日本ネティーザは3月3日、報道関係者向けの説明会を実施。同社代表取締役 ダグラス・エッツェル(Douglas Etzel)氏が2010年度事業戦略を発表した。
ネティーザは2009年8月に第4世代となる新型データウェアハウス(DWH)アプライアンス製品「TwinFin」を発表。現在までに日本を含む70社に130セット以上を出荷しているという。TwinFinは、ハードウェアにIBM製を採用したブレード型のDWHアプライアンス製品。最大10ラック、1.2ペタバイトまで扱えるほか、同社製品の特徴であるFPGA(Field Programmable Gate Array)を採用することで、最大構成時には処理能力が413ギガバイト/秒に達する。
ここ数年、データウェアハウスはソフトウェアとハードウェアが一体型になったアプライアンス製品が主流になってきており、マイクロソフトの「Project Madison」やオラクル/HPの「DB Machine」、テラデータのDWHアプライアンスなど、主要ベンダが続々と参入してきている。この点について、エッツェル氏は「確かにオンメモリ型の高速なDWHアプライアンス製品が各社から登場している。これら競合製品とネティーザの最大の違いは、他社はOLTPから発展した製品であるのに対して、当社は最初からDWHだけを専門に開発してきた点だ。DWHのためだけに白紙の状態から設計・開発したので、パフォーマンスや操作性・簡易性の部分で大きく差が出ている」と説明した。
ネティーザの2010年度事業戦略は、大きく分けて「顧客ベース拡大」「製品ライン強化」「パートナーシップ強化」の3つ。顧客ベース拡大では、既存顧客のリピート購入を増やすほか、エントリーレベル製品を投入することで“初めてDWHアプライアンスの導入を検討する顧客”を狙う。製品ライン強化では、2月に発表したエントリーレベルの「Netezza Skimmer」に加え、高度分析を可能にする「TwinFin i-Class」、大容量を可能にする新モデルなどを2010年後半に投入する予定。パートナーシップ拡大では、NECとの共同開発など、SIerとの協業などをさらに強化するという。
新製品の「Netezza Skimmer」は、エントリークラスのDWHアプライアンス。従来の同社製品と同様にFPGAを採用しつつ、7Uラックマウントの大きさでデータ容量も最大10テラバイトに抑えることで、低コストを実現したという。そのほか、2010年後半投入予定の大容量モデルでは、最大20ラック構成で20ペタバイトまで拡大可能にするほか、超高速モデルでは最大10ラック構成で1テラバイト超のメモリを搭載する予定だという。
そのほか、SASなどの主要アプリケーションや、プログラミング言語(JavaやPythonなど)をサポートし、ネティーザ内ですべて処理することでデータ移動をなくして処理の高速化を図る「TwinFin i-Class」の投入を計画。また、2010年夏にリリース予定の新ソフトウェアではFPGAやクエリの最適化を実施し、パフォーマンスの向上が可能になるとした。
パートナー戦略拡大では、2月4日にNECとDWHアプライアンスを共同開発すると発表。この共同開発製品では、TwinFinのハードウェアを、IBM製からNEC製のブレードサーバとストレージに変更し、ネティーザのソフトウェアやDB Acceleratorと統合して出荷する。エッツェル氏は「NECのハードウェアとDWH・BIにおけるSIノウハウを生かせる点は大きい。そして何といっても、流通、金融、通信、官公庁への幅広い販売力やサポート力に期待したい」と語り、パートナーシップへの期待を示した。
エッツェル氏は、最近のDWHアプライアンス市場について「ここ1年半くらいで、ほとんどのユーザーが事前検証を前提に購入を検討するようになった。さらにここ数カ月では、ユーザーの施設に実機を持ち込んで、実データでの検証・比較をするケースが増えてきている。このような傾向は、処理スピードや簡易性をウリにしている当社にとっては非常に有効に作用している」と説明し、2010年のビジネス拡大にも自信を見せた。
関連記事
- ネティーザ、従来品2〜5倍の性能を実現したDWHアプライアンス (@IT News)
- 台風の現在地に合わせて保険料を算定できるDWH (@ITNews)
- 25TBの実データを持ち込めるDWH検証センター開設 (@IT News)
- 日本の商習慣に対応、NetSuite 2007.0発表 (@IT News)
- SAPはもう古いのか? 米ネットスイート日本上陸 (@IT News)
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.