持つ携帯端末の画面イメージ。プロセスシナリオに従って、各プロセスでチェックすべき情報項目を自動的に表示する。リストボックスからの選択入力式とし、入力の手間を省くとともに、客観的な事実だけを正確に報告できるよう配慮している

 例えば、図2の画面イメージのように、「活動」として「プレゼン」を選べば、「進ちょく」のリストボックスには自動的に「商談化」が表示される。さらに、「業種」「商品」「受注予定金額」など、プロセスシナリオのうち「商談化」段階でチェックすべき情報項目だけが自動的に表示される──すなわち、プロセスシナリオを随時閲覧し、「いまの段階では何をチェックすればよいのか」を確認できる仕組みとなっている。つまり、適切なプロセスシナリオさえ設計できれば、営業スタッフの活動を“ナビゲーション”してくれるというわけだ。

営業部門、関連部門の活動を、1つの目標に向けて収束する

 eセールスマネージャーでは、各営業スタッフは活動を行った後に情報入力する。これは日報作成を兼ねている。これらの活動データは「いま、プロセスシナリオのどの段階にあるのか」を視覚的に把握する情報となり、営業スタッフ、マネージャが閲覧できる。

 さらに、日々の活動記録データは、顧客データベース、商談データベースにも反映される。これを基に、各営業スタッフが、自分の担当顧客リストや、確度の高い顧客だけを抽出したリストなどを作成したり、営業マネージャがエリア、業種、売り上げ規模といったさまざまな軸で分析・グラフ化し、売れるパターンや、効率のよいプロセスを発見したりという活動にも利用できる。

 「この仕組みによって、営業スタッフの誰もが標準的なシナリオに基づいて活動できるようになる。また、文章入力ではなく、選択入力方式としていることが営業スタッフの作業負荷を下げるとともに、主観に左右されない“事実”だけを記録することにつながる。これにより、営業マネージャは、正確なデータに基づいてPDCAサイクルを運用し、目標予算という1つの方向に向かって、まっすぐに組織をドライブできるわけだ」(秋山氏)

 なお、プロセスシナリオは、ユーザー企業でも自由に変更できる。秋山氏は、「市場動向の移り変わりが激しくとも、いったん決めた目標を簡単に変えてしまったら業績向上は難しい。状況が変わったら、目標ではなく、目標達成に向けたプロセスを変えるべきだ」と、「目標を基準とすること」の重要性をあらためて強調する。

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