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素人サイト管理から、一転社長に就任した「brst.TV」運営者(2/2 ページ)

» 2004年02月06日 18時22分 公開
[杉浦正武,ITmedia]
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 宮谷氏は、brst.TVに出資するという、ある会社に出向いたときのことを回想する。

 「話を聞いていると、とにかくIPOのことしか興味がない。公開したら、『役員としては、5億円はほしい』とお金の話ばかり」。宮谷氏にとって、とうてい応じられる申し出ではなかったようだ。

 そうした中、宮谷氏が「この人からなら、お金をもらってもいいかな」と感じる人間がいた。化粧品のコミュニティサイト「アットコスメ」を運営する、アイスタイルの代表取締役兼CEO、吉松徹郎氏だ。

 「授賞式でご一緒した際、サイトの運営が苦しいという話をしたら、吉松さんが、『とても面白いから一緒にビジネスをやろう』と出資の話を持ちかけてくれた」。

 アイスタイルの100%出資子会社として、1000万円でメディアブレストを設立し、そこが宮谷氏の管理する著作物の営業権を持つ――というかたちで、brst.TVを事業化する運びになったという。

 「1カ月前まではヒキコモリ同然だったのに、代表取締役になってしまった」。取締役には、デジタルメディア研究所の代表取締役である橘川幸夫氏が就任するという。

今後の展開は

 宮谷氏は、今後期待しているのは携帯電話向けコンテンツだと話す。

 「“着ギャグ”“着ネタ”を商標登録している。ムービーコンテンツとして、どうかと携帯のコンテンツプロバイダに持ちかけている」。携帯電話を介在させれば、ユーザーへの課金も成立するとの読みのようだ。

 同氏はまた、brst.TVを一般人が参加できるコミュニティサイトにしたいとコメント。「話題にされている芸人本人が、“降臨”するサイトにしたい」。

 実は、宮谷氏にはもう1つ構想がある。それは、リアルの世界で「小屋を持ちたい」ということ。渋谷センター街のど真ん中でも、月100万円もあれば場所がとれるのだという。

 「そこを、芸人さんに1日5万円で貸し出す。ワンコンテンツマルチユースの考え方をすれば、この金額は成立する。通常の相場は、1日10万円だから、芸人は殺到するのではないか」。

お金をもうける気はない……

 話を聞いていて感じたのは、宮谷氏が金銭に対する執着が少ないこと。社長になった感想も、「とりあえず、ご飯の心配はしなくてすむようになった」という。

 この欲の少なさは、ややもすると企業人としてデメリットになるのでは、と心配にもなる。ただ、やりたいことをやるという姿勢を貫き、ここまで来た。

 取材の際は私服で登場した宮谷氏。さすがに、今では服を購入できるようになったという。「次は、賞金でスーツを買わないと」と笑った。

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