インターネットではブロードバンドコンテンツが花盛りだが、映画やスポーツ、ライブなどの映像はパソコンではなく、やっぱりテレビの大画面で見たい! という人は多いのではないだろうか? まさにそんなニーズにこたえるべく、この9月のスタートに向けて動き出したのが「BBケーブルTV」。Yahoo! BBのユーザーに向けた、有料の番組放送サービスだ。
このサービスの最大の特徴は、テレビ同様、リアルタイムに番組を配信する「放送」がADSL回線で提供されるということ。ADSLを使ったテレビ放送は、もちろん初めての試みとなる。放送のほかに、レンタルビデオ感覚で見たい番組を選んで受信できる「オンデマンド配信」も行う。
実は、これまで放送事業を行うためには、放送に必要な施設・設備などのインフラをすべて自前で用意しなければならなかった。たとえばCATV会社は、それぞれが独自にケーブルなどの設備を用意してきたわけだ。しかし、ADSLや光ファイバーといった通信回線で放送を行うことが技術的にも可能となってきたことから、政府は有線テレビジョン放送とCS放送を対象にした規制緩和を実施。今年1月に、回線などの設備を自前で持たない企業も、通信回線を使って放送事業を行える「電気通信役務利用放送法」が施行された。今回のBBケーブルTVは、これを受けたソフトバンク・グループのクラビットが、子会社のビー・ビー・ケーブルを登録申請し、有線放送事業者として登録されたことから実現した、国内初のケースなのだ。
8月10日現在、まだチャンネルの詳細はベールに包まれたままだが、クラビット取締役の楜澤悟氏によれば「テレビと同等のクオリティで、エンターテインメントを中心とした番組を放送する」とのこと。同社では長年CS放送にかかわってきた経験から、さまざまな番組供給会社と提携を進めているという。おそらく、CS放送で提供されている人気の高いチャンネルラインアップと同様なイメージとなるだろう。サービス提供時にはこうした番組が、Yahoo! BBのバックボーンを経由して、家庭内のセットトップボックス(STB)へと伝送されることになる。「もちろん、インターネットを閲覧しながらBBケーブルTVを視聴することも可能。ただ、速度の出ていないユーザーには、残念ながらサービス提供できない場合もある」(楜澤氏)
通信技術が発達すれば放送と通信の垣根がなくなるといわれてきたが、BBケーブルTVはまさにその第一歩といえるだろう。
クラビット 取締役社長室長兼事業開発担当 楜澤 悟氏 「オンデマンドだけでなく、受け身の放送という形態にも必ず需要はある。ここでしか見られないコンテンツも今後用意していきたいと考えています」
●料金は? 契約料1万円、月額利用料(13チャンネルのパッケージ)2500円を予定している。そのほか、別料金の番組も用意。また、オンデマンド配信も別料金となる。 Yahoo! BBのADSL回線料は別途必要だ。
●提供エリアは? 9月より東京23区、12月よりさいたま市、千葉市および横浜市、2003年3月より札幌市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、福岡市に拡大していく予定だ。
●ネットは同時に使える? インターネットを同時に併用することもできる。ただし、スピードの出ていないユーザーは、提供エリア内でもサービスを受けられない場合がある。申し込み時に回線状況をチェックして、判断される。
●申し込み方法は? 9月以降、準備が整い次第ホームページ上などで告知される予定だ。興味のある人はこまめにチェックしておこう。
■クラビット www.clubit.co.jp