介護や医療の分野で、患者との意思疎通に脳波を利用する、いわゆるBMI(ブレイン-マシン インタフェース)の研究が進んでいる。産業技術総合研究所の長谷川良平氏も、そうした研究開発に取り組んでいる1人だ。同氏は、重度の運動機能障がい者が「寝返りを打ちたい」「水を飲みたい」といった要望を、脳波で伝えるための装置「ニューロコミュニケーター」を開発した。本講演では、このニューロコミュニケーターの概要や、BMIが次世代の介護/福祉にどのような役割を果たすのかを、長谷川氏に語ってもらう。
長谷川 良平 氏
1997年京都大学大学院理学研究科博士(京大霊長類研究所にて神経生理学を専攻)。米国国立衛生研究所などの研究員を経て現在、産業技術総合研究所ヒューマンライフ テクノロジー研究部門 ニューロテクノロジー研究グループ長。意思決定の脳内機構に関する基礎的研究と、脳内意思解読による外部機器制御(ブレイン-マシン インタフェース=BMI)に関する応用開発に取り組んでいる。重度の運動機能障がい者のコミュニケーション支援を目的とした脳波による意思伝達装置「ニューロコミュニケーター」の開発者。2011年から福井大学(連携大学院)客員教授を兼務。
病院などで一般的に使われている臨床用の脳波計は、高価で大型、しかも専門家しか利用できなかった。そのため長谷川氏は、家庭で福祉機器として使えるような脳波計の開発に挑んだ。最終的に「ニューロコミュニケーター」に搭載する脳波計は、手のひらサイズまでの小型化に成功したという。一体どんな特徴や機能を備えているのだろうか?
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