2002年の話題賞はFIFA公式サイトが獲得した。日本代表の快進撃に酔いしれた1か月の興奮の大きさを、あらためて知らされる結果だった。
サイトの制作、運営を担ったのはYahoo!だ。米Yahoo!をはじめ、世界中のYahoo!からメンバーが選ばれ、プロジェクトが組まれた。Yahoo! JAPANメディア事業部の池永かおり氏は「開催直前はピリピリとしていましたね」と当時を振り返る。とくに神経を使ったのは、世界各国のスタッフとの連携だ。そこには言語の違いや時差など、数え切れない困難があったそうだ。
しかし苦労の甲斐あって、期間中20億PVという大成果を収めることができた。池永氏は話題賞受賞についても「こういうふうに成果が得られてよかったと思います」と率直な喜びを語っている。
2006年のドイツ大会もYahoo!が公式サイト運営を担う。スポーツイベントでのネットの役割が増す中、期待はいっそう膨らむ。
「日本最大級の掲示板群」であるとともに、事件や訴訟ざたが絶えないトラブルメーカーとして、広く知られる。2002年もいくつかの話題を提供したが、とくに注目されたのは猫虐待事件だろうか? マスコミで取り上げられるときは否定的な意見が大半なのも、このサイトの特徴かもしれない。しかし負の側面をさらけ出しながらも、前回の3位から2位にランクアップしたことは、2ちゃんねるが確かな市民権を得たことの表れだろう。
8月に多摩川に出没したアゴヒゲアザラシ。多摩川だからタマちゃんとはいかがなものか、という苦言を呈する間もなく、かわいらしい風貌によってお茶の間の人気者となった。そのタマちゃんの動向を記録、掲載したのが、国土交通省関東地方整備局京浜工事事務所のサイトだ。10月末には、多彩な画像とムービーで構成されたコンテンツ「タマちゃんメモリー」もアップされた。お役所仕事を感じさせない入魂の一作は必見だ。
今回のワールドカップは、「テレビとネットの相乗効果が数字に表れた初めてのスポーツイベント」という、注目すべき結果を残しました。テレビの視聴率とネットへのアクセス数のデータを重ねてみると、テレビの視聴率が下がるハーフタイム時と試合終了後に、ネットへのアクセス数が増加しているのがよくわかります。このデータが意味しているのは、1つはユーザーがテレビを見ながら、スポーツサイトも見ているということ。さらに大きいのが、コミュニケーションです。たとえばインスタントメッセンジャー、2ちゃんねるの実況板、あるいは友だちへのメールなど、スポーツイベントを、家にいながら世の中のほかの人と共有していることの表れだと思います。その背景にあるのが、ブロードバンドによる常時接続です。以前のダイヤルアップでは、こんな結果にならないと思います。それが常時接続によって、ながら視聴ができるようになったんですね。加えて、テレビとパソコンが同じ部屋にあって、映像を見ながら、ネットではあたかもスタジアムにいるようにおしゃべりできるというわけです。あるイベントをテレビとネット両方で盛り上がるという傾向は、2003年以降、定着していくでしょう。
タマちゃんのページは画期的でした。何が、というと、タマちゃんのページは多摩川を管理する国土交通省の機関が運営しているんですが、8月の頭にタマちゃんが出たすぐ後にホームページが出ました。腰の軽い役所仕事に絶賛です(笑)。
2ちゃんねるには2002年、スタイルができたと思います。1つはニュース速報+、もう1つが実況板です。リアルタイムで起こっていることをリアルタイムで語るツールを提供するということは、ある意味で2ちゃんねるがメディアに近い形になったということです。ニュース速報+も同じです。非常に統制されているニュース速報+は、そのままニュースサイトになってもおかしくないですよね。アクセス数に関しては、2001年ほどではありませんが、約2倍に伸びました。2001年は例の日生の事件ですごく伸びたので、まさに話題という意味での2ちゃんねるでした。2002年はむしろ、内容的には整理された年のような気がします。
先日発表された流行語大賞では、ワールドカップ(中津江村)とタマちゃんが受賞しました。話題賞のベスト3にも、この2つの話題が入ったのは非常に順当ではないでしょうか。2ちゃんねるは別の話になるんでしょうけど。普段話題になっていて、マスコミがどれくらい取り上げた、という基準で選ばれる流行語大賞と、ウェッブサイトの話題賞が一致したことは、ネットがものすごく一般化して、オフラインの話題であろうがオンラインの話題であろうが、同じレベルでみんなが盛り上がるということを表していると思います。