とどまるところを知らない携帯電話の進化。キャリア間、メーカー間の激しい競争で、ケータイでできることは増え続ける。ブラウザはFlashに対応し、カメラはメガピクセルになってデジカメを飲み込み始める。それでも飽き足らないのか、ケータイの進化はさらに続きそうだ。次に狙うのは、個人認証と電子決済機能だ。
サイトの画面を見せるだけでだれでも割引サービスなどが受けられるクーポン利用は、すでに飲食店サイトなどで広まっている。これを一歩進めたのが、2次元バーコードを使ったポイントカードやチケットサービスだ。ケータイ画面に固有の2次元バーコードを表示させ、バーコードリーダーで読み取って個人を特定、これによりポイント情報などをサーバー上で管理する。それだけでなく、個人の好みに合わせた情報やクーポンをメールで送る「オプトインメール」との連携も期待できる。
KDDIのau事業企画本部サービス開発部・佐藤雄一氏は、「ケータイを使った集客手段、決済手段、リピーターを増やす手段をインフラとして提供していきたい」と話す。
セキュリティが確実に保たれれば、「お金の価値そのもの」をケータイに電子的に持たせることも可能になる。電子チケットや電子マネー、クレジットカード機能などをケータイで実現する実験は、いままさに進んでいるところだ。
KDDIでは、ケータイにICチップを搭載してクレジットカード機能を持たせる「Kei-Credit」実証実験を実施している。「ICチップには高度な暗号化機能があり、偽造もしにくい。また、将来的にはポイントカードや会員証などさまざまな機能をチップ上に持たせることができ、機種変更時にもチップを付け替えるだけで移行できる」と、au事業企画本部サービス開発部・岡嵜哲也氏はICチップの必要性を説く。
「さまざまなカード類でパンパンになった財布を、ケータイでスリムにしたい」と佐藤氏。定期券もポイントカードも、お店の会員証も映画のチケットも、クレジットカードも小銭入れも持たずに、ケータイ1台だけで済んでしまう未来が近づいている。