“Excelツールの引き継ぎ”を効率化する方法社内を幸せにするEUC(2)(2/3 ページ)

» 2009年11月26日 12時00分 公開
[村中直樹,クレッシェンド]

資料を作って、引き継ぎの標準化を図ろう!

 まず、引き次ぎの標準化を図るうえでは、引き継ぎ資料を作る必要がある。これは「作業手順書」と「修正手順書」の2つを簡単にまとめたものである。個条書きレベルで十分だが、必要最小限の図表を追加すると、手間をかけず、より明確に意図を伝えられる。

 「作業手順書」は、「ツールを使った日々の作業手順」を引き継ぐためのものだ。一般的な業務引き継ぎにおいて、作業手順を伝えるものと同様である。一方、「修正手順書」はExcelツールに独特のものである。これは多くのExcelツールに、「年度」「会社組織」といった“可変の要素”を変更する機会があるためだ。「修正手順書」の作成はおろそかにされがちだが、ここで手を抜くと、後で大きなしっぺ返しを受けることになる。

 引き継ぎのプロセスは、「引き継ぎ資料の作成」と「新旧担当者間での実際の引き継ぎ」に分けられる。以下では「引き継ぎ資料」である「作業手順書」と「修正手順書」の作り方を紹介しよう。

作業手順書の作り方

 「作業手順書」とは、その中に書いてあるとおりに操作すれば、誰でも間違いなく処理ができるようにするのが目的。必要な情報は「実施手順」と「入力データ」の2点だ。

 実施手順とは、処理の順番である。手順の要素が「データを入力する」だけならあらためて資料化する必要はないが、シートを切り替えながら複数個所にデータを登録する場合や、ボタンを押してマクロを動かすような場合には、「どの順番で何をするか」を明記する必要がある。また、帳票を印刷するツールの場合、印刷した後の提出先や保管場所も含めて説明するとよい。個条書きでメモを残す程度で十分に意図は伝えられる。

 一方、入力するデータを後任者に教えるためには、「どこに、どのようなデータを登録するか」をまとめる必要がある。その際、手入力する場合と外部ファイルを使う場合があるが、手入力の場合は「どこに、何を入力するか」を明記する。複数個所へ段階的な入力が必要な場合は画面のスクリーンショットを利用するなど、視覚的な説明が効果的だ。

 外部ファイルを読み込ませる場合は、「○○フォルダにある、○○という名前のファイルを使用する」というように、使用するファイルの保存場所とファイル名を明記する。 保存場所が特定できない場合は、データ形式や生成方法など、ファイルの特徴を記しておくと後で判断材料になる。

修正手順書の作り方

 長期的にみると、ほとんどのExcelツールはいずれ修正を行うことになる。そのときのために、修正の手順をまとめたものが修正手順書である。資料の形態として「修正履歴」と「変更手順書」がある。

 まず修正履歴とは、修正したときに変更個所をメモしておくものである。内容は「修正した日」「修正した場所」「修正した目的」の3つがあれば十分だ。「組織変更」など、その後も同様の対応が求められる修正が多い傾向があるため、修正履歴だけでも意外と役に立つ。過去に修正を行っていなかったり、修正手順が複雑だったりする場合は、Excelツールの詳細な修正方法を解説した変更手順書を作成する。

 ここで留意すべきは、あらゆる要素を想定して修正方法を記そうとしないことである。想定し得る修正内容とその修正方法を引き継ごうとすると、きりがなくなってしまう。組織や年度の変更のように、予想される範囲で書いておけば十分である。そもそもレアケースの問題が生じた際には、その対応を先に考えておこうが後で考えようが、負荷は変わらないのだから。

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