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» 2012年05月18日 00時00分 UPDATE

「富士通フォーラム2012 東京」:ネットショッピングを制する者がリアルも制する〜鈴木氏

[大津心,@IT]

 富士通は5月18日、同社のプライベートセミナー「富士通フォーラム2012 東京」を開催。特別講演では、「セブン&アイグループのネット戦略〜リアルとネットの融合」と題して、セブンネットショッピング 代表取締役社長 鈴木康弘氏が同グループのネット戦略を語った。

小売業でインターネット販売は大きな影響力を持つように

 鈴木氏は冒頭「富士通のイベントで自分が講演するのは非常に感慨深い」とコメント。なぜなら、同氏は新卒で富士通に入社し、SEとして10年間働いていたのだという。その後、富士通のシンガポール支店への駐在を経て、孫正義氏に請われてソフトバンクに転職。ソフトバンクでECショッピングサービス立ち上げ、その後セブン&アイグループに移ったと自身のキャリアを説明した。

会場風景 東京国際フォーラムで開催された会場の様子

 現在、同氏が代表を務めるセブンネットショッピングは、セブン&アイグループのインターネット販売を一元的に扱うべく、2012年度中に同グループ配下のセブンイレブンやイトーヨーカ堂、そごう・西武などのショッピングサイトを統合していく予定だとした。

 その戦略の背景として、鈴木氏は小売業におけるインターネットの影響力について言及。「1990年代後半からスーパーの売上は下がり続け12兆円規模へ減少している。いまやネットショッピングはコンビニの売上8兆円を抜き、第2位へ迫ろうとしている。小売業ではインターネットの影響を完全に無視できない存在になっている」と分析した。

 同氏は、インターネットによる小売業の変革について、「消費者参加のマーチャンダイズの波」「ソーシャルコマース型プロモーションの波」「クラウドコンピューティングの波」と3つの波が来ているという。

 参加者参加のマーチャンダイズの波では、従来のメーカー→卸し→小売→消費者という一方通行の流通から、インターネットの登場で消費者の声が大きくなり、メーカーや小売などもその声を非常に尊重するようになった。ソーシャルコマース型プロモーションの波でも、プロモーション活動において消費者の声が非常に重要になり、双方向のコミュニケーションが重要になってきたとした。最後のクラウドコンピューティングの波では、SIerなどへのアウトソースによるシステム開発から内製化へ移行してきているという。

 「世界ではかなりの勢いで内製化が進んでいる。世界最大のウォルマートもすべて内製化しているし、米国の小売業の50%が内製しているという。当社も現在社内に100人弱のSEを抱え、内製化を進めている。今後は当社のシステムをプライベートクラウド化し、グループ企業が利用する形態としていく予定だ」(鈴木氏)。

ネットを制する者がリアルも制する

 鈴木氏がセブン&アイグループでインターネットショッピングを統合を目指し、グループ各社へ説明する際に、「インターネットとは何?」という説明を頻繁に求められるという。同氏はこの質問に対し、「インターネットは既存のすべての仕組みを壊すもの。そして、すべてをつなぐもの」と説明しているという。

 同氏は、アップルの垂直統合モデルを例に出し、「アップルの戦略は従来のモデルを大きく変えた。当社もこれに沿って大きく変えていきたい」と意欲を示した。具体的な戦略としては、「ネット事業一本化、セブン&アイグループのネットショッピングを統合」「ソーシャルコマース」「リアルとネットの融合」の3つの戦略を推し進めるとした。

 ネット事業の一本化では、前述のようにセブン&アイグループが持つセブンイレブンやイトーヨーカ堂などのショッピングサイトを、2012年度中にセブンネットショッピングに統合するというもの。その理由として、鈴木氏は「インターネットでは、情報が一元化していて、なおかつ情報の流通が速い。リアル店舗では、売り場面積が限られているために、売れ筋商品に絞り、面積当たり売上高をいかに高めるかが重要だ。一方、インターネットは半無限に売り場が存在し、商品もロングテールで販売できる。また、情報の双方向性が強いため、売れ筋や口コミ情報の取得が比較的容易だ。例えば、リアル店舗の売上情報はネットには使えないが、逆は大いに有効なのだ。実際に、セブン&アイグループではネットで隠れた売れ筋商品を発掘し、イトーヨーカドー 大森店で試験販売したところ、大当たりで売り場面積当たりの売上高が120〜130%に上昇した。これは画期的なことだ」と解説した。

 また、スマートパッド、スマートフォンの利用が急上昇していることから、これらのデバイスにも最適化したデザイン/UIや、パーソナライズ、ポイント制度、検索など、各種機能面にもかなり気を使った実装を心掛けているという。ネットショッピングでは、物流面も重要だ。同社では、書籍などを中心に扱う「トーハン桶川SCMセンター」に加え、埼玉県久喜市に1万5000坪のネット事業専用の物流センター「7NS新物流センター」を立ち上げる。

 ソーシャルコマースでは、消費者の声と併せて取引先のお勧め情報なども紹介するほか、FacebookやTwitterなどの外部SNSとの連携も図る。鈴木氏は、「最近の調査では、購入時に重視する意見として、友人、家族、インターネット上のレビュー記事が上位を占める。この結果から、当社としても、消費者の声や外部SNSの声を重視して、セブンネットショッピング上で展開していく予定」と戦略を説明した。

 リアルとネットの融合では、前述のネットの情報をリアル店舗に生かす取り組みや、全国1万4000店舗に上るセブンイレブン店舗において、無料のWiFiスポット「セブンスポット」を展開し、リアルとネットの融合を図っていくという。具体的には、「リアル店舗でのWiFi利用は、非常時などに非常に有効だ。ソーシャルコマースにも有効活用できる。従来の小売業では、リアル中心ですべての物事が動いていた。しかし、いまはこの考えを改め、インターネット中心で物事を考えるようにしている。まさに変化を起こそうとしている」とセブン&アイグループの方針転換を説明し、講演を締めくくった。

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