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現在、FTTHサービスを提供しているのは、NTT東日本・西日本、東京電力や関西電力などの電力系、そして有線ブロードネットワークスといったところだが、サービス提供エリアやエリア展開方法は各社とも異なっている。
最も提供エリアが広いNTTのBフレッツは、全国の主要都市をほぼカバーする形でエリア展開している。エリア展開の方法は、まず光ファイバーの幹線を敷設したところを中心にサービス提供エリアとしていき、需要があった時点でユーザー宅まで一気にケーブルを敷設するというもの。近くまでケーブルが敷設されている場合はそこから分岐させるのですぐに開通するが、そうでない場合は開通までに少し時間がかかる。同じエリア内であっても、開通までの時間に差があるのはこのためだ。
電力系FTTHでは、まず需要予測に基づいて光ファイバーの幹線を敷設していき、幹線の分岐点からメッシュ状に配線を敷設する。そして、需要が発生した時点で引き込み点から各ユーザー宅へ引き込み線を敷設していくというエリア展開を行っている。メッシュ状の配線を敷設した時点でサービス提供エリアとしているため、エリア展開の速度は遅いが、提供エリア内であればさほど時間を要することなく開通する。
有線ブロードネットワークスは、ピンポイントでエリア展開している。これは他社のようにもともと光ファイバーを敷設していたわけではなく、ゼロから光ファイバー網をスタートするため、需要予測に基づいてエリアを絞って展開した方が効率的だという観点からだ。
また、どのFTTHサービスにもいえることだが、たとえ提供エリア内であっても、マンションなどでは開通までの時間がかかることがある。それはいわゆる集合住宅問題といわれるもので、マンションなどの集合住宅の場合、光ファイバーを建物内に引き込む前に、オーナーや管理組合などの承諾をとる必要があり、これに時間がかかるためだ。こればかりはFTTH業者側ではどうすることもできない。スムーズに開通するかどうかはユーザー側の努力にもかかっているというわけだ。こういった集合住宅の問題を解決するための手段として、住宅内の回線をVDSL(54Mbps)で行ったり、5GHz帯のFWAで行ったりする方法が検討されている。VDSLサービスについては、NTT西日本が既に発表しており、NTT東日本も近くサービスの提供をアナウンスする計画だ。5GHz帯のFWAは、スピードネットなどが実験を開始している。