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» 2011年03月25日 12時00分 UPDATE

レポート 運用自動化イベント:自動化で変わる次世代の運用管理 (1/2)

2011年2月18日、東京・秋葉原のアキバプラザホールにて、@IT情報マネジメント編集部の主催セミナー「第11回 @IT情報マネジメントカンファレンス 『自動化』で変わる次世代のシステム運用管理」が開催された。当日は、元マネックス証券CIOによる基調講演やユーザー企業の特別講演、そしてベンダによる自社ソリューションの紹介を行う各セッションが行われた。

[唐沢正和,@IT]

 本レポートでは、各講演・セッションの内容から、ユーザー側とベンダ側、双方の立場から見た運用自動化の現状と今後の課題が浮き彫りとなった。以降でその概要をレポートする。

情報システムアーキテクチャは都市計画を見習うべし

 基調講演には、産業技術大学院大学 産業技術研究科 教授の南波幸雄氏が登壇し、情報システムアーキテクチャの視点から見た運用管理の将来像について講演を行った。

産業技術大学院大学 産業技術研究科 教授 南波幸雄氏 産業技術大学院大学 産業技術研究科 教授 南波幸雄氏

 南波氏は、マネックス証券時代にオンライン証券システムの企画・運用を担当。動かし続けなければならないミッションクリティカル系システムの運用業務に、どっぷり浸かった経験を持つという。

 まず、南波氏は運用管理を取り巻く現状について触れ、「情報システムは動いていることが当たり前で、障害が起これば運用側の責任を問われる。一方、最近では運用管理者がカバーすべき業務領域が拡大し、管理対象となる機器も増加している。そのため、今後は自動化する部分と人間系で処理する部分を切り分けて運用管理していくことが重要になる」と分析した。

 次に、企業情報システムのアーキテクチャは、都市計画と類似性が高いと指摘。「都市は個別の建築物の集合体。同様に、企業システムは個別の情報システムの集合体である。そのため、都市計画メタファを活用することで、企業情報システムのアーキテクチャの方法論を構築できる」とした。

 そして、この理論に基づいた運用管理手法へのアプローチとして、(1)構造の視点、(2)部分と全体の視点、(3)内と外の視点?という3つの視点が重要であると説明する。

 「構造の視点は、情報システムからインフラを切り分け、共通化・共有化するアプローチ。部分と全体の視点は、共通機能と部分固有機能の分離、および標準技術へのアプローチ。内と外の視点は、外部共用リソースの活用に向けたガバナンスとマネジメントのアプローチ」がポイントだと言う。

 今後の運用管理の課題については、「情報爆発」「クラウドコンピューティング」「ありそうなリスク要因」への対応を挙げ、「これからの運用管理者には、より高度な能力が求められる。運用管理レベルでの統合化による真のマルチベンダサポートや、適切なタイミングでシステム増強の指示を出せるキャパシティ管理の能力、さらには将来のクラウド運用に適応できる柔軟な発想が必要だ」とした。

 最後に南波氏は、「運用管理の業務は空気のようなもので、システムがうまく回っているときほど、その重要さが理解されない。一方で、運用管理者には技術屋気質の人が多く、自分の世界に美学を持つ傾向がある。しかし、自己満足だけでは評価されないのが実状だ。運用管理業務を正当に理解してもらう説明責任を持ち、5年後、10年後のキャリアプランを描くことが重要だ」として、運用管理者のさらなる地位向上を訴えた。

自動化と見える化を組み合わせたシステム運用を実現

 ベンダによるセッションでは、まず株式会社 日立製作所 ソフトウェア事業部 販売推進部 主任技師の伊庭健一氏が登壇し、運用業務の自動化と手順の見える化を組み合わせた新しい形のシステム運用について紹介した。

日立製作所 ソフトウェア事業部 販売推進部 主任技師 伊庭健一氏 日立製作所 ソフトウェア事業部 販売推進部 主任技師 伊庭健一氏

 クラウド時代を迎え、情報システムはさらに複雑性を増している。その中で、伊庭氏は運用管理のプロセス部分にフォーカス。「手動での作業がボトルネック化している」や「作業のノウハウが属人化している」ことが大きな課題になっていると指摘した。

 そして、この2つの課題を解消するためには、「運用業務の自動化と作業手順の見える化を組み合わせたシステム運用が有効である」との考えを示す。

 具体的には、まず運用業務を自動化するツールとして「JP1/Automatic Job Management System 3」および「JP1/Integrated Management」を活用。日々実行される業務を自動化することで、人手による誤操作のリスクを軽減する。また、技術ノウハウを生かした障害対応の自動化とともに、ITILに沿った運用プロセスの統制を実現する。

 次に、自動化できない業務については、「uCosminexus Navigation Platform」を活用して作業手順の見える化を行う。これにより、作業手順をフローチャートで見える化し、自動化できない業務のノウハウを体系化して共有することができる。また、業務画面から、既存のバックエンドシステムとの連携も可能となっている。

 伊庭氏は、「自動化できる運用業務は全て自動化する。そのうえで、自動化できないテクニカルなノウハウを、業務フローの中に形式化し確実に実行していくことで、運用業務のミスや作業時間を大幅に軽減できる」と述べた。

効率化だけにとどまらない運用自動化がキモ

 2番目のセッションでは、NetIQ株式会社 製品企画担当マネージャの堀田昌昭氏が、効率化だけではない、さまざまなメリットを提供するマルチベンダ自動化プラットフォーム「NetIQ Aegis」を紹介した。

NetIQ株式会社 製品企画担当マネージャ 堀田昌昭氏 NetIQ株式会社 製品企画担当マネージャ 堀田昌昭氏

 運用を自動化するツールの導入目的として、「業務効率化」を一番に挙げる企業は多い。これに対して堀田氏は、「自動化する目的は、業務効率化だけにはとどまらない」と指摘する。「IT部門では、業務効率化はもちろん、属人化の排除やオペミス・作業漏れ防止を実現することも目的となる。また、経営者の視点からは、コスト削減やコンプライアンス遵守、サービス品質の向上が期待される。そして、最終的には、顧客に安価、安心、満足というメリットをもたらすことが求められる」。

 これらの目的を全て満たす自動化プラットフォームが「NetIQ Aegis」だ。NetIQ製品だけでなく、すでに利用している他社の運用ツールとも連携して自動化を実現できる点が大きな特徴だ。これにより、現行の運用環境を生かしながら、手順書とITILベースのプロセスをモデル化し、自動化して利用者に徹底させ、改善を図ることが可能となる。

 堀田氏は、「最適化されたビジネスに向けたシステム管理のアプローチとして、従来までは、コスト削減によって運用効率を追求するか、巨大な投資をしてビジネスの有効性を追求するか、選択肢は2つに限られていた。『NetIQ Aegis』は、このどちらでもない新たなアプローチであり、最適化されたビジネスへ最短距離で向かうことができる」と、そのメリットを強調している。

 なお、セッションの最後には、「NetIQ Aegis」の導入事例として、三井住友アセットマネジメントと英国Attenda社の事例が紹介された。

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