今回の調査結果でまず注目したいのが、ユーザーの利用回線の変化だ。ブロードバンド利用者とナローバンド利用者の比率を見ると、この1年で日本のラストワンマイルの接続環境が激変している様が見てとれる。
1年前のブロードバンド率はわずか12%(2001年5月号での発表時)であったものが、2002年1月号では35%、そして今回は64%にまで上昇している。驚異的ともいえる伸びを示しているが、ここで考慮したいのが、この結果は総務省が発表しているブロードバンド利用者数の統計とは大きくかけ離れているという点だ。総務省の統計によれば、ADSL、CATVインターネット、FTTHを合わせたブロードバンド率は、全体のおよそ16%。今回の調査と比べると、かなり低い数字となっている。今回の64%という数字は、インターネット雑誌の読者層のブロードバンド率の高さがうかがえる数字といえるのだ。
1位の「ASAHIネット」から5位の「WAKWAK」までは、ナローバンド部門でも上位に食い込んでいる。プロバイダ自体の総合力が高いことの証だ。とくに「ASAHIネット」と2位「DTI」は、複数のADSL回線に対応しての結果だけに、どの事業者のADSL回線と組み合わせても裏切られることはないだろう。
自社でADSL回線を提供しているプロバイダに注目すると、12位の「J-DSL」が最上位で、以下、16位「T-com」、18位「Yahoo! BB」と続く。「Yahoo! BB」の低迷は、開通時の対応の悪さや、たびたび明るみに出たセキュリティ問題が影響しているのだろうか。
ブロードバンド回線別の満足度という点では、上位10社中9社までがADSLとなっている。CATVインターネットは、8位の「イッツコム」が健闘しているのみ。以下は、20位の「J-COM@NetHome」、24位の「ZAQ」、26位の「THN」と、全体から見てもCATV勢の劣勢が目立つ結果だ。3000円前後で下り最大8Mbpsを実現しているADSLと比較すると、CATVインターネットはコストパフォーマンスの点で割高に感じてしまうのだろう。
ナローバンド部門では、上位ランキングに新顔が登場している。1位の「CYBER STATION」は、JRが運営するプロバイダ。それ以外は、「U-net SURF」「ASAHIネット」「DTI」といった中堅どころの“玄人好み”のプロバイダが堅実にランクインしている。