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完全自律戦闘ロボットも登場〜ROBO-ONE J-Class第5回ROBO-ONE詳細レポート(2)(2/3 ページ)

» 2004年02月13日 18時59分 公開
[こばやしゆたか,ITmedia]

決勝トーナメント

 トーナメントは、1ラウンド2分の3ラウンド制で行われる。ダウンして10カウントしても起き上がれない(ノックアウト)、あるいは1ラウンドに3回のダウンをするとそのラウンドを失う。

 しかし、最終的な勝敗を決めるのは5人の審査員で、ラウンドの勝敗のほかに動き、攻撃力、試合意欲、マナーなどを考慮して点数を付け、高い点数を付けた審査員の多いロボットが最終的な勝者となる。これもJr with Familyと同じ。

1回戦

  • 第1試合 SUMO vs Looper-L (左が赤コーナー。以下同じ)

 脚だけだけとはいえ大きなLooper-Lに対して、コンパクトなSUMOはあまりに分が悪い。Looper-Lは足を高くあげて、待ち伏せし、近づいてきたSUMOを踏みつぶしてしまう。第1、第2ラウンド続けてSUMOはノックアウト。SUMOは普通に倒された方向だったら起き上がれるのだけど、上から踏みつぶすなんて想定外の攻撃を受けたためか、起き上がれない方向に転んでしまったのだ。

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  • 第2試合 フットプリントJ(名塚一郎) vs Petapina(ASIAN GUILD)

 Petapinaは、完全自律で戦うロボットだ。画像認識で相手を発見すると、そこに向かって攻撃をする。ただし、一つ大きな条件がある。相手は緑色じゃないといけないのだ(緑は、リング上に存在しない色)。

 そこで、相手に緑色のシールを貼ってもらうことになる。敵に手伝ってもらえないと闘えないというあたりが、なんだか楽しい。というわけで、写真のフットプリントJは緑色だ。

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 第1ラウンド、Petapinaは敵を認識したのか歩きはじめるのだけど、すぐに転倒。そのまま起き上がろうとしないでノックアウト。完全自律のくせに自分が転んだことがわからないのかというツッコミが入る。

 第2ラウンド、Petapinaは最初敵を認識しないのかその場で足踏みをしている。本来は何もしなくていいはずの操縦者が緑のテープをPetapinaに見せて動きだすように促している。その甲斐あってか、フットプリントJが近づいてくると、パンチの姿勢を見せる。さらに、相手に数歩近寄りながら前のめりに倒れて相手もいっしょに倒してしまう。ダブルダウンだ。しかも、Petapinaはちゃんと自分で起きあがった(やっぱり転んだことはちゃんとわかるのだ)ものの、フットプリントJは起きられない。Petapinaがラウンドをとった。

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 第3ラウンド、今度はリング中央で押し合う形になる。その状態からフットプリントJが左に身体を開くと、Petapinaは前のめりにダウン。前転しながら起き上がるのだけど、立ち上がった場所はかなりリングの端の方だ。しかも相手に背を向けてしまっている。

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 視覚センサーは背中には付いていないから、なんとか向きを変えなくてはいけない。緑のテープを持って走り回る操縦者。しかし、Petapinaはびくともしない。そうこうするうちにフットプリントJが後ろに迫ってくる。フットプリントJはそのまま前に進めば、Petapinaをリングから落とすことができる(リングの端にはロープも俵もアクリル板もない)。ところが、あと一歩のところで、フットプリントJが自分で転んでしまう。しかも起き上がれない。ノックアウト。

 ラウンド2-0、審査も5-0でPetapina。この試合は「ROBO-ONEで完全自律ロボットが初めて勝った試合」として記憶されることとなった。いつかは完全自律同士が闘うことになるのだろうけど、その第一歩だ。

  • 第3試合 HSWR-K01カスタム vs ダイナマイザーJr

 本来は第1試合だったもの。ダイナマイザーJrは、Junior with Familyと両方にエントリーしてて、マシンも下半身は同じもの(腕部分を交換)だ。そして、このマシンはJunior with Familyでは決勝戦を闘っている。これで連戦はちょっと辛いというので、ここに回されたというわけ。

 しかし、連戦の疲れなのかダイナマイザーJrは精彩がない。第1ラウンドは最初にHSWR-K01をダウンさせるも、その後は3連続ダウン。第2ラウンドもやはり3連続ダウン。ラウンド2-0、審査5-0でHSWR-K01の勝ち。

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  • 第4試合 ARK02(K's Lab) vs ちょんまげの啓三-100グラム

 ARK02は、Junior with FamilyのARK01の兄弟マシンだ。車のパーツを使ったという外装デザインも一緒。対するちょんまげの啓三-100グラム(長いから以下、啓三と略記させて)はデモンストレーションでは剃り落としていたちょんまげを戻しての出場。

 第1ラウンドは、両者ダウンが2度という波乱のスタート。この後もう1回ダウンしたほうがラウンドを落とすという状況だったのだけど、その後は両者ダウンせずドロー。第2ラウンドは啓三が後につかれて万事休すと思ったのだけど、上手く逃げきってドロー。啓三は足がはやい。

 第3ラウンド、両者果敢に攻撃をしかけるのだけど、決定打にはいたらない。どちらのロボットも安定が良いのだ。しかし、ラウンド終了間際、ARK02が右パンチに行くところに啓三のカウンターが決まる。ARK02ダウン。惜しくもテンカウントで起き上がれず、このラウンドを失ってしまった。これが試合を決定付け、審査も5-0で啓三の勝ち。

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