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DVDレコーダーの多機能さも魅力のVHS一体型レビュー:東芝「D-VR1」(2/2 ページ)

» 2004年03月15日 05時19分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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 DVDへの録画画質は、DVD1枚に最大2時間/4時間録画できるSP/LPがプリセットされているほか、ビットレート指定も可能。1.4Mbpsと2〜9.2Mbpsの間で、0.2Mbps単位の計38段階がマニュアル設定できる。DVD1枚の録画時間は、1〜6時間の間で設定可能。またDVDの空き容量と録画時間に応じてビットレートを設定してくれる“Just”モードもある。

 便利なのは、プリセットとマニュアル指定から5つの組み合わせを選び、これを画質設定として登録できること。選択時にはマニュアル設定でもDVD1枚あたりの録画時間が表示されるので、いちいちビットレートから時間を換算する作業を行う必要がない。

photo 画質設定は、プリセットやマニュアル指定から5つの組み合わせを選択し、これを画質設定として登録できる。全てマニュアル設定にすることもできる

 また、好みの録画画質を設定してしまえば、毎回マニュアル設定を行わなくても繰り返し利用できるわけで、下手にプリセットが多いよりも自由度が高いといえるだろう。SP/LPはあくまで一般的な録画画質の設定例ということだ。

 マニュアル設定では、解像度も720×480ピクセル(D1)、352×480ドット(ハーフD1)、352×240ドット(CIF、1.4Mbps時)のほか、DVD-RAMへの録画時に限られるが例外的な480×480ピクセル(2/3D1)も利用する。ただし、DVD互換モードを設定しておくと480×480ピクセルは利用しないようになるため、DVD-RAMを利用してPC連携を考慮しているならDVD互換モードを利用するのが良いだろう。

 録画品質は、RDシリーズ譲りの“バランス指向”だ。どちらかといえばビットレートがリニアに画質に反映されるタイプで、地上波を録画しても最大ビットレート(9.2Mbps)、SP、LPでの画質差もはっきりとわかる。

 つまり、それだけ高ビットレートでの画質が良いということだが、LPでは解像度が352×480ピクセルとなり文字のジャギーも目立ち始めるし、1.4Mbpsではかなりぼんやりとした画質になってしまう。保存用の大事な番組なら、SP以上(4.6Mbps)以上で録画したい所だ。

 再生には“見るナビ”を利用する。サムネイル付きの一覧表示が可能で、一覧を録画の古い順にしたり、予約録画時に設定したジャンル別にすることもできる。サムネイルに利用する画面の位置も変更可能だ。DVD1枚に保存できる番組数は限られているとは思うが、見たい番組を選択する機能はかなり豊富。

photo 「見るナビ」では、サムネイル付きで6番組ずつ表示する。リモコンのクイックメニューボタンを押すと、ここからいろいろな機能を実行できる

 編集は、チャプターを利用してカットや結合などを行う。チャプター自体をフレーム単位で設定できるので編集精度は高いが、単に一部分をカットしたいだけ、といった場合には少々操作は面倒だ。また、プレイリストを利用すれば、オリジナル映像を加工することなく任意の映像を連続再生することもできる。

 VHSの録画品質は階調表現が乏しく、ちょっと期待はずれ。チューナーの質はDVD側とほとんど変わらないのだから、単純に録画品質があまり良くないのだろう。

リモコン操作でどんどん行えるダビング機能

 ダビングは、本体、リモコンともに専用ボタンが用意されており、VHSからDVD、DVDからVHSへの“丸ごとダビング”であれば操作は簡単。専用ボタンを3秒押すだけで開始される。この点は非常に判りやすい。

 また、便利なのは「見るナビ」からのダビング機能だ。VHSからDVD、VHSからDVDのどちらでもソース側で見るナビを起動し、一覧から番組を選ぶと、ワンタッチでダビングを開始できる。VHS側の見るナビは、D-VR1か、同社の見るナビ対応VHSビデオレコーダーで録画したビデオテープでしか利用できないが、便利な機能であることは間違いない。

photo 見るナビで番組を選び、リモコンから簡単にダビングできる

 マニュアルでのダビングもわかり易い。VHS部とDVD部はライン0という外部入力に相互接続された形になっているからだ。VHSからDVDへのダビングならテレビ表示はDVD側、DVD側の入力をライン0にし、リモコンでVHS側とDVD側を別々のビデオレコーダーのように普通に操作すれば良いわけだ。画面表示とリモコン操作の対象を一致させていないのは、この辺の機能を活用するためでもあるのだろう。

使いこなしがいのあるVHS一体型DVDビデオレコーダー

 D-VR1の魅力は、DVDビデオレコーダー部の多機能さだろう。単体DVDビデオレコーダーであるD-R1の機能を丸々搭載しており、フレーム単位での編集も可能だ。見るナビ、録るナビはRDシリーズ譲りでもあり、再生時にリアルタイムでビットレート表示も可能などマニア心をくすぐる機能なども備えている。

photo DVD側では、このようにさまざまな情報を表示できる。再生時にはリアルタイムでビットレートを表示することも可能だ

 もっとも、“既に存在するDVDレコーダーとVHSデッキを1台にまとめたもの”という印象は、他製品と同様に強く受ける。リモコンも工夫はされているが、VHS側とDVD側で画面表示に大きな落差がある点は変わらない。コストを考慮するといまさらVHS側に大きく手を加えられないという事情はわかるのだが……。

 気になるのは、RDシリーズと共通デザインのリモコン。項目内容の変更が4方向キーではなくフレームキーに割り当てられており、今ひとつ直感的に使えない。これがVHS側とDVD側での操作性の違いにも繋がっている。RDシリーズでも不満に思う部分だが、この点は是非改善してほしい。項目内容の変更は、ドロップダウンリストからの選択などにすれば4方向キーだけでも間に合うはずだ。

 ビデオ出力のS端子、D1端子がDVD側専用なのは、先週掲載したビクター「DR-MV1」と同様だ。VHS側の出力をサポートしても画質的なメリットがないことは理解できるが、配線の容易さと可能な限りの高画質出力と言う点で、今後の製品では是非検討してほしい部分だろう。

photo 1系統のAV入力、2系統のAV出力を持つが、AV出力の1系統とS出力、D1出力、さらにS入力はDVD専用。S入出力だけでもいいのでVHS側にも対応してほしい(クリックで拡大)。
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