GPSシステムやバスの中で流れる車内放送の電波を利用して、「路線バスがいまどこを走っているか」をネット経由で提供するリアルタイム位置情報サービスが、全国各地で広まっている。パソコンや携帯電話などから専用サイトにアクセスすると、走行中のバスの位置や、あとどれくらいでバス停に着くかなどがわかるのだ。渋滞で遅れがちな都心はもちろん、バスの本数が少ない地方や高速バスでも採用されており、「バスはいつ来るんだ?」「もう行ってしまったのだろうか」というイライラや不安感の解消に大いに役立っている。
「東急バスナビゲーションサービス」のパソコン画面では、イラストマップの上をバスアイコンが自動更新で移動していき、バスの位置が一目瞭然だ。移動中のバスアイコンにカーソルを合わせると、行き先やバス停到着予測時刻を表示し、ひと目で自分が乗りたいバスの状況がわかる優れモノ。携帯電話からも、やはり同じような情報がリアルタイムに見られる。
2000年10月から一部の路線でこのサービスを導入していた東急バスでは、乗客の「待ち時間が少なくなった」「もっと対応路線を拡大してほしい」という声にこたえ、今年1月に対応路線を15路線増やした。また、バスが接続する電車の時刻も同時に提供し、より利便性を上げている。
東急バスナビのパソコン画面。利用したい系統を選ぶと、路線図と走行中のバスが表示される。乗車停留所をクリックすれば、待ち時間や時刻表も参照可能
こうしたシステムは、長距離を走る高速バスでも採用されている。特徴的なのは、バスジャックなどの緊急時のセキュリティシステムとの連動も考えられていることだ。広島電鉄・一畑バスの「広島─松江間・長距離バス運行情報システム」では、緊急時にバス会社へ通報が入る「緊急通報システム」と連動。バスが路線を外れてしまっても位置が把握できるため、素早い対応と安全の確保に役立つと期待されている。
さらに、位置情報提供以外にも、ネットを利用した利用者へのサービスが検討されている。富山、高岡を走る路線バスでは、ネットで事前に予約すれば路線を外れてバスが迂回してくれる「デマンドバス」の運行実験を3月14日まで行っている。
電車に比べると時間の読めないことがネックだったバスだが、ネットサービスを組み合わせることで、もっと便利で使いやすい公共交通機関へ発展していきそうだ。