Part2 |
事業者に聞く〜NTT東日本 |
申し込みは好調な滑り出し 通信距離の延長も実現
いち早い申し込み受付の開始、わずか50円アップという戦略的な価格設定、モデムレンタル料金の引き下げと、新サービスにかける並々ならぬ意気込みがうかがえるNTT東日本で話を聞いた。 |
実際のサービス提供開始に先立ち、6月末から新規および乗り換えの申し込み受付を始めた、NTT東日本のフレッツ・ADSL モアII。
同社の営業部 光IP販売推進室 光IP商品担当課長 滝澤氏によると、「8Mや12Mのサービスをリリースしたときに比べると、すでに数的には多い申し込みを受けている」とのことだ。ユーザーの20Mbps超サービスへの関心の高さもあるが、ADSL市場自体が大きくなっていることも影響しているようだ。まずは、順調な滑り出しといえるだろう。
フレッツ・ADSL モアIIを 主力に据えるサービス展開
他事業者が、20Mbps超ADSLを、既存のサービスを補完する選択肢の1つと位置付けているのに対して、同社は多少スタンスが異なる。滝澤氏によると「今回のモアIIを主力に据えサービスを展開していきます」という。
今回のモアIIでは、近距離での速度向上に加えて、モデムの性能向上による中距離での多少の速度の上積み、さらに長距離でFBMsOL(ISDNのノイズが弱い時間帯のみ上り帯域に下り信号をオーバーラップさせる技術。本誌P142参照)を利用することで、通信距離の延長も果たしている。
しかも、価格的なメリットも大きい。フレッツ・ADSL モアIIは、従来の12Mサービス(フレッツ・ADSL モア)に比べて、わずか50円しか価格が上がらない。滝澤氏によると、ADSLは「月10万のペースで加入者が安定して増えていくサービス」とのことなので、この価格でも採算がとれるのだろう。また、乗り換えに関しても他事業者と異なりプロバイダ側の手数料がかからないため、かなり安くなる。他事業者と比較すると、相当に戦略的な価格設定といえる。
つまり、技術的に優れているうえに、価格差がわずかなため、既存のサービスを置き換えるものとして、フレッツ・ADSLモアIIを位置付けていることになる。これなら、ユーザー側としてもフレッツ・ADSL モアIIを積極的に選ぶメリットが大きいだろう。
なお、今後の予定としては、他事業者のように50Mbps超という声は聞かれなかった。もちろん、「技術的には検討している」(サービス開発部 フレッツサービス推進部 IPネットワークサービス担当 大河原氏)とのことだが、同社としてはFTTHへのシフトも視野に入れているようだ。
いずれにせよ、今回の20Mbps超ADSLでは、とくに価格面で他社との差別化がしっかりと図れた印象だ。
NTT東日本 営業部 光IP販売推進室 光IP商品担当 担当課長 滝澤正宏氏
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NTT東日本 サービス開発部 フレッツサービス推進室 IPネットワークサービス担当 大河原勝良氏 |
提供されるモデムは4種類
モアII対応のモデムは、合計4種類。「ADSLモデム-MNIII」はオーソドックスなブリッジタイプのADSLモデム。通常は、これを選ぶユーザーが多いだろう。IP電話も使いたいというのであれば、「ADSLモデム-NV」(ルーター機能も搭載)を選ぶことも可能だ。レンタルの場合は、この2つのうちのどちらかの利用になるが、レンタル料金はいずれも月額490円と同じだ。
買い取りの場合は、ADSLモデム内蔵ルーターの「Web Caster 620M」(1万5800円)か、さらにIEEE 802.11bの無線LANに対応した「Web Caster FT6200Mワイヤレスセット」(無線LANカード1枚同梱で3万6800円)もある。ニーズに合わせて選ぶとよいだろう。
なお、乗り換えの申し込み受付も同時に開始されており、手数料は工事費のみの3050円だ。
レンタルでも提供される、IP電話対応の「ADSLモデム-NV」(左)のほか、無線LAN機能搭載の「Web CasterFT6200Mワイヤレスセット」(右)など4種類が販売されている
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サ | ビ ス 概 要 |
●サービス名称:フレッツ・ADSL モアII ●通信方式:G.992.1 AnnexI ●最大速度:概ね24Mbps(下り)/1Mbps(上り) ●価格※1:初期費用=800円(NTT契約料)+3050円(NTT工事費)/月額料金※2=2750円/モデムレンタル料=490円/乗り換え費用=3050円(NTT工事費) ●URL:flets.com
※1 ほかにプロバイダ料金が必要
※2 8月31日までに申し込むと月額料金およびモデムレンタル料が3か月分無料 |
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