今回のランキングでも、上位を占めているのはテレビ局のサイトですね。どこも自局のドラマやバラエティの情報、女子アナのプロフィールなどを載せている。だからまず、そういった番組の視聴率やアナウンサーの人気が反映されたものなんでしょう。ただ、視聴率全般でいうと勝っているはずの日本テレビが4位だったり、ネットならではの結果はおもしろいかもしれない。
一番ベーシックな番組表としての機能、これは新聞より見やすく詳しいというアドバンスがあって、若い人の新聞離れとの相関を感じさせられます。
僕は活字メディアに基礎を置く人間なんで、どうしてもその立場でテレビやネットなど、ほかのメディアを眺めてしまう。たとえば、テレビは“何かを伝える”のではなく、ある“印象”を次々に投げかけるメディアだと思う。僕自身、テレビで話したことの何パーセントも伝わらず、何か漠然とした印象しか残していない、という不満があります。
だから、たとえば放送カットされた部分や説明の足りない部分をホームページに掲載するなど、局のサイトがフォローしてくれると便利だと思う。しかし、そのこぼれた部分はテレビやネットでは言えない内容だったりするんですね(笑)。そうなると、やはり活字に戻ってきてしまうんですが……。
でも先日、ネットの力を実感する出来事があったんです。いま僕は、北朝鮮拉致問題への意見広告を、NYタイムズに載せるための募金運動をしています。その告知をいろいろなメディアで行っているんですが、自分のホームページで呼びかけたときの反響が一番大きかった。確かにテレビの瞬発力もすごかったけど、ネットの情報にはジワジワとした持続力があるんですね。結果として、1週間で約2000人から1000万円以上の募金が寄せられました。その後も、小さな子どもから年金生活のお年寄まで、多くの方々からの送金が続いています。
そんな経験から考えるのは、テレビやラジオ、新聞、雑誌といった既存のメディアとインターネットをうまく連携させる、プロデューサーの必要性ですね。そういう人が現れて、いまのテレビ局サイトのような単なる広報手段ではなく、活字などの他メディアとリンクして、分析や評論性、批評的視点のあるコンテンツ作りから始める。そんな即時性・即応性と内実を併せ持った“何か”が作れれば理想的なんじゃないでしょうか。
ただ、メールは掲示板のマナーやルールなど、整備・解決していくべき問題も山のようにありますよね。そういう意味でインターネットは、劇的な普及を遂げたいまでも、まだまだ過渡期の、発展途上のメディアです。これからどう育っていくか、僕や読者の皆さんをはじめとする利用者にゆだねられているんだと思う。
|