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似て非なる3つのVHS一体型DVDレコーダー(2/2 ページ)

» 2004年03月17日 18時29分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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 3月に入り、松下電器産業三菱電機から相次いでVHS一体型DVDレコーダーが発表された。松下は、ベストセラーとなった「DMR-E70V」の後継機を一気に2製品、三菱電機はDVDレコーダーへの再参入と同時のラインナップ化で、さらに選択肢が増えたことになる。

 松下の2製品、「DMR-E75V」と「DMR-E150V」は、同社の第2世代製品となり、S-VHSを、簡易再生ではなく、本来のクオリティで再生できるようになった。しかし録画はVHSのみという変則的な仕様で、まさにS-VHSからDVDへのダビングにフォーカスしたものだ。これがDMR-E70Vユーザーの声を反映したものかどうかはわからないが、一部の人には待望の製品であることに間違いはない。

photo 松下電器産業の「DMR-E75V」。ベストセラーとなった「DMR-E70V」の後継

 また「DMR-E150V」は、ついに“VHS+HDD+DVD”のハイブリッド機となった。価格的には手軽なVHS代替機とはいかないが、設置スペースに悩んでいるような人には朗報だ。さらに、VHSテープのコレクションを編集し、DVDビデオ化するといった作業が、ようやく手軽に行えることになった。VHSからHDDへダビングする段階で、DVDへのダビングを考慮した録画画質を設定しておけば、画質の劣化も少ない。

photo 同じく松下電器産業の“VHS+HDD+DVD”のハイブリッド機「DMR-E150V」

 松下の2機種、そして三菱の「DVR-S300」が共通して求めたのが、DVDのさらなる長時間録画だ。従来、DVD1枚(DVD-RAMなら片面)に録画可能な時間は最大6時間だったが、松下「DMR-E75V」「DMR-E150V」では最長8時間、三菱「DVR-S300」では最長10時間まで録画可能になっている。“画質より録画時間”という一般ユーザー層へアピールするものだ。

photo レコーダー市場に再参入した三菱電機が送り出すVHS一体型DVD レコーダー「DVR-S300」。6月21日発売予定で、実売6万円前後になる見込み

 「DMR-E150V」は、これからDVDレコーダーの導入を考えている人には待望の製品だろう。日常的にヘビーなテレビ録画をこなしつつ、VHSとDVD間のダビングも行える。VHS一体型では初のEPG対応となり、VHS側でもEPGが利用できる。予算に余裕があるならば文句なしにイチオシ。5月の発売を待つ価値は間違いなくあると思う。残念なのは、HDD容量が80Gバイトと少ないことだろう。

 また、「DMR-E75V」はS-VHS再生対応が、「DVR-S300」は最大10時間というDVD長時間録画が最大の魅力になる。「DVR-S300」は後発製品としての押しが足りないと感じるのも事実だが、現状ではカタログスペックの比較しか行えない点も考慮して頂きたい。長時間録画の再生品質に期待したいところだ。

 ただ、これらの3製品でもやはりAV出力の問題は改善されていない。S出力やD1出力はDVD専用。唯一「DMR-E75V」は“VHSでもプログレッシブ出力が可能”としているが、これはダビング回路を応用したもので、VHSをプログレッシブ出力している間はDVD側で録画が行えなくなる。この点、個人的には少々期待はずれに見えてしまった部分だ。

VHS一体型DVDレコーダーは買いなのか?

 春の新モデルを含め、5月には少なくとも7製品のVHS一体型DVDレコーダーが店頭に並ぶことになる(チューナー構成の異なる姉妹製品も含める)。価格的には、3 in 1の「DMR-E150V」だけ別格になるが、選択肢はさらに拡大する。

 では、VHS一体型DVDレコーダーは買いなのだろうか? 少なくともVHSレコーダーの買い替えを検討しているなら悪くない選択だ。既にVHSレコーダーの選択肢自体が少なくなっているし、S-VHSレコーダーユーザーでも録画済テープの再生に関しては問題なく、高画質録画はDVDで行えば良い。S-VHSの再生クオリティにこだわる人には「DMR-E75V」という選択肢ができた。

 では、コレクションしたVHSテープのDVDへのダビング用途にはどうだろう。どの製品も確かに手軽なことは間違いないが、本格的に利用しようと思ったら、DVD-Rへの直接ダビングでは編集が行えない点が気になる。むしろ、素直にHDD+DVDレコーダーを買い増しした方が応用は利くはずだ。この点は「DMR-E150V」だけはクリアできるが、価格的に納得できるだろうか。設置場所に困らないなら、HDD+DVDレコーダーの買い増しの方が、製品の選択肢も多い。

 VHS一体型DVDレコーダーは独特のメリットを持っているし、便利な製品であることに間違いない。ただし、ハイブリッド製品ならではの操作性の問題点などもゼロではない。家族はVHSで十分だから、という理由で安易な製品選択を行うと後悔することもあるだろう。メリットとデメリット、両方を承知したうえなら、DVDレコーダー+α程度の価格で購入できるVHS一体型DVDレコーダーは、魅力的な製品になることは間違いない。

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